「スティーブ・ナッシュ」の版間の差分

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ところがナッシュのサンズ復帰は予想以上の効果をもたらした。前年からサンズの指揮を執り始めた[[マイク・ダントーニ]]はアップテンポなバスケスタイルを標榜しており、スモールラインアップを敷いて機動力を重視し、アウトサイドシュートを中心としたラン&ガンオフェンスの構築を求めていた。このダントーニの理想に、ナッシュの能力が尽くフィットしたのである。ナッシュはマーベリックス時代も[[ドン・ネルソン]]が得意とするラン&ガンオフェンスの司令塔を務めていたため、ラン&ガンを展開するのはお手の物であり、さらにナッシュはリーグ屈指のアウトサイドシューターだった。ナッシュは若く身体能力に溢れ、フィニッシュ能力にも優れたチームメイト、[[アマレ・スタウダマイアー]]、[[ショーン・マリオン]]、[[ジョー・ジョンソン]]らを巧みに操り、サンズのオフェンス力を劇的に向上させた。ナッシュの居ない前年のサンズの平均得点は94.2点だったが、ナッシュ一人が加わったこのシーズンのサンズは110.4点。僅か1年で16点以上も向上したのである。ナッシュの移籍はリーグ全体にも影響を及ぼした。当時のNBAはディフェンシブなチーム作りが主流となっており、前年のリーグ全体の平均得点は93.4点だったが、このナッシュのサンズ移籍一つでリーグ全体の平均得点は97.2点に跳ね上がった。サンズの平均110.4得点はリーグでも断トツで、2位の[[サクラメント・キングス]](103.7点)とは約7点もの差をつけており、この数字がいかに衝撃的なものだったかを物語っている。
 
ダントーニ指揮下でのプレイはナッシュの能力の全てを引き出し、ナッシュ個人の成績も15.5得点11.5アシスト、FG成功率50.2%、3P成功率43.1%と大幅に向上した。特に11.5アシストは2位以下を大きく引き離すリーグ1位となり、初のアシスト王に輝き、さらにオールNBAチームでは初の1stチーム入りを果たしている。リーグ1のオフェンス力とリーグ最高峰の司令塔に率いられたサンズは快進撃を続け、リーグ首位となる62勝20敗を記録。前年の29勝から33勝分を積み上げ、一躍エリートチームの仲間入りを果たした。このシーズンはナッシュと同様に[[シャキール・オニール]]が移籍先の[[マイアミ・ヒート]]の勝率を大きく向上させており、MVP投票ではナッシュとオニールの[[一騎]]となった。個人成績ではオニールが上だったが、より世間にインパクトを与えたナッシュがMVPを獲得した。ナッシュのMVP受賞はカナダ人選手初であり、外国生まれの選手としては[[アキーム・オラジュワン]]についで2人目、さらにポイントガードとしては[[ボブ・クージー]]、[[マジック・ジョンソン]]に続く史上3人目であった。また歴代受賞者の中ではドラフト指名時の順位が低かった。さらにダントーニも[[NBA最優秀コーチ賞|最優秀コーチ]]に選ばれており、このシーズンのNBAは正にサンズ一色となった。
 
プレーオフでは1回戦で[[パウ・ガソル]]の[[メンフィス・グリズリーズ]]をスイープで降すと、カンファレンス準決勝で古巣のマーベリックスと対決。勝敗を決した第6戦では試合終盤に16点差を引っ繰り返す活躍を見せ、あわや[[トリプル・ダブル]]となる39点12アシスト9リバウンドをあげてチームを勝利に導いた。ここまで順調に勝ち上がり、ナッシュにとってもサンズにとっても初の優勝が見えてきたが、カンファレンス決勝でスパーズが立ちはだかる。サンズは得点力を上げるかわりにディフェンスを犠牲にしており、平均失点はリーグ最下位の103.3点だったが、試合巧者のスパーズがサンズの脆いディフェンスを突き崩し、サンズはこのシリーズで平均109.2失点を喫し、1勝4敗の完敗を喫した。マーベリックス時代同様、サンズでもこのスパーズがナッシュにとっての厄介の種となる。