「高尿酸血症」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
m ソートキー修正(こうにょうさんけっしょう→こうにようさんけつしよう)
34行目:
 
== 疫学 ==
日本の成人男性における高尿酸血症の頻度は30歳以上では30%30%に達していると推定されている。高尿酸血症は増加傾向である。特に[[痛風]]に関しては、有病率は男性においては30歳以降で1%1%超えると推定され、増加傾向である。
 
== リスク ==
62行目:
== 診断 ==
=== 高尿酸血症の診断と病型分類 ===
高尿酸血症の定義どおり、血清尿酸値が7.0mg/dlを超えた場合は高尿酸血症と診断される。2010年現在ほとんどの日本の医療機関では自動分析装置によるウリカーゼ・ペルオキシダーゼ法が用いられている。測定値の変動は血清成分の影響も考慮して9.0%0%、施設間差は2.7%~6〜6.8%であり信頼できる測定法といえる。高尿酸血症の判定について、採血時期は空腹時なくてもよいが、恒常的な高尿酸血症の判定には複数回の測定が必要である。
 
高尿酸血症には「尿酸産出過剰型」、「尿酸排出低下型」、「混合型」に大別される。病型分類には尿酸クリアランス、クレアチニンクリアランスの測定が必要である。尿中尿酸排泄量と尿酸クリアランスの値によって分類される。治療中に病型が変化することがあり注意が必要である。
70行目:
 
=== 二次性高尿酸血症・痛風の診断 ===
高尿酸血症の診断では必ず二次性の高尿酸血症・痛風の可能性に検討する。基礎疾患、薬物投与など明らかな原因が見いだされるのは全体の約5%5%である。診断に際しては詳細な問診、服薬歴、身体所見、検査所見などにより基礎疾患の存在や薬物の服用に気がつくことが重要である。二次性高尿酸血症においても原発性とどうように尿酸産出過剰型、尿酸産出低下型、混合型に大別される。
 
;尿酸産出過剰型二次性高尿酸血症
79行目:
 
;混合型二次性高尿酸血症
混合型二次性高尿酸血症の原因には1型糖尿病、肥満、[[妊娠高血圧症候群]]、飲酒、運動負荷、広範な外傷や熱傷、[[ニコチン酸]]またはニコチン酸アミドがあげられる。
 
== 生活指導 ==
高尿酸血症・痛風は代表的な[[生活習慣病]]であり、生活習慣の是正を目的とした薬物療法としての生活指導は薬物療法の有無にかかわらず重要な役割を有する。高尿酸血症・痛風に対する生活指導は[[食事療法]]、飲酒制限、運動の奨励が中心となり、肥満の解消は血清尿酸値を低下させる効果が期待される。食事療法としては適切なエネルギー摂取、[[プリン体]]・[[果糖]]の過剰摂取制限、十分な飲水が勧められる。高プリン食品である動物の内臓や魚の干物を避けるのがプリン体過剰摂取制限に重要である。尿酸値への影響を最低限にたもつアルコールの目安量は1日で日本酒ならば1合、ビールならば500ml、ウイスキーならば60ml程度である。運動はメタボリックシンドロームの種々の病態を改善するため奨励できる。
 
== 治療 ==
=== 痛風関節炎の治療 ===
一般的な注意として痛風発作中はできるだけ患部の安静を保ち、患部を冷却し、禁酒する。痛風関節炎の治療手段としては[[コルヒチン]]、[[非ステロイド性抗炎症薬]](NSAIDs)[[副腎皮質ステロイド]]の3つが知られている。痛風発作の前兆期はコルヒチン1錠(0.5mg)を用い、発作を頓挫させる。痛風発作が頻発する場合はコルヒチン1日1錠を連日服用させるコルヒチンカバーが有効である。コルヒチンの副作用として最も多いのが[[腹痛]]と下痢であり、[[嘔吐]]、筋痙攣がそれらに次ぐ。いずれも24時間以内に出現する。また[[末梢神経障害]]や汎血球減少症などの報告もある。痛風発作の極期には非ステロイド性抗炎症薬が有効であるが短期間に限り比較的多量を投与して炎症を沈静化させる(NSAIDパルス療法)。保険適応のある非ステロイド性抗炎症薬は[[インドメタシン]]、[[ナプロキセン]]、[[オキサプロジン]]、[[プラノプロフェン]]である。非ステロイド性抗炎症薬が使用できないときや無効例であった場合、多発性に関節炎を生じている場合などには経口にて副腎皮質ステロイドを投与する。プレドニン15~30mg15〜30mgの投与を開始して1週間毎に3分の1程度に減量して3週間で中止する方法が知られている。重症例ではプレドニンを数ヶ月間投与することもある。痛風発作時に血清尿酸値を変動させると発作の増悪を認めることが多いため、発作中に尿酸降下薬を開始しないことを原則とする。
 
