「キレトロピー反応」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
m ボット: 言語間リンク 6 件をウィキデータ上の d:Q3235169 に転記
MomijiRoBot (会話 | 投稿記録)
m Bot: π → π ,Replaced HTML character entity reference to the equivalent character/string∵Check Wikipedia #11
1行目:
'''キレトロピー反応'''(&mdash;はんのう、cheletropic reaction)はある分子の1つの原子が、[[Π電子|&pi;π電子]]系の両端に同時に付加して環を形成する[[化学反応]]とその[[逆反応]]のことである<ref>[http://goldbook.iupac.org/C01014.html IUPAC Gold Book - cheletropic reaction]</ref>。
[[環化付加反応]]の一方の&pi;π電子系が1原子のものとみなすこともできるので、(m+1)環化付加反応と分類することもある。
 
キレトロピー反応は[[ペリ環状反応]]の一種とされ、原子から&pi;π電子系に付加する2つの結合は協奏的に生成する。
逆反応では2つの結合が同時に切断される。
反応例としては[[アルケン]]への[[ジクロロカルベン]]の付加や、1,3-[[ブタジエン]]や1,3,5-[[ヘキサトリエン]]への[[二酸化硫黄]]の付加反応、ノルボルナジエノンから[[一酸化炭素]]の[[脱離反応]]などが知られている。
11行目:
しかしキレトロピー反応においては立体特異性を予測するのは困難である。
それは以下の理由による。
付加する原子は&pi;π電子系に供与する[[孤立電子対]]の入った軌道と&pi;π電子系から電子をうけとる空軌道を持ち、これら2つの軌道が&pi;π電子系と相互作用する。
仮にxy平面内にある&pi;π電子系にx軸方向から原子が接近するとした場合、これらの軌道は1つはx軸方向に、もうひとつはそれとは垂直なy軸方向に位置する。
x軸方向の軌道は&pi;π電子系とは[[スプラ]]面型に、y軸方向の軌道は[[アンタラ]]面型に相互作用する。
するとウッドワード・ホフマン則からは次の熱反応の選択律が導かれる。
*x軸方向の軌道に孤立電子対がある場合、4m + 2の&pi;π電子系ではアンタラ面型反応が許容。4mの&pi;π電子系ではスプラ面型反応が許容。
*y軸方向の軌道に孤立電子対がある場合、4m + 2の&pi;π電子系ではスプラ面型反応が許容。4mの&pi;π電子系ではアンタラ面型反応が許容。
このように孤立電子対が存在する軌道がどのような向きで接近するかによって異なる選択律が適用される。[[立体障害]]的な点からx軸方向の軌道に孤立電子対がある形で反応する様式が有利であり、どちらかといえば一般的である。