「福岡猫虐待事件」の版間の差分

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== 概要 ==
この事件は、[[2002年]](平成14年)[[5月6日]][[電子掲示板]][[2ちゃんねる]]のペット関連板であるペット大嫌い板(現[[生き物苦手板]])に、ある人物によって、'''おい!おまえら'''と題される[[スレッド (電子掲示板)|スレッド]]が作成されたことに端を発する。
=== 事件 ===
[[オスカール・ディルレヴァンガー]]([[ナチス・ドイツ]][[武装親衛隊]]准将)の名から取ったとされる'''ディルレヴァンガー'''を名乗るは、マンション自室のユニットバス内でハサミや針金等を使って尾や耳を切る・首を締めるなどした[[野良猫]]をデジタルカメラで撮影、写真を[[アップロード|アップローダー]]で公開し、虐待の実況中継を行った。また犯人男性は、2ちゃんねる上で最も人が多い板のひとつである[[ニュース速報板]]にもスレッドを作り、この行為を自ら2ちゃんねる全体に知らしめた。
 
犯人男性は呉市内の高校を経て[[九州大学]][[工学部]]を卒業し、光学機器メーカーに勤めていたが、職場でリストラが進み、社内の雰囲気にいたたまれなくなって辞職して蓄えで生活していた時期にこの事件を起こしたという。犯人男性は公判の中で事件を起こした動機について、餌を与えたが糞をされたので憎悪がわいたとも、ネット上で騒がれたかったとも述べている。
=== 反応 ===
同事件は犯人による虐待行為に対しインターネット上で非難が殺到し、数日中に複数の[[2ちゃんねらー]]によって[[データログ|ログ]]解析や写真の分析がなされ、通報が殺到。これにより犯人男性は福岡県警により[[書類送検]]された。この際、犯人男性は「猫は逃がした」と供述したが、事件を知った人々により写真が調べられ、問題の猫が生きていたとは思えない等の理由により、犯人男性への刑事訴追を求める署名運動が起こされた。同時に犯人男性の個人情報などがインターネット上の様々な場所で公開され、同事件を追及する[[ウェブサイト]]が乱立した。
 
犯人男性への不信感は、警察の尋問に対して「はさみや紐は引越しのために購入した」や「酔っていて、かっとなって」などと答えていたことにも関係する。使用されたはさみが[[トタン#波板|波板]]と呼ばれる工事材料を切るための専用の工具だったこと、発作的な殺害と言う割には問題のスレッドの書き込み時間が長時間に渡っており、また執拗な虐待の内容を延々と書き込んだりアップロードし続け、さらにペット大嫌い板で以前より[[ハムスター]]を虐待する様子を頻繁に文章で書き綴っていたことなどから、2ちゃんねる利用者らからは嘘であると判断された。なおこれらの嘘が、後に「証拠隠滅を働くおそれがある」として福岡県警が逮捕に踏み切る理由となった。
 
なお同事件はインターネット上で一斉に広まったため[[マスメディア]]も素早く反応し、テレビ・新聞などのニュースで一斉に報じられ、社会的にも大きな反響を呼んだ。地元テレビ局の取材した報道番組<ref>フジ系列『[[ニュースJAPAN|LIVE2002ニュースJAPAN]]』2002年8月8日放送分{{出典無効|date=2013-7-20}}</ref>では、親戚(匿名・顔モザイク)を名乗る人物が「飼ってるネコを殺したりなんかしたんなら別ですけどね(中略)警察ざたになるのは、何かおかしいような気がする」と発言している。
=== 逮捕後と判決 ===
この事件を知った人々より同県警へと逮捕を求める嘆願書が殺到したことにより(最終的に実刑を求める嘆願書と併せ3,000通を超えたという)、福岡県警側は書類送検から急遽対応を改め、[[獣医師]]に問題の写真鑑定を依頼したところ猫の死亡が確認されたため、犯人男性は逮捕され、取り調べを受けた。
 
取り調べの結果、犯人男性は猫の殺害を認めたため、[[動物の愛護及び管理に関する法律|動物愛護法]]違反により[[懲役]]6か月・[[執行猶予]]3年の判決を受けた。このとき、犯人男性の個人情報が不特定多数によって公開されたことなどにより、すでに社会的制裁を受けたとして、減刑措置がとられた。
=== 他の事件への影響 ===
この判決は、後の[[動物虐待]]事件にも影響し、同様の刑量判決が、その後の複数の事件裁判で出されている。
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事件・逮捕直後は累が及ぶのを恐れて動物虐待行為を仄めかしていた掲示板利用者が激減、一頃は動物虐待行為に対する非難一色に染まった。近年では一部の動物虐待行為に嗜好を示す者が舞い戻ってきてはいるものの、実質的な犯罪行為の実行が疑われるケースでは、他の利用者から通報されているともいい、事件当時のように直接的な犯行をほのめかすケースはほとんどなくなっている模様。
 
