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'''形而上絵画'''('''けいじじょうかいが''')とは、[[1910年代]]前半に、[[ジョルジョ・デ・キリコ]](Giorgio de Chirico, [[1888年]]-[[1978年]])により始められた、[[絵画]]の一形式。<br>
 
アーノルト・ベックリン(Arnold Böcklin; 1827年-1901年)やマックス・クリンガー(Max Klinger; 1857年-1920年)の影響を受けたとされる。
 
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#長い影が描かれている。作品によっては、画面内の時計が示している時刻と影の長さの辻褄が合わない。例えば、時計は、正午に比較的近い時刻を示しているのに、影がひどく長い、など。
#画面内に汽車が描かれており、煙を出しているので、走っていると思われるのに、煙はまっすぐ上に向かっている。
などが挙げられる。<br>
 
これらの特徴の結果、作品を見る者は、静謐、郷愁、謎、幻惑、困惑、不安などを感じることが多い。<br>
 
形而上絵画を描いた者としては、他に、[[カルロ・カッラ]](Carlo Carra; [[1881年]]-[[1966年]])や[[ジョルジョ・モランディ]](Giorgio Morandi; [[1890年]]-[[1964年]])が挙げられる。さらに、デ・キリコの弟であるアルベルト・サヴィニオ(Alberto Savinio (本名Andrea de Chirico); 1891年-1952年)や、マリオ・シローニ(Mario Sironi; 1885年-1961年)、フィリッポ・デ・ピシス(Filippo de Pisis; 1896年-1956年)などの一部の作品が挙げられることもある。
 
[[アンドレ・ブルトン]]は、デ・キリコの形而上作品を、それが引き起こす感覚ゆえに、高く評価し、[[シュルレアリスム]]を創始するときの1つの源泉として位置付けた。また、[[マックス・エルンスト]]、[[ルネ・マグリット]]、[[イヴ・タンギー]]、[[ポール・デルヴォー]]などへ、強い影響を、場合によっては決定的な影響を与えている。
 
デ・キリコ、カッラ、モランディといった作家は、いずれも、1910年代後半から[[1920年代]]にかけて、形而上絵画から離れ、特に、デ・キリコは、([[パブロ・ピカソ|ピカソ]]の[[キュビスム]]時代のあとのように)一転して古典的な画風の作品を描くようになり、これに対しては、ブルトンからは、否定的な評価がなされている。<br>
 
また、デ・キリコは1920年代以降も、古典的な画風の作品とともに、形而上絵画と呼べるような作品を、多数制作した(特に1910年代の作品とまったく同じ題材の作品を多く制作している)が、ブルトンが高く評価しなかったこともあり、1910年代の形而上絵画作品のみが優れているという評価をされることも多い。
 
なお、デ・キリコの形而上作品は、1910年代だけで、100点以上存在する。