=== 痛風結節の治療 ===
99行目:
 
;プロベネシド
[[プロベネシド]](ベネシッド)は近位尿細管の管腔側で発現し尿酸の再吸収を担っている尿酸トランスポーター1(URAT1)の作用を抑制することで尿酸排泄促進作用を発揮する。尿アルカリ化剤としてクエン酸カリウムやクエン酸ナトリウム水和物(ウラリットなど)を3~6g3〜6g/day、3~43〜4回に分服も併用し尿pHを6.0~70〜7.0に保ち尿酸結石の出現を防ぐ<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/gnam/36/1/36_73/_pdf 健康診断受診者の血清尿酸値と尿中pHが腎機能に及ぼす検討]、桑原 政成ほか、痛風と核酸代謝、痛風と核酸代謝 Vol. 36 (2012) No. 1 </ref>。また尿酸結石を防ぐため日頃より水分摂取を励行し、1日尿量を2000ml以上にする。
 
;ブコローム
[[ブコローム]](パラミヂン)は非ステロイド性抗炎症薬のひとつで尿酸排泄促進作用がある。尿アルカリ化剤としてクエン酸カリウムやクエン酸ナトリウム水和物(ウラリットなど)を3~6g3〜6g/day、3~43〜4回に分服も併用し尿pHを6.0~70〜7.0に保ち尿酸結石の出現を防ぐ。また尿酸結石を防ぐため日頃より水分摂取を励行し、1日尿量を2000ml以上にする。
 
;ベンズブロマロン
[[ベンズブロマロン]](ユリノーム)は近位尿細管の管腔側で発現し尿酸の再吸収を担っている尿酸トランスポーター1(URAT1)の作用を抑制することで尿酸排泄促進作用を発揮する。尿アルカリ化剤としてクエン酸カリウムやクエン酸ナトリウム水和物(ウラリットなど)を3~6g3〜6g/day、3~43〜4回に分服も併用し尿pHを6.0~70〜7.0に保ち尿酸結石の出現を防ぐ。また尿酸結石を防ぐため日頃より水分摂取を励行し、1日尿量を2000ml以上にする。
 
;アロプリノール
113行目:
!nowrap|腎機能!!nowrap|アロプリノール投与量
|-
|Ccr>50ml/min||100~300mg100〜300mg/day
|-
|30ml/min <Ccr≦50ml/min||100mg/day
131行目:
 
==== 痛風関節炎時と痛風間欠期の治療 ====
未治療の痛風関節炎時には尿酸降下薬を投与せず、非ステロイド性抗炎症薬パルス療法で発作を寛解させる。高尿酸血症の薬物療法は血清尿酸値を3~63〜6ヶ月かけて徐々に低下させ、6.0mg/dl以下にし、その後は6.0mg/dl以下に安定する用量を続ける。尿酸降下薬は痛風関節炎の寛解後約2週間から少量(ベンズブロマロン12.5mg、アロプリノール50mg、フェブキソスタット10mg)で開始する。尿酸降下薬の開始投与初期は痛風関節炎を防止するために少量の[[コルヒチン]]を併用することもある。適量の尿酸降下薬を中止することなく痛風関節炎に準じてNSAIDパルス両方を併用する。
 
<!--
200行目:
*[http://metabo.livedoor.biz/index.html メタボリックシンドローム情報局!]
-->
{{デフォルトソート:こうにうさんけう}}
[[Category:代謝内分泌疾患]]