「停止位置目標」の版間の差分

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{{画像提供依頼|下置き式の停止位置目標・西日本と関西地区以外の停止位置目標・私鉄の停止位置目標|date=2010年9月|cat=鉄道}}
'''停止位置目標'''(ていしいちもくひょう)は、主に[[鉄道駅]]の線路脇に設置してある、[[運転士]]が[[列車]]を停車させる位置を示す目標物。この目標物には、列車の編成を示す数字が表示されている。略して停目(ていもく)とも呼ばれる。停止位置目標は線路配線、有効長、駅舎・ホームの構造と長さ、その他運転上の理由によって決定される。
 
ここでは主に日本の[[JR]]のものについて述べるが、[[私鉄]]についてもよく見られるもの、特徴的なものについては記している。また私鉄では系列会社関係にあったり、系列でなくとも地理的に近い場合、複数の鉄道会社で同じデザインを使用するケースが見られる。
 
== 設置位置 ==
以下の二種類に大別される。各鉄道会社では原則としてどちらか一つの方式を採用するが、特に重要なターミナル駅や、運転士から見て停止位置がわかり難い駅では、どちらも設置している。[[四国旅客鉄道|JR四国]]や[[京成電鉄]]、[[京浜急行電鉄]]、[[阪急電鉄]]、[[阪神電気鉄道]]などではどちらかに固執せず、必要に応じてどちらかを使用するという、柔軟な方針が見られる。
 
=== 横置き式 ===
進行方向左側(ホームなどがある場合は右側)の線路脇に棒を立て、その先に電車・気動車の場合は'''◇'''型、機関車牽引列車の場合は'''□'''型の停止位置目標を付ける。かつては[[混合列車]]用の'''△'''型も存在した。進行方向左側のホームの屋根などから棒を下げて、その先に目標を付ける方法もあるが、これも同じ方式の一種と捉えてよい。
 
* 長所
** 降雪時でも目標が隠れない。この為豪雪地帯ではかなり上に目標を設置する。
** 停止位置目標で停止しても、乗務員室の側窓などから運転士が停止位置目標を比較的確認しやすい。
JRは原則としてこの方式である。進行方向左側の屋根の無いホーム上や、線路の外側に余裕がある場所に設置する場合には、逆L字型の棒の先に目標を付け、運転士の目線の高さになるようにしている。また線路の間など建築限界に余裕の無い場所の場合は、棒の太さにあわせた小さい停止位置目標が設置されている場合もある。私鉄にも存在するが、関西など西日本には◇でなく長方形を使う私鉄もある。
 
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ファイル:SPLong Stop Ita.jpg|最長編成用の停止位置目標
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線路の間、枕木の上に四角形の停止位置目標を置く。
 
**
これは私鉄の一部、関東大手では[[京王電鉄]]とそれより北に位置する[[西武鉄道]]、[[東武グループ]]で、関西大手では[[近畿日本鉄道]]などで使用されている。
 
* 長所
** 線路が並んでいても、どちらの線路の停止位置目標かすぐ判る。横置き式でこの状況になった場合は、番線表示や朱色の矢印で左右どちらかを示したり、またどちらかの線路が待避線の場合は、待避線側の目標の上や中に'''待'''と書かれたものをつけることになる。
** 線路の両側をホームやトンネルの壁に挟まれても、設置に余裕がある。この為地下駅や地下鉄は殆ど全てこちらの方式のみである。
** 運転士から見て比較的中央に位置する為、感覚的に把握し易い。
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ファイル:Jimbocho-Sta-stopmark.JPG|下置き式の停止位置目標([[都営地下鉄新宿線|都営新宿線]][[神保町駅]])
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== 数字・記号の表記方法 ==
[[File:Stop position sign at Yaga Sta.jpg|thumb|250px|[[東海旅客鉄道]][[御殿場線]][[谷峨駅]]の停止位置目標。数字が書いてあるもの(2から6まで)はその両数の列車、一番奥の「○」は7両編成以上の列車に対する目標となる]]
*
目標の中に1つの数字が書かれていて、手前にある目標の数字を超え、書かれた数字以下の両数の列車が停止する。
 
