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==水和物(hydrate)==
結晶水を持つ[[塩 (化学)|塩]]は[[水和物]]として知られる。[[水素結合]]が存在することによって高次構造が形成されるため、水和物の構造は非常に複雑である。歴史的に多くの水和物の構造は未知であったため、化学式中では水分子の結合様式を省き、点を使って組成を示した。以下に例を挙げる。
*CuSO<sub>4</sub>&bull;5H•5H<sub>2</sub>O — 硫酸銅(II) 五水和物
*CoI<sub>2</sub>&bull;6H•6H<sub>2</sub>O — ヨウ化コバルト(II)六水和物
*SnCl<sub>2</sub>&bull;2H•2H<sub>2</sub>O — 塩化スズ(II) 二水和物
20世紀後半から最も一般的な水和物の構造は結晶学によって明らかにされ、点を用いた組成式は廃止されつつあるが、単純化のために利用されることもある。溶液にすれば離れてしまうので、多くの塩では水の結合様式は重要ではない。例えば CuSO<sub>4</sub>&bull;5H•5H<sub>2</sub>O と無水の CuSO<sub>4</sub> から調製した水溶液は同じである。ゆえに、水和の度合いは[[化学当量]]を決定するときのみ考慮される(1[[モル]]の CuSO<sub>4</sub>&bull;5H•5H<sub>2</sub>O は1モルの CuSO<sub>4</sub> より重い)。一方で、水和の量が化学的性質に大きな影響を及ぼすこともある。例えば無水の[[塩化ロジウム(III)]] RhCl<sub>3</sub> はほとんど水に溶けず、有機金属化学では役に立たないが、RhCl<sub>3</sub>&bull;3H•3H<sub>2</sub>O は多様な用途を持つ。また、[[塩化アルミニウム]] AlCl<sub>3</sub> の水和物は[[ルイス酸]]としては弱く、[[フリーデル・クラフツ反応]]に使うことができない。従って AlCl<sub>3</sub> の試薬は水和物の形成を防ぐため空気中の湿気を避けて保存する必要がある。
 
硫酸銅(II) 五水和物はカチオン [Cu(H<sub>2</sub>O)<sub>4</sub>]<sup>2+</sup>] と結合したアニオン SO<sub>4</sub><sup>2&minus;</sup> からなる。銅イオンは2つの別の硫酸イオンからの酸素原子と4個の水分子、計6個の酸素原子によって囲まれている。5個目の水分子は結晶格子中の離れた場所にあり、銅イオンとは直接結合していない。ヨウ化コバルト(II) は[Co(H<sub>2</sub>O)<sub>6</sub>]<sup>2+</sup> と2個の I<sup>&minus;</sup> として存在する。塩化スズ(II) では、Sn中心は三角錐型で(O/Cl&minus;Sn&minus;O/Cl の平均角度は83&deg;°)、2個の[[塩化物イオン]]と1個の水分子が結合している。2個目の水分子は塩化物イオンおよび配位している水分子と水素結合している。
 
結晶水は静電気的引力によって安定化されるため、+2価や+3価のカチオンや&minus;2価のアニオンを含む塩に多く見られる。ある化合物の重量の多くを結晶水が占めることもあり、グラウバー塩(芒硝、[[硫酸ナトリウム]]十水和物) Na<sub>2</sub>SO<sub>4</sub>&bull;10H•10H<sub>2</sub>O は重さの50%以上が水である。
 
==乾燥==