「段ボール」の版間の差分

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{{出典の明記|date=2016年3月21日 (月) 05:38 (UTC)}}
[[画像:HK Paper Corrugated fiberboard 1.JPG|right|300px|thumb|束ねられた段ボール箱]]
'''段ボール'''(だんボール、{{lang-en-short|corrugated cardboard}})とは板紙を多層構造で強靭にし、包装資材などに使用できるよう加工した板状の[[紙]]製品。素材としての段ボールシートのほか、再加工した段ボール箱、その他の段ボール製品を指すこともある。「'''ダンボール'''」という表記もされる。
 
== 概要 ==
一般には、波状に加工した紙を表裏の紙で挟んで接着し、強度を持たせた構造をしている。さらに多層に加工したものや、波状の紙が表面にでている片面段ボールもある。
 
段ボールの名は、原紙に[[ボール紙]](ボールは英語のboardに由来)を用いていたことと、断面の波型が[[階段]]状に見えることによる。
段ボウルともいう。
 
段ボール箱からは腐食性ガスがわずかながら発生するので、電子部品などの長期保存には向かない。
 
== 歴史 ==
おおおおおお
段ボールは[[19世紀]]の[[イギリス]]において当時流行していた[[シルクハット]]の内側の汗を吸い取るために開発された。のちに包装資材として利用されるようになったのは、[[アメリカ合衆国]]において[[ガラス]]製品の包装に使用されたのが始まりである。現在用いられている段ボールを作成し、[[日本]]において「段ボール」という言葉を作ったのは[[井上貞治郎]]である。
 
== 段ボールシート ==
狭義では段ボールとはこの段ボールシートを指し、本来の段ボールもこれのことだった。様々な段ボール製品の素材であり、[[#ライナー|ライナー]]にフルーテッド(波型)に加工した中芯を貼り付け、さらに裏側にライナーで補強したシート状(板状)のもの。
 
あああああああああああああああああああああああああああああ
中芯の山の密度を指すフルート<ref>段目とも言う。「Aフルート」などは「A段」との言い換えが可能。</ref>には、Aフルート・Bフルート・Cフルート・Eフルート・Fフルート・Gフルートまでが現在使用されており、Gに近づくほど細かい波形となる(CフルートだけはAとBの中間の厚み)。
 
一般に使用されるのは、Aフルート、Bフルート、E/F/Gフルート(マイクロフルート)である。また、表にBフルート裏にAフルートを貼り合わせたシートはBAフルート・ABフルートまたはWフルートと呼ばれる。段ボールシートの用途は一般的に製函用途が多いが、緩衝材や[[コンクリートパネル]]などにも使用される。輸出梱包にはAAAフルート(トリプルウォール等)、AAフルート(バイウォール等)など特殊な段ボールが木箱や鉄枠のかわりに使用されることがある。
 
Wフルートについては、BCフルート、BBフルート、EBフルートもまたWフルートであり、これらBC・BB・EBフルートは日本国内では使用量も少なく、取り扱う企業も少ない。
 
近年、AフルートからCフルートへの変更を勧める企業が見受けられるが、薄くなるため強度的には若干落ちる。しかし、海外工場(中国工場等)との包装設計の共有化を進める場合には、効果がある。
 
== 段ボール箱 ==
[[File:Simple cardboard box.svg|thumb|段ボール箱]]
[[File:Yamato Transport's corrugated cardboard in Japan 2010.jpg|thumb|[[クロネコヤマト]]]]
'''段ボール箱'''は、段ボールシートを素材とする[[箱]]である。軽さと強度、構造に由来する衝撃吸収性、何度も折りたたんでは組み立てられる利便性などから、[[宅配便]]、[[小包郵便物]]、[[引越し]]等の[[運輸業]]、または[[貯蔵]]の分野で、従来の木箱に取って代わるようになった。通常折りたたむと一枚の平坦な[[板]]状になる。日常的に「段ボール」という言葉を使う場合、この段ボール箱を指すことが多い。
 
蓋を折り込むことで段ボール箱だけでも組み立てられるが、構造的な強化のために[[ガムテープ]]、[[クラフト粘着テープ|クラフトテープ]]、[[二軸延伸ポリプロピレン|OPP]]テープなどの[[粘着テープ]]を使うことが多い。機械などの重量物を入れる場合は、[[接着剤]]や両面テープを使い、さらに[[金具]]またはバンドで固定する。
 
A式(A形)・B式(B形)・C式(C形)などの形状がある。最も普及しているのはA式(A形)と呼ばれる形状で、箱の上下に開閉可能な蓋がついている(俗に言う蜜柑箱)。
JISのコード番号で箱の形式をいう場合もあるが、実務ではあまり使用されていない(JIS Z 1507)。
 
段ボール箱の応用で、内側に[[ポリエチレン]]などの[[合成樹脂]]で作った袋を取り付け、液体包装に用いる容器も製造されている(バッグ・イン・カートン、バッグ・イン・ボックス)。
 
== シートの製造方法 ==
段ボールは'''コルゲータ(コルゲートマシン)'''を通して製造される。コルゲータはシングルフェーサ・ダブルバッカー・カッターによって構成される。また、ライナーと中芯を接着するための製糊装置、さらに糊を溶かすための熱を発生させるためにボイラが必要である。完成された段ボールは、'''プリスロ(プリンタースロッタ)'''によって印刷され、'''グルア(糊付機)'''または'''ステッチャ(段ボールを平線(針金)で接合する機械)'''によって段ボール箱へと加工されてゆく。箱の形状によっては'''ダイカッタ(型抜機)'''によって型抜きして加工される。加工されて不要になった部分は[[裁ち落とし]](裁落)として回収され、再び段ボール原紙として利用される。
 
