「水生カメムシ類」の版間の差分

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m 「足」「脚」を「肢」に統一、「羽根」「羽」を「翅」に統一。
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水生カメムシ類には実にさまざまなものがあり、よく名を知られているものも多い。大型のものが多いのも目立つ理由であろうが、小型の種も多い。ほとんどは[[淡水]]産で、海産のものはほとんど[[アメンボ]]類にあるのみである。
 
肉食のものが多く、湿地性、水面のものは主として[[昆虫]]をねらう。水中性のものは他の[[水生昆虫]]や[[魚]]、[[オタマジャクシ]]などを餌としている。それらの種は、前が鎌状の捕獲装置になっている。また、口器は短く下向きに曲がる。口針を獲物に突き刺して麻痺毒を含む[[唾液]]を注入して仕留め、さらに[[消化酵素]]を含む唾液を獲物の体内に注入して体組織を体外[[消化]]し、[[体液]]と共に吸い込む。
 
第2脚、第3脚中肢・後肢は遊泳用に発達するものが多い。
 
水中生活のものであっても、大部分は空気呼吸である。羽根と胴体の隙間を空気ボンベとして使うものが多い。腹部末端を水面に出して空気を取り入れ、そのための長い付属突起をもつものもある。
 
[[卵]]は水面より上に産むものが多い。親が卵を守るものも知られている。
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; [[イトアメンボ]]科 : ごく小型の[[ナナフシ]]に姿が似る。
; [[カタビロアメンボ]]科 : 2mm位のアメンボ。形は[[カメムシ]]に似る。
; [[ミズカメムシ]]科 : ややの長いカメムシという形態。水際の草の間の水面に。
 
== 水中性のもの ==
が鎌になり、捕獲装置になっているもの。
; コバンムシ科 : 楕円形の体に鎌状の前、遊泳用の第2、第3脚中肢・後肢をもつ、よく泳ぐ昆虫。
: [[コバンムシ]] - 水草の多い池に生息。体長1cm。
; コオイムシ科 : 楕円形で偏平、鎌状の前肢を持ち第2、第3脚中・後肢は遊泳用。体の後端に短い呼吸管がある。
: [[コオイムシ]] - 体長2cm。浅い池や湿地に多い。雌が雄の背中に産卵することからこの名がある。
: [[タガメ]] - 体長6cmを超えるものもある。水際の草に産卵、雄がそれに覆いかぶさって保護する。
; タイコウチ科 : 第2、第3脚中・後肢あまり遊泳なっあまり特化していない。呼吸管が長い。
: [[タイコウチ]] - 体長3-4cm。体は偏平で幅広い。
: [[ミズカマキリ]] - 体長4cmを超える。体は細長い。
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それ以外のもの。
; マツモムシ科 : 体は円柱形に近い。後だけが大きく発達、背泳ぎで泳ぐ。
: [[マツモムシ]] - 体長1.5cm。水面の下にぶら下がるようにして、落ちてくる虫を待っている。つかむとひどく刺される。
: [[コマツモムシ]] - 体長7mm。水中の中ほどに群れをなして漂っている。
; [[マルミズムシ]]科 : 体は短い円筒形。体長2mm位で、水草につかまっており、泳ぐ時は背泳ぎになる。
; [[ミズムシ (昆虫)|ミズムシ科]] : 体長は1cmまで。体は楕円形でやや偏平。前は短い匙状、中はやや長く鉤状で、体を固定するのに用いられ、後がオール状に発達する。素早く泳いでは、泥底に体を固定する。この虫はフウセンムシと呼ばれ、子供のおもちゃになる。水槽に水と細かく切った紙を入れ、そこにこの虫をいれると、水底に向かって泳ぎ、底に沈んだ紙切れにつかまる。すると、紙切れは虫の浮力によって水面に浮き上がり、水面に達した虫は再び泳いで水底の紙につかまる。これの繰り返しによって、水中の紙が浮いたり沈んだりを繰り返すのを見て楽しむのである。
 
== 人間とのかかわり ==
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タガメは[[東南アジア]]では食用とされる。
 
これらの昆虫は、そのような実用的側面より子供のおもちゃペットとしてこれらの昆虫は親しまれてきた。水辺での遊びでは、このような昆虫たちは注目の的であった。現在では、自然環境下でこれらを見ること難しい機会が減ったこともあり、[[ビオトープ]]施設では大事にされ、また[[マニア]]やコレクターのために販売されていることも多い。
 
== 水生カメムシの現状 ==
現在では、これらの水生カメムシ類は、各地で減少し、[[絶滅]]に瀕しているものも少なくない。その理由はさまざま様々であるが、水回りの環境の悪化が大きな原因と思われる。
{{Main|水草#水回りの環境悪化}}
 
現在、日本で最も見ることが難しいのは[[カワムラナベブタムシ]]とコバンムシだと思われる。カワムラナベブタムシは[[琵琶湖]]水系の[[固有種]]であるが、[[1960年代]]以降、生息が確認されていない。コバンムシは[[水草]]の多い、低地の池に生息していたものであり、埋め立てや開発による池の減少、周辺環境の悪化による池の富栄養化や汚染、あるいは周辺植生の単純化、[[ブラックバス]]の侵入などで激減し、極めて限られた場所でしか見ることができなくなっている。
 
[[水田]]では、[[1950年代]](昭和20年代)頃まではタガメがごく普通に見られたが、[[1970年代]](昭和40年代)には既に非常に少なくなり、タイコウチばかりが目立つようになる。[[1980年代]]以降では、それも非常に少なくなり、多くの場所ではミズカマキリがまれに見られる程度となった。このような水生カメムシの急激な減少は、農薬散布や周辺環境の変化、それにともなった[[カエル]]や[[メダカ]]などの餌動物の減少などが大きく影響していると考えられている。また、ペット業者やその関係者などによる捕獲が多少なりとも影響を及ぼしている可能性もある。
 
[[ビオトープ]]池などのように、彼らの暮らしやすい環境を整えた場所では、ミズカマキリやタイコウチはすぐ繁殖するようになるが、タガメを見かける機会はやはり稀である。タガメのような大型種の場合、より広い範囲で十分な餌が得られる環境が必要であろう。
 
== 分類 ==
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=== アメンボ下目 GERROMORPHA ===
触角は長く上翅は[[半翅鞘]]にならず、腹部[[気門]]は10対。の爪間には[[褥板]](じょくばん)がある。
* [[アメンボ]]科 Gerridae
* [[ケシミズカメムシ]]科 Hebridae
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=== ミズギワカメムシ下目 LEPTOPODOMORPHA ===
触角は長く上翅は半翅鞘となり、腹部気門は通常8対。の爪間には褥板(じょくばん)がない。
* [[ミズギワカメムシ]]科 Saldidae
* [[サンゴカメムシ]]科 Omaniidae