「ポール・ランド」の版間の差分

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{{cquote|ランドはほとんど彼ひとりの力でデザインが効果的な道具であるということをビジネス界に納得させてしまった。[. . .] 1950年代から1960年代にかけてデザインをしていた者は、ランドに大きく助けられた。彼はそれが仕事になりうる状況を作ってくれたのだ。彼は誰よりもデザインという職能の地位を向上させることに貢献した。我々は彼のおかげで商業芸術家ではなくてグラフィック・デザイナーになることができたのだ。<ref name="heller"/>}}
 
ランドの仕事を端的にあらわすコーポレートアイデンティティは彼によって1956年にデザインされたIBMのロゴである。[[マーク・フェーヴァーマン]](Mark Favermann)は、これは「単なるアイデンティティではなく、この企業全体の意識と一般への受容に深く浸透した基本的なデザイン哲学となった」<ref name="favermann">Favermann, Mark. “Two Twentieth-Century Icons.” ''Art New England'' Apr&ndash;May 1997: 15.</ref>と述べている。ロゴは1960年にランド自身によって改変され、1972年にはストライプのものが誕生する。ランドは1970年代初期から1980年代初期にかけてIBMのために梱包材やマーケティングのための資料のデザインも行い、この中であの有名な「アイ(eye=目)、ビー(bee=蜂)、エム(IBMロゴのM)」ポスターも誕生した(英語版本記事の図Bを参照)。[[フォード・モーター|フォード]]は1960年代にランドに企業ロゴのデザイン見直しを依頼したが、結局、彼による最新化されたロゴは用いない決定をしている(英語版本記事の図Cを参照)。
 
ランドのロゴ・デザインはシンプルで単純なものだと見なされやすい。彼は『デザイナーの技芸』(''A Designer’s Art'')の中ですでに「独自のものや刺激的なものを生み出すためにアイデア自体が難解なものになる必要はない」と指摘している<ref name="rand2"/>。こうした最小限志向な理想と、ロゴは「最大限のシンプルさと慎ましさをもってデザインしなければ生き残るものにはならない」<ref name="rand2"/>というランドの理念は、彼のABCテレビのためのロゴ(1962年)に典型的に示されている。