=== 段ボール原紙 ===
'''段原紙'''ともいう。段ボール原紙は'''ライナー'''と'''中芯'''(なかしん)に大別される。両方とも最初はロール紙の形をとっており、それをコルゲータにかけることによって両者を貼り合わせ、段ボールとなる。
 
[[中華人民共和国|中国]][[広東省]][[東莞市]]には、多くの段ボール原紙工場が集中しており、世界有数の産地となっている。ナイン・ドラゴンズ・ペーパー(玖龍紙業)、リー&マン・ペーパー(理文造紙)等。
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==== ライナー ====
ライナー ({{en|liner}}) とは、段ボールの外側を形成する紙のことをいう。ライナーは多層抄きの板紙で、通常4層抄きである。
 
原料は主に[[古紙]]・[[クラフトパルプ]]を用いるが、日本では古紙を使用することが多い。別抄きのグレード等例外はあるが、Kライナー(クラフトライナー)はバージンパルプ100%、Cライナー(ジュートライナー)は古紙90%以上を使用する。また、輸入原紙にはこれは当て嵌まらない。主にK7・K6・K5・C6・C5・D4・D3の種類があり、K7が最も硬く、D3が最も柔らかい。なお、C6・D3は需要が少ないため使用されなくなりつつある。C6はK5で、D3は普通芯で代用する。また、表面に漂白パルプを流したもの(OPB6・OPC5)、撥水・耐水原紙、純白、赤、黄色、木目調などの色ライナー、プレプリント原紙など多種多様である。OPB6はOyster Pearl B級 6(匁)、OPC5はOyster Pearl C級 5(匁)の略。乳白色をしているので、こう呼ばれている。
 
[[坪量]](米坪)は120gsmから469gsm程度まで幅広い(輸入原紙を含む)。K7等の表記に関しては段ボール業界の慣習的表記であり、正式な包装設計図面等にはK280またはK280gと表記されることが多い。Kライナーには各種グレードが存在し、原紙単位の数量の発注が可能であれば、グレード及びgsm単位で原紙を指定して製紙会社にライナー・中芯原紙を抄造してもらうことも可能である(色ライナー、プレプリントも可)。ライナーには、強度が求められるため、[[アクリルアミド#ポリアクリルアミド|ポリアクリルアミド]]や[[デンプン|変性でん粉]]などの[[紙力増強剤]]が添加され、また、吸湿防止のための[[サイズ剤]]が使用されることもある。必要に応じて、[[製紙用薬品#二次加工用薬品|撥水剤]]が塗布されることもある。
 
また、D3の下のグレードとして、普通芯を段ボールシートの表裏に貼合する場合がある。通常、撥水・耐水原紙を使用する場合、ライナーに限らず中芯及び貼合用糊、グルア用糊、印刷[[インキ]]も撥水・耐水用が使用される。
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中芯とは段ボールの内側、つまり波状部分を形成する紙である。中芯は多層抄きの板紙で、通常4層抄きである。原料は主に古紙を使用する。
 
V20・V19・V18・V16・V12・S18・S16・S14・S13・S12・S11・S10の種類があり、V20が最も硬くS10が最も柔らかい。なお、Vと付く種類の紙は紙力増強剤を使用してより強度が上げられている強化芯である。一般的に「普通芯」あるいは「中芯表示は無表記・Sのみ表記」の場合は、S12(scp115gsm~scp125gsm)が使用されている。
 
ライナーほど種類は多くないが耐水性を向上させたものなどがある。S16等の表記もまたライナー表記と同様に業界の慣習的表記であり、それぞれの企業によって異なる。例えば、強化芯180gsm(kscp180gsm)の場合V18・HP18・P18・MM18・HP8・P8・M8等表記し、各企業によってまちまちである。
 
== 段ボール製品 ==
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段ボールシートを加工し、[[家具]]・[[ノート]]などの文具などに使用する例もある。地震などの避難所で、衝立や小部屋状に組み立てて使う例もある。災害用簡易トイレも作られている。波打った断面部を表面にすることで吸音・遮音性もある程度あり、手作りの防音部屋用の素材としても使える。
 
製品もある。
段ボールシートを加工し、[[自作パソコン]]のケースとして販売されている製品もある。
 
== プラスチック段ボール ==
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通称「プラダン(プラ段)」または「ダンプラ(段プラ)」と呼ばれる、[[プラスチック]](主に[[ポリプロピレン]])製の段ボールに類似した中空構造のシート。
 
紙でできた段ボール板に比べて耐水性、耐久性に勝るので、強度が必要な用途や、長期利用もしくは再利用を前提としたケース類などに使用される。不織布や高発泡ポリエチレンシートを貼ったプラダンや、黒色の導電性プラダン(静電気に弱い精密電子部品の輸送用)もある。
 
プラダンの場合、輸送箱として使われるだけではなく、建設業や引越し業で使用される[[養生シート]]としての使用も多い。寸法は通常の段ボールシートとは幅と長さ(流れ)が逆になる。