「ヤマト1」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
→‎開発経過: 大形超電導電磁推進装置(竹澤、造船学会誌709号、p35に図面あり)写真追加
編集の要約なし
66行目:
通常、船舶はスクリュープロペラを有している。[[水上オートバイ|ジェットスキー]]など[[ウォータージェット推進]]器を用いた船舶もジェット噴射構造内部に[[インペラ]]<ref>類似したものに[[ターボチャージャー]]などがある。</ref>と呼ばれる小型高速回転プロペラを利用し、海水を高圧にて噴射することによって[[推力]]に変えている。これに対し「ヤマト1」は一切の回転系推力発生器を使用せず、かわりに、[[超伝導電磁石]]を利用し強力な磁場を作り出し、磁場中の海水に電流を流して[[ローレンツ力]]により海水を噴射するウォータージェット推進方式を採用している。これによりスクリューや[[内燃機]]などが不要になりほぼ無音航行が可能であり、また不快な振動が無く環境性能も高い。(静粛性が高い。航行により波きり音は発生する。)構造特性からプロペラ部分のスペースが不要になる事により自由度が高い船尾設計が可能になり、船殻を貫通する構造物が無い為に海水が船体内部に侵入しない、スクリューを高速回転させる事で発生する[[キャビテーション]]が発生しないなどの利点がある。
 
[[推進装置]]は2基搭載されているが、それぞれ別のメーカーにて製造された。右舷推進器は[[東芝]]が担当し、左舷推進器は[[三菱重工業|三菱重工]]が担当した。<ref>技術者育成と情報共有のため規格・仕様のみ指定して2つメーカーに発注。技術者育成と情報の共有化が目的であったため、故意に行なわれた。</ref>また船殻は専門[[インダストリアルデザイナー|工業デザイナー]]に依頼された。<ref>最先端技術船ではあったが、西側船の美しさに習い、美しくない船は宜しく無いとの意向によるものであった。</ref>
 
実験船ではあるが、試験航行に関して通常の海域を航行するため海事関係法令の適用<ref>俗に言う船舶検査。車で言う[[自動車検査登録制度|車検]]。</ref>を受けなければならない。そこで開発当初からこれが考慮され設計されている。[[運輸省]](現・[[国土交通省]])検査官による基準検査を受け合格したため、船舶国籍証明書、船舶検査証書の交付が行なわれている。
108行目:
:磁気漏れを防止するための遮蔽材が必要となるため船体重量が増す。船殻は磁気の影響を受けない[[アルミニウム合金]]が採用されているが、反面アルミ合金であるため衝撃や歪みに弱く、[[艤装]]は船体を海面に浮かべてからでないと行なえないなどのデメリットが発生する。
;超電導磁石の冷却
:超伝導電磁石に超伝導状態を作り出さなければならず、専用冷却装置を装備しなければならない。液体ヘリウムは高価であり、保管も専用施設が必要になる。これに付随した問題として、航行前に推進装置を予冷しなければならず、試験航行前の予冷は約10日間を要した。<ref>急速冷却が可能ではあったが、これを行なうと熱応力によるコイルに不具合が発生する破壊を防ぐため時間をかけて冷却された。</ref>
このほかにも対策箇所が多数あり、試験航行時にも故障が発生するなど、商用実現までには至っていないのが現状である。
 
171行目:
File:MHD thruster of Yamato1 SEP2011.jpg|thumb|MHDスラスタ外観。船の科学館に展示されていた右舷側。
File:MHD thruster of Yamato1 seewater pipe AUG2011.jpg|thumb|内径240mmの海水管内部。平坦部100mm幅、ギャップ175mmの一対の電極が見える。海水管はエポキシ樹脂GFRP製、電極はチタン合金表面に耐食処理を施したもの。
File:SuperconductingCoil APR2012.jpg|thumb|超電導コイル。鞍型2層にNbTi導体が巻かれている。変形によるクエンチ発生を防ぐため、電磁力による変形予測と各種実験にもとづき、六角形のアルミ合金製コイル押さえで59~88MPaの初期圧縮力が与えられた。
File:Yamato1 buldgedPartForThruster APR2012.jpg|thumb|MHDスラスタ収納部外観
File:Yamato1 seawaterOutlet APR2012.jpg|thumb|海水噴出ノズル