その駅に停車できる一番長い列車の目標には、数字ではなく×印が書かれている(例:4・8・×と目標が設置してある場合、4の位置には1 - 4両編成の列車が、8の位置には5 - 8両編成の列車が停車する。9両以上の列車は×の位置に停車する)。[[京阪電気鉄道]]のように、1つの棒にそれぞれに違う数字の書かれた複数の標識が付いている場合もある(例:「7・8」の場合は7 - 8両編成の列車が、「4・5・6」の場合は4 - 6両編成の列車が、「4 - 7」の場合は4 - 6両編成の列車が停車する。ただし同社では現在5両および6両編成を保有しなくなったため、「5」と「6」の停止位置目標は撤去または他の編成両数の数字に書き換えられている)。
 
この他の表記方法も存在していた事例があり、近畿日本鉄道では、1980年代中頃までは停止位置目標を縦の細棒「|」と縦の太棒「|」とで表記しており、細棒が1両を表し、太棒が5両を表していた(例:4両停止位置の場合は縦の細棒が4本、8両停止位置の場合は左から順に縦の太棒1本と縦の細棒3本、10両停止位置の場合は縦の太棒2本で表記していた)が、1980年代後半頃以降は算用数字で表記する現在の方式に変更された。
 
全ての編成が同じ位置に停車する場合、最も多い表記は無記載、つまり◇か□である。次に多いのが○印であるが、鉄道会社により以下の表記も使われている。
* Stopの「S」([[京成電鉄]]やその子会社)
* 停止の「停」([[東武鉄道]]やその子会社)
* ×(JR各社、[[西武鉄道]]、[[近江鉄道]]、[[京阪電気鉄道]])
* 停車目標([[名古屋市営地下鉄]])
* 全([[山陽電気鉄道]]、[[名古屋鉄道]])
車体長の異なる(例えば17m車と20m車)、または車体長が同一であっても車両の仕様が異なる複数の形式が混在して運用されている場合
* 短い車体の編成両数に赤い◇の縁取り表示をする([[名鉄犬山線]]など)
* 「中」(中型)や「S」(Short)、「Z」([[ズームカー]])の文字を添える
* 長い車体の編成両数に○印をつける
* 形式によって色を変える([[近鉄難波線]]と[[近鉄奈良線]]は赤と黄、[[阪神本線]]と[[阪神なんば線]]は白と緑、名鉄は白と青等、他にJR九州など)
* 特定の形式専用の停止位置を別に用意する(京成[[スカイライナー]]車両用、西武4000系の観光列車「52席の至福」用の「観」、JR西日本特急形電車の一部など)
列車種別・行先などによって停止位置を異ならせる場合
* 特定の列車種別・行先の略称を付与する
* 試運転の場合は「試」、検測車両の場合は「検」などの略称を使用(一部路線で実施)
などの方式がある。ただし大都市近郊の路線では、使用される車両のサイズが路線全体で共通化される傾向があり、こうした補助表記は少なくなっている。
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ファイル:Meidaimae lineNo3 stop position sign.JPG|京王の例。手前の○なしは18.5m級の[[京王3000系電車|3000系]]用、奥の○付きは20m級の[[京王1000系電車 (2代)|1000系]]用。現在前者は撤去されている。
ファイル:Stoptarget conducter ×.jpg|281系・381系など形式を表記した例<br />([[大阪環状線]][[西九条駅]])
ファイル:Stoptarget conducter W・×.JPG|500系用 (W) と300系・700系・N700系用<br />([[東海道新幹線]][[東京駅]])
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== その他の補助表記・例外など ==
特定の系列で他の車両と編成長などが異なるために同じ両数でも停止位置が変わる場合、あるいは整列乗車における乗客の列を列車種別および行き先で分散するために停止位置を違える場合には、停止位置をその車両の系列名や車両愛称、および列車種別、行き先を記すことが多い。
* 東北・上越新幹線
** 編成ごとに編成長や両数が異なっているため、車両数の数字の枠が車両のラインカラーに近い色の電飾で光るものを採用している。また、山形・秋田新幹線対応車両用の'''山'''・'''秋'''(在来線区間は共通で'''幹''')・事業用車両 ([[ドクターイエロー#E926形|East i]]) 用の'''事'''・試験車両(E6系等)用の'''試'''と書かれた停車目標を採用している駅もある。
* 東海道・山陽新幹線