ただし虐待事件は全く無いと言うわけでもなく、[[2006年]](平成18年)4月に公園で捕まえた猫を踏んで殺害、その写真を投稿した人物が逮捕されたケース(出典:<ref>[http://www.sankei.co.jp/chiho/saitama/070209/stm070209000.htm] 産経新聞{{リンク切れ|date=2009年7月}}</ref>・[[発達障害]]があることを理由に懲役6ヶ月執行猶予3年の判決)がある。
 
== 関連事象 ==
この事件は2ちゃんねるのみならず、他のインターネット[[共同体|コミュニティ]]にも影響を与え、他方では猫愛好家・[[動物愛護団体]]などが[[暗数]]となっている動物虐待事件の問題で、度々同事件を引用している。
 
この事件において犠牲となった猫は、後に同事件を最初から最後まで追跡したバラエティ・[[ニュースサイト]]の[[探偵ファイル]]が手配した[[ペット供養|ペット葬]](なお体は未発見であるため、犯人男性がネット上に公開した画像のみが用いられた)の際に、僧侶により[[戒名]]として'''こげんた'''と名付けられた。これに複数サイトが追従したことから、この名が共通呼称として知られている。
 
同事件に際しては、不特定多数の人物が犯人探しに奔走、書類送検直後に犯人男性とされる人物の写真(高校生の時と大学生の時とされる)がネット上に公開される・自宅住所を公開される・家族(親)の職場(公立中学校)が公開されるという事態に発展、親にまで非難の電話がかかることで、その仕事を妨害する事態も発生した。この追及が後に「社会的制裁をすでに受けた」として[[未決勾留]]期間を執行猶予期間から差し引くという減刑にもつながっている。
 
同事件に際して殺害された猫の追悼サイトから、サイト閲覧者などから寄せられた追悼文等をまとめた書籍が当初、サイト運営者らの[[自費出版]]の形で発売され、後の[[2004年]](平成16年)7月には全国的に販売された。同書籍の印税などは、動物虐待を防止する運動に利用されているという<ref>{{Cite book|和書|editor=|author=mimi|title=Dear,こげんた―この子猫を知っていますか?|year=2004|month=07|publisher=ハート出版|series=|isbn=978-4-8929-5-4597|ref=}}</ref><ref>{{Cite book|和書|editor=|author=mimi|title=君はぼくの声になる-歩きはじめたそれぞれのこげんた物語|year2009=|month=07|publisher=ハート出版|series=|isbn=978-4-8929-5-6478|ref=}}</ref>。
 
「懲役6か月・執行猶予3年」の犯人が受けた判決に前後して、犯人男性は両親の住む広島県に引き戻された。なお犯人男性上の「探偵ファイルが判決後に行った「ちゃんとネット謝罪してください」という問いかけに対し、「前向きに考えている」とコメントをしたことが伝えられているが<ref>[http://www.tanteifile.com/diary/special/kiji.html ☆ 特集 : 猫殺しディルレヴァンガー] 探偵ファイル。記事名にディルレヴァンガーと名乗った人物の実名が使われているため、この箇所を省略した。また、一部ページに虐待画像あり。</ref>、それ以降は実社会・ネットコミュニティ共に沈黙を保っており、近況は不明である。
 
== 出典 ==
{{reflistReflist}}
 
== 関連項目 ==
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== 外部リンク ==
* {{Wayback |url=http://tmp.2ch.net/cat/kako/1020/10206/1020694216.html |title=“おい!おまえら” |date=20031005142135}} - 問題のスレッド(虐待表現あり)
* {{Wayback |url=http://kogenta-site.tripod.com/index_f.shtml |title=福岡猫殺害事件 |date=20131128145558}} - 事件をまとめたサイト(一部ページに虐待画像あり)
* {{Wayback |url=http://www.kogenta.com/ |title=kogenta.com |date=20160309182551}} - この事件で殺害された猫を追悼するサイト(虐待画像は無い)
 
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