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'''塩化アンチモン'''(えんかアンチモン、antimony chloride)は[[アンチモン]]の[[塩化物]]である。アンチモンの価数が異なる'''塩化アンチモン(III)''' と'''塩化アンチモン(V)''' が知られている。
 
== 塩化アンチモン(III) ==
{{Infobox_無機化合物
| name=塩化アンチモン(III) | 画像= | IUPAC名= | 別名=三塩化アンチモン | 組成式=SbCl<sub>3</sub> | 式量=228.12 | 形状=無色固体
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'''三塩化アンチモン'''(さんえんか—)とも呼ばれる。 金属[[アンチモン]]に乾いた[[塩素]]ガスを作用させると得られる。
:2 Sb<ce>2Sb\ + 3 Cl<sub>2</subCl2 -> → 2 SbCl<sub>32SbCl3</subce>
 
[[錬金術師]]たちは「アンチモンのバター (butter of antimony)」と呼んでいた。常温常圧下では無色の柔らかい固体で、刺激性の悪臭を持つ。ジクロロメタン、ベンゼン、アセトンに可溶。水に触れると加水分解し、[[塩化水素]]を発生しながら[[オキシ塩化アンチモン]]となる。
:SbCl <sub>3</subce>SbCl3\ + H<subH2O ->2</sub>O → SbOCl\ + 2 HCl2HCl</ce>
[[ルイス酸]]としての性質を示し、塩化物イオン Cl<supce>&minus;Cl^-</supce>> と反応して付加体 [SbCl<sub>5</subce>[SbCl5]<sup>^{2&minus;-}</supce> を作る。この錯体のブチルアンモニウム塩は固体状態で、ジグザグ状に &minus;Cl&minus;Sb&minus;Cl&minus;Sb&minus;構造が連なった構造をとる<ref>Zarychta, B.; Zaleski, J. "Phase transitions mechanism and distortion of SbCl<sub>6</sub><sup>3&minus;</sup> octahedra in bis(''n''-butylammonium) pentachloroantimonate(III) (C<sub>4</sub>H<sub>9</sub>NH<sub>3</sub>)<sub>2</sub>[SbCl<sub>5</sub>]". ''Z. Naturforsch. B'' '''2006''', ''61'', 1101–1109. [http://www.znaturforsch.com/ab/v61b/61b1101.pdf Abstract (PDF)]</ref>。
 
[[ビタミンA]]や類似の[[カロテノイド]]の検出試薬として用いられ、その方法は[[カール・プライス反応]] (Carr-Price reaction) あるいはカール・プライス試験と呼ばれる。塩化アンチモン(III) はカロテノイドと反応させると青色の[[錯体]]を形成するので、これを[[比色分析]]によって測定する。
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'''五塩化アンチモン'''(ごえんか—)とも呼ばれる。 塩化アンチモン(III) の融解したものの中に、塩素ガスを通じて得られる。
: <ce>SbCl3\ + Cl2 -> SbCl5</ce>
:SbCl<sub>3</sub> + Cl<sub>2</sub> → SbCl<sub>5</sub>
全く純粋なものは無色であるが、普通はわずかに黄味を帯びている。腐食性が強く、湿った空気中では発煙する。水と激しく反応し、加水分解して[[塩酸]]を含む強酸性の水溶液を与えるが、少量は塩化アンチモン(V) のまま溶質となる。塩酸や塩化物イオンを含む溶液に溶けやすく、以下に示す反応によって錯イオンを形成する。
: <ce>SbCl5\ + Cl^- -> SbCl6^-</ce>
:SbCl<sub>5</sub> + Cl<sup>−</sup> → SbCl<sub>6</sub><sup>−</sup>
常圧のもとで熱すると、140{{℃}}で沸騰を始めるとともに、塩化アンチモン(III) と塩素に分解してしまう。
: <ce>SbCl5 -> SbCl3\ + Cl2</ce>
:SbCl<sub>5</sub> → SbCl<sub>3</sub> + Cl<sub>2</sub>
塩化アンチモン(V) は、他のものに対して塩素を与える性質があり、有機化学において、しばしば塩素化剤として用いられている。