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== 歴史 ==
[[File:CWScheele.jpg|thumb|left|バリウムの発見者であるカール・ヴィルヘルム・シェーレ]]
バリウムの名称は、[[ギリシャ語]]で「重い」を意味する{{lang|el|βαρύς}} (barys) に由来しており、それは一般的なバリウムを含む鉱石が高密度であることを表している。中世初期の錬金術師たちはいくつかのバリウム鉱石を知っており、[[イタリア]]の[[ボローニャ]]で見つけられた滑らかな小石様の[[重晶石]]鉱石は「ボローニャの石」として知られていた<ref>[[ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ|ゲーテ]]の『[[若きウェルテルの悩み]]』にも「ボロニア石」として出てくる。[[ロラン・バルト]]は『恋愛のディスクール・断章』でボローニャの石からウェルテルを論じている。</ref>。その石に光を照射するとその後輝き続ける(つまり[[蛍光]]を示す)ことから、魔女や錬金術師たちはこの石に魅力を感じていた<ref name=history>{{citation| page = 80| url = http://books.google.com/?id=yb9xTj72vNAC| title = The history and use of our earth's chemical elements: a reference guide| author = Robert E. Krebs| publisher = Greenwood Publishing Group| year = 2006| isbn = 0313334382}}</ref>。
 
1774年、[[スウェーデン]]の[[カール・ヴィルヘルム・シェーレ]]が[[軟マンガン鉱]]に新しい元素が含まれていることを発見したが、その鉱石からバリウムを分離することはできなかった。[[ヨハン・ゴットリーブ・ガーン]]もまた類似した研究を行い、シェーレによるバリウムの発見から二年後に[[酸化バリウム]]として鉱石から分離することに成功した。酸化バリウムは初め[[ルイ=ベルナール・ギュイトン・ド・モルヴォー]]によってbaroteと呼ばれており、[[アントワーヌ・ラヴォアジエ]]によってバリタ (baryta) と改名された。また、18世紀にはイギリスの鉱物学者である[[ウィリアム・ウィザリング]]も[[カンバーランド]]の鉛鉱山で産出する重い鉱石([[炭酸バリウム]]の鉱石である{{仮リンク|毒重石|en|Witherite}})について言及していた。1808年、イギリスの[[ハンフリー・デービー]]がバリウム塩の溶融塩電解によってバリウムの単体を初めて単離した<ref>Davy, H. (1808) "[http://books.google.com/books?id=gpwEAAAAYAAJ&pg=102#v=onepage&q&f=false Electro-chemical researches on the decomposition of the earths; with observations on the metals obtained from the alkaline earths, and on the amalgam procured from ammonia]," ''Philosophical Transactions of the Royal Society of London'', vol. 98, pages 333-370.</ref>。デービーは類似した性質を示す[[カルシウム]]の命名法に準じて{{#tag:ref|デービーは石灰を意味する「calcsis」の語尾に「-ium」を付けてカルシウムと命名した<ref>{{cite book|和書|title=元素を知る事典: 先端材料への入門|author=村上雅人|year=2004|page=102|publisher=海鳴社|isbn=487525220X}}</ref>。|group="注釈"}}、酸化バリウムを表すバリタ (baryta) の後ろに金属元素を意味する接尾語である「-ium」を付けてバリウム (barium) 名付けた<ref name=history/>。[[ロベルト・ブンゼン]]および{{仮リンク|アウグストゥス・マーティセン|en|Augustus Matthiessen}}は、塩化バリウムと[[塩化アンモニウム]]の混合物を溶融させて電気分解を行うことによって純粋なバリウムを得た<ref>{{citation | doi = 10.1002/jlac.18550930301 | title = Masthead | year = 1855 | journal = Annalen der Chemie und Pharmacie | volume = 93 | issue = 3 | pages = fmi–fmi}}</ref><ref>{{citation | doi =10.1002/prac.18560670194 | title =Notizen | year =1856 | last1 =Wagner | first1 =Rud. | last2 =Neubauer | first2 =C. | last3 =Deville | first3 =H. Sainte-Claire | last4 =Sorel | last5 =Wagenmann | first5 =L. | last6 =Techniker | last7 =Girard | first7 =Aimé | journal =Journal für Praktische Chemie | volume =67 | pages =490–508}}</ref>。