「イランの法制」の版間の差分
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1979年の[[イスラム革命]]以後の[[イラン]]を評する場合、イスラム法学者([[ウラマー]])である最高指導者(初代が[[ホメイニ]]氏)を[[国家元首]]とするなど、その[[イスラム]]的側面が強調される傾向にある。一方、法制度の実態としては、以下のとおり、革命以前から存続する法律を含め、欧州型の近代法制が制定されており、家族法を除く民商事法分野において、イスラム法([[シャリーア]])が適用される場面はほとんどないなど、宗教色の薄い法分野も存在する。
[[統治機構]]としては、革命後の
このような国家体制は、[[イラン]]の法体系上、イスラム法([[シャリーア]])が、議会の定める法律、さらには憲法よりも上位に位置付けられ、[[シャリーア]]に適合しない法律は無効と解されること、そのような[[シャリーア]]適合性の判断権は、一般の[[裁判官]]ではなく、イスラム法学者に属することを前提にしているものと理解される<ref name=”perspective”/>。
ただ、ここで留意すべきは、イランにおける[[シャリーア]]は、[[裁判規範]]として直接適用される法源というより、一歩後方の位置づけとしての性格が強いことである。殊に民事取引法分野においては、1930年前後に、ヨーロッパ大陸法系の制定法、特に[[フランス法]]を参考として、[[民法典]](物権編、債権編、親族・相続編の3部構成で、1335条からなる。)及び[[商法典]](商行為、商人、会社、破産など)が制定され、これらが[[イスラム革命]]後も目立った変更のないまま、現在でも存続している。この点については、イスラム社会の基礎が[[私有財産制]]と[[私的自治]]に置かれており、近代の取引法制と基本的発想で共通することが背景にあるとも指摘されている<ref name=”perspective”/><ref>岩崎葉子「中東における不動産所有と法」『アジア経済』
同様のことは、ビジネス法制の典型ともいうべき[[知的財産法]]制にも見られ、古い制度が残っていたり、運用面での課題は多々ありつつも、[[フランス法]]の強い影響の下、[[特許法]]、[[意匠法]]及び[[商標法]]といった産業財産法制は一通り整備されている<ref>[https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/5522/ JETRO「模倣対策マニュアル 中東編」(2009年3月)]</ref><ref>[https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/12294/ JETRO「イラン・イスラム共和国における商標権取得・行使に関する制度概要調査」(2016年6月)]</ref>。
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