**500系16両W編成が使用する'''W'''の表示と、300系・700系・N700系が使用する'''×'''の表示が10cmほどずらして設置されていた。さらに[[新大阪駅]]・[[岡山駅]]など固定式の安全柵のある駅では、500系8両V編成が使用する'''V'''の表示が、他の8両編成の車両(700系・N700系)が使用する'''8'''の表示とずらして設置されている。しかし、山陽新幹線区間のその他の駅では、16両編成の車両は'''16'''と表示されたものを、8両編成の車両は'''8'''と書かれた標識を共通で使用している。これは山陽新幹線区間のほとんどの駅には安全柵がなく、可動式の柵のある駅([[新神戸駅]]等)の場合でも柵と車両の間に人が通れる余裕があるため、同じ標識を共通で使用し多少ドアの位置がずれても乗降が可能なためである。
* 京成電鉄
** [[スカイライナー]]([[京成AE100形電車|AE100形]]および[[京成AE形電車 (2代)|AE形(2代)]])は他の車両と車体長が違う事から、「AE '''S'''」と書かれた専用の停止位置が用意されている。なお、1991年から1993年まではAE100形と車体長の異なる[[京成AE形電車 (初代)|AE車(初代)]]が在籍していたことから、AE車の停止位置を青地で「AE '''在'''」とし、AE100形の停止位置を白地で「AE '''N'''」としていた駅もあった。
* [[小田急ロマンスカー]]
** 料金制特急専用車両では運転台が高い位置にあり、通常の横置き式や下置き式では大変見えにくいことから、運転台にあわせた高い位置に専用の目標を設置することもある。また、LSE・<del>HiSE</del>(2012年に引退)・VSE専用停止位置目標として、菱形の中に各車種の頭文字として「'''LHV'''」と書かれている。
* 名古屋鉄道
** 名鉄名古屋駅では列車の行き先、種別、編成によって停止位置を変えるようにしている。また急行型車両を使用する場合、乗車位置が変わることから線路脇に別の標識を設けている。過去には小田急同様、[[名鉄パノラマカー]]専用の位置が高い停止目標もあった。
* 京阪電気鉄道
** 京阪では一部の駅において、快速急行以上の列車(快速急行の他、通勤快急・特急・快速特急が該当)とそれ以外の列車とで整列乗車の位置を分散しているが、快速急行以上の列車の停車駅(一部の駅では片方向のみで実施)では、通常の停止位置目標とは別に、快速急行以上の列車のみで使用する専用の停止位置目標が用意されている。快速急行以上の列車用の標識は黄地で「4特・快」「7特・快」「8特・快」「7・8特・快」(数字部分は黒文字で「特・快」の文字は赤文字)と表示されている。なお、快速急行以上の列車であっても専用の停止位置目標を設置していない場合は、それ以外の列車種別と同様に通常の停止位置目標に停止する。
* 阪神電気鉄道・近畿日本鉄道
** 相互直通運転を行っている近鉄と阪神では車両長が異なるため、それぞれの駅で他社用の停車位置目標が設置されている。阪神線内では阪神・山陽兼用の標識が白地に黒文字の「2」「4」「6」「8」「10」(ないし表示無し)であるのに対し、阪神線内での近鉄車に対する停止位置目標は、緑地に白文字の「近6」「近8」「近10」「近」、近鉄線内では近鉄・京都市営地下鉄兼用の標識が赤地に白文字の「2」「3」「4」「5」「6」「7」「8」「9」「10」(ないし表示無し)であるのに対し、阪神車に対する停止位置目標は黄色地に黒文字の「H6」「H8」「H10」で表す。なお阪神では一部の駅を除き、横置き式から下置き式に変更している。
* [[えちぜん鉄道]]
** [[勝山駅]]と[[三国港駅]]に[[夜間滞泊]]用の停止位置目標が設置されている。車止めから順にA・B・C・Dと続いていて、ホームから続いている線路を[[車両基地#電留線・留置線|留置線]]として使用している。
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ファイル:Stop position sign at Kazamatsuri Sta ja.jpg|[[小田急ロマンスカー]]用に高いところに設けられた停止位置目標(箱根登山鉄道[[風祭駅]])
ファイル:Meitetsu Nagoya Station 001.JPG|[[名鉄名古屋駅]]のホーム下の電光式停止位置目標
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== 車両側の目印 ==
JRの場合在来線では、停車位置目標に車両の先頭部を合わせて停車することがほとんどである。しかし新幹線では先頭部が張り出しており、また系列により張り出している部分の長さも異なっているため、在来線の方式では停車位置を合わせることは困難である。このため新幹線の場合は、運転席の左右の窓枠の内側に目印がつけてあり、その部分を停車位置目標に合わせることによりどの系列の車両でもドアの位置を合わせて停車することができるようになっている。
 
