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'''ブラック–ショールズ方程式'''(ブラック–ショールズほうていしき、{{lang-en-short|Black–Scholes equation}})とは、[[デリバティブ]]の価格づけに現れる[[偏微分方程式]](およびその境界値問題)のことである。様々なデリバティブに応用できるが、特に[[オプション取引|オプション]]に対しての適用が著名である。ブラック-ショールズ方程式はヨーロピアンオプション<ref>満期日のみ行使可能なオプション。</ref>のオプション・プレミアム<ref>コール・オプションとプット・オプションの両方について。[[オプション取引]]参照。</ref>の計算には使用できるがアメリカンタイプのプット・オプション<ref>購入日から満期日までのいつでも権利行使することのできるオプション。その分、アメリカンプットオプションのプレミアムは割高になっている。
:行使日が分からないため価格付けが難しい(※)。良い計算方法が理論化できていない。しかし[[格子モデル]]や {{仮リンク|ブレネン|en|Michael Brennan (finance)}}-{{仮リンク|シヴァルツ|en|Eduardo Schwartz}}アルゴリズムなどがよく用いられている
 
(※){{Citation|和書
|author = S.M.ロス
|translator = 西村優子, 高見茂雄, 西村陽一郎
|date = 2002
|title = ファイナンス~PVとオプション~
|publisher = 同友館
|isbn = 9784496034749}}</ref>には使用できない。ただし、ブラック-ショールズモデルにおけるアメリカンコールオプションの理論価格はヨーロピアンコールオプションの理論価格と一致する<ref>{{Harvnb|Shreve|(2004)|ref=Shreve2004}}, section 8.5</ref>。
 
ブラック-ショールズ方程式は[[1973年]]に[[フィッシャー・ブラック]]と[[マイロン・ショールズ]]によりオプションの価格付け問題についての研究の一環として発表された<ref name=Black,Scholes1973>{{Harvnb|Black and Scholes|(1973)|ref=Black,Scholes1973}}</ref>。後に[[ロバート・マートン]]が彼らの方法に厳密な証明を与えた<ref name=Merton1973>{{Harvnb|Merton|(1973)|ref=Merton1973}}</ref>。{{誰範囲2|date=2016年2月15日 (月) 13:02 (UTC)|こまで計算方法なかった金融商品の将来価値を数理的に評価する公式であり、勘や経験が頼りだった将来の価格予測が、数学理論で処理できるものとなった。そのため同式は現代[[金融工学]]の発展の基礎先がけとなり、考案者のブラックったマイロン・ショールズはこの功績で1997年の[[ノーベル経済学賞]]を受賞していも言われる。}}
 
== 歴史的背景 ==
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== ブラック–ショールズ方程式 ==
=== ブラック–ショールズ方程式の導出 ===
|isbn = 9784496034749}}</ref>には使用できない。<ref>ただし、ブラック-ショールズモデルにおけるアメリカンコールオプションの理論価格はヨーロピアンコールオプションの理論価格と一致する {{Harvnb|Shreve|(2004)|ref=Shreve2004}}, section 8.5</ref>。ブラック–ショールズモデルの下で、満期 ''T'' において行使価格が ''K'' であるヨーロッパピアン・コールのオプションプレミアム ''C'' = ''C''(''S''<sub>''t''</sub>, ''t'') が[[無裁定価格理論|無裁定]]となるように適正な価格となる条件を求める。区間 [0, ''T''] で自己資本充足的な取引戦略 (''a'', ''b'') を、各 ''t'' 時点で次のように定める。これを'''複製ポートフォリオ''' ([[:en:replicating portfolio|replicating portfolio]]) という。
ヨーロピアンオプション<ref>満期日のみ行使可能なオプション。</ref>のオプション・プレミアム<ref>コール・オプションとプット・オプションの両方について。[[オプション取引]]参照。</ref>のみに適用可能で、アメリカン・オプション<ref>購入日から満期日までのいつでも権利行使することのできるオプション。その分、アメリカンプットオプションのプレミアムは割高になっている。
:行使日が分からないため価格付けが難しい(※)。良い計算方法が理論化できていない。しかし[[格子モデル]]や {{仮リンク|ブレネン|en|Michael Brennan (finance)}}-{{仮リンク|シヴァルツ|en|Eduardo Schwartz}}アルゴリズムなどがよく用いられている
 
(※){{Citation|和書
|author = S.M.ロス
|translator = 西村優子, 高見茂雄, 西村陽一郎
|date = 2002
|title = ファイナンス~PVとオプション~
|publisher = 同友館
|isbn = 9784496034749}}</ref>には使用できない。<ref>ただし、ブラック-ショールズモデルにおけるアメリカンコールオプションの理論価格はヨーロピアンコールオプションの理論価格と一致する {{Harvnb|Shreve|(2004)|ref=Shreve2004}}, section 8.5</ref>。ブラック–ショールズモデルの下で、満期 ''T'' において行使価格が ''K'' であるヨーロッパピアン・コールのオプションプレミアム ''C'' = ''C''(''S''<sub>''t''</sub>, ''t'') が[[無裁定価格理論|無裁定]]となるように適正な価格となる条件を求める。区間 [0, ''T''] で自己資本充足的な取引戦略 (''a'', ''b'') を、各 ''t'' 時点で次のように定める。これを'''複製ポートフォリオ''' ([[:en:replicating portfolio|replicating portfolio]]) という。
 
: <math>C(S_t,t) = a_t S_t + b_t B_t</math>