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{{Otheruses|東洋思想における天命|後金の年号|天命 (後金)}}
'''天命'''(てんめい)とは、[[天]]から与えられた[[wikt:命令|命令]]のこと<ref name='philo'>{{Cite book|和書|chapter=天命|author=小南一郎|title=哲学・思想 事典|publisher=岩波書店|year=1998}}</ref>である。
 
[[天]]から[[人間]]に与えられた、一生をかけてやり遂げなければならない命令のこと。また、人がこの世に生を授けられる因となった、天からの命令のことである。'''命数'''<ref>広辞苑 第五版 【命数】(2)天から授けられた運命。</ref>。
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西周時代には、政治的な側面が強調されつつ、天命という思想が確立した<ref name='philo' />。それは以下のようなものである。
 
 
:'''[[天帝]]は、周王を自分の元子(=[[長男]])として認知し、その周王に天命を降ろしてこの地上世界の統治をゆだねた'''<ref name='philo' />。
 
周王が天下を統治する権限は天からの命令を背景にしているとされたのである。また、天から元子として認知されているのだから周王は「[[天子]]」と名乗ることができた<ref name='philo' />。そして周王は、天から授かったこの命、統治の権限を小さく分けて臣下たちに与えた<ref name='philo' />。すなわち職務として与えることで、実際的な統治をおこなわせたのである<ref name='philo' />。このように、西周では、国家は上から下へと命が階層的に分与される構造によって成り立つようになった<ref name='philo' />。[[周|西周]]の後半の時期に遺された[[冊命]]金文にも、周王が臣下たちに《命》を分与するときの儀式が詳細に記述されている<ref name='philo' />。
 
周王が天下を統治する権限は天からの命令を背景にしているとされたのである。また、天から元子として認知されているのだから周王は「天子」と名乗ることができた<ref name='philo' />。そして周王は、天から授かったこの命、統治の権限を小さく分けて臣下たちに与えた<ref name='philo' />。すなわち職務として与えることで、実際的な統治をおこなわせたのである<ref name='philo' />。このように、西周では、国家は上から下へと命が階層的に分与される構造によって成り立つようになった<ref name='philo' />。[[周|西周]]の後半の時期に遺された[[冊命]]金文にも、周王が臣下たちに《命》を分与するときの儀式が詳細に記述されている<ref name='philo' />。
 
ただし、元子として天命を受けた者であっても、その者が[[徳]]を失ってしまった時は、天帝は元子として認知しなくなり、別の有徳者を探して、その者に新しく天命を降ろす、とされた<ref name='philo' />。「命が革まる(あらたまる)」ということから、革命と言われるようになった<ref name='philo' />。これが[[革命]](かくめい)という表現に込められている思想である。
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上記のように、もともと天命という思想は、王朝や家系の盛衰にかかわるものであったが、そこでは全ての人に一部分とは言え天命が分与されているとされていたことから、やがて「天命がひとりひとりの人間の運命をも支配している」ともされるようになった<ref name='philo' />。ちょうど天命が[[王朝]]の命運を決定しているように、ひとりの人の[[人生]]の長短も人生のできごとの良否も天命によって定められている、と考えられるようになったのである<ref name='philo' />。かくして「命」の語が[[寿命]]や[[運命]]をも意味するようになったわけである<ref name='philo' />。
 
 
 
なお『[[論語]]』には[[孔子]](紀元前551年‐紀元前479年)の言葉として「五十而知天命」(五十にして天命を知る)という表現があるが、上述のように天命は使命と運命の両方の意味で用いられているので、論語のこの表現を巡って、《運命》や《宿命》(自分にはこれだけしかできない)ということを意味しているのか、それとも《使命》(自分は人生でこれだけはしなければならない)を意味しているのかで[[解釈]]が分かれているという<ref name="sdhyakka" />。
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== 関連項目 ==
*[[天人相関説]]
*[[祭天]]、[[天壇]]
;比較
* [[:en:Mission (Christianity)]] (西欧のキリスト教における《ミッション》(=使命)という概念)