JRの在来線で車両側に停止位置目標を装備した例としては[[お召し列車]]牽引用機関車の[[国鉄EF58形電気機関車|EF58形60・61号機]]がある。運転台側窓の直下に停車位置基準板が収納設置されており、お召し列車運転時には基準板を引き出してホーム側の停車目印に合わせて停車させている。
 
== 車掌用の停車位置目標 ==
編成途中の車掌室の位置や最後部の乗務員室の位置にも、ドア開閉に伴う停車位置確認用の停車位置目標が記されている事業者がある。これは特にホーム側に安全柵があり、安全柵と車両の間に人が通れる余裕がない場合、停止位置がずれると乗客が乗降できなくなるため、車掌がドアを開ける際、乗降に支障のない位置に停車したかどうかを確認する必要があるためである。
 
表記方法は2通りあり、囲み数字で書かれている通常タイプと連続して表記しているラインタイプとが存在している。
 
東海道新幹線では、300系(緑)・500系(青)・700系(白)・N700系(橙)の色別の形式ラインがあり、ラインの中ほど(正確に停車した場合の車掌室ドアの位置)に赤い●が描かれている(下の画像参照)。この場合、停車した際に車掌室ドアがライン内にあれば、多少位置がずれていても安全柵が邪魔にならずに乗客の乗降は行える。
 
同様に山陽新幹線でも色別の形式ラインがある。16両編成以外では、4,6,8両のそれぞれの編成に対応した形式ラインが設置されている。すでに0系W<small>R</small>編成は廃車となっているが、W<small>R</small>編成用の形式ラインが残っている駅もある。
 
車掌用の停車位置目標はホームに描かれている場合が多いが、車掌の視野や積雪等を考慮し、目標の壁への貼り付け・天井からのつり下げ・旗の設置等をしている場合もある。例えば東武鉄道では円形板を表示する方式で統一している為、屋根の無いホームでは標識のためだけに柱が建てられている。
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ファイル:Trainstoptarget for crew kawasakisinmachi.jpg|[[南武線]] [[川崎新町駅]](通常タイプ)
ファイル:車掌用停止位置目標・蘇我駅.jpg|[[蘇我駅]] [[内房線]]上りホーム(ラインタイプ)
ファイル:停止位置目標・車掌用a.jpg|東海道新幹線東京駅(ラインタイプ、500系用)
ファイル:停止位置目標・車掌用b.jpg|東海道新幹線東京駅(ラインタイプ、300系・700系・N700系用)
ファイル:Conductormark.jpg|上越新幹線燕三条駅(通常タイプ)
ファイル:JR-west stoptarget conducter.jpg|JR西日本ホーム柵設置駅用停止位置目標(ラインタイプ)
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== 関連項目 ==
* [[鉄道標識]]
* [[乗車位置標示]]
 
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