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'''ピレスロイド''' (pyrethroid) とは、[[シロバナムシヨケギク|除虫菊]] (''ChrysanthemumTanacetum cinerariaefoliumcinerariifolium'' Bocquilon(Trevir.) Sch. Bip.) に含まれる有効成分の総称で、今日では各種[[誘導体]]が合成され各国で広く[[殺虫剤]]として利用されている。天然に産するピレスロイドは'''[[菊酸]]'''を共通構造にもっており、'''ピレトリン I''' (Pyrethrin I) と'''ピレトリン II''' (Pyrethrin II) を主成分とする6種の化合物の混合物である。また、微量成分のピレスロイドとして'''シネリン I'''、'''シネリン II''' あるいは'''ジャスモリン I'''、'''ジャスモリン II''' も含まれ、いずれもピレトリンと同様な作用を持つことが知られている。
ピレトリンの誘導体は'''合成ピレスロイド'''と呼ばれ、'''[[アレスリン]]'''などが知られている。ピレスロイド類は[[昆虫類]]・[[両生類]]・[[爬虫類]]の[[神経細胞]]上の[[受容体]]に作用し、[[イオンチャネル]]の一種である[[ナトリウムチャネル|Na<sup>+</sup>チャネル]]を持続的に開くことにより[[脱分極]]を生じさせる[[神経毒]]である。[[哺乳類]]・[[鳥類]]の受容体に対する作用は極めて弱いので、比較的安全性の高い[[殺虫剤]]である。開発初期の合成ピレスロイドには菊酸構造が存在したが、現在の合成ピレスロイドには共通化学構造はもはや存在しない。
菊酸（きくさん、chrysanthem(um)ic acid）はシクロプロパンカルボン酸の一種で[[テルペン|テルペノイド]]である。1891年、シュラクデンホーフェン (Schlagdenhauffen) とレーブ (Reeb) が除虫菊を[[水蒸気蒸留]]することにより単離した。菊カルボン酸 (chrysanthemum-monocarboxylic acid) とも呼ばれる。
化学式 {{chem|C<sub>|10</sub>|H<sub>|16</sub>|O<sub>|2</sub>}} で、分子量は168.23。IUPAC名は (1''R'',3''R'')-2,2-ジメチル-3-（2-メチル-1-プロペニル）シクロプロパンカルボン酸、[[CAS登録番号]]は4638-92-0。融点17–21℃の不安定な黄色の油様物質で殺虫作用を持つが、光、空気酸化により分解し失活する。不揮発性で、[[水]]などの[[溶媒#特性の指標|極性溶媒]]には溶けにくい。
=== ピレスロロン ===
=== その他の合成ピレスロイド ===
* [[D-テトラメトリン]]（別名フタルスリン）C<sub>）{{chem|C|19</sub>|H<sub>|25</sub>|NO<sub>|4</sub>}}、分子量331.4、CAS登録番号7696-12-0。
* [[レスメトリン]] (商品名クリスロン) {{chem|C<sub>|22</sub>|H<sub>|26</sub>|O<sub>|3</sub>}}、分子量338.5、CAS登録番号10453-86-8。
* [[フラメトリン]] {{chem|C<sub>|18</sub>|H<sub>|22</sub>|O<sub>|3</sub>}}、分子量286.4。
* [[フェノトリン]]（商品名スミスリン） {{chem|C<sub>|23</sub>|H<sub>|26</sub>|O<sub>|3</sub>}}、分子量350.45 CAS登録番号26002-80-2。
* [[ペルメトリン]] （商品名エクスミン）C<sub>）{{chem|C|21</sub>|H<sub>|20</sub>|Cl<sub>|2</sub>|O<sub>|3</sub>}}、分子量 391.29 CAS登録番号52645-53-1。
* [[シフェノトリン]] {{chem|C<sub>|24</sub>|H<sub>|25</sub>|NO<sub>|3</sub>}}、分子量 375.47、CAS登録番号39515-40-7。
* [[ベラトリン]]{{chem| C<sub>|18</sub>|H<sub>|21</sub>|ClO<sub>|4</sub>}}、分子量 375.47、CAS登録番号70-43-9。
* [[エトフェンプロックス]]（別名ベクトロン）C<sub>）{{chem|C|25</sub>|H<sub>|28</sub>|O<sub>|3</sub>}}、分子量376.49 CAS登録番号80844-07-1。
* [[シフルトリン]] {{chem|C<sub>|22</sub>|H<sub>|18</sub>|Cl<sub>|2</sub>|FNO<sub>|3</sub>}}、分子量434.29、CAS登録番号68359-37-5。
* [[テフルトリン]] {{chem|C<sub>|17</sub>|H<sub>|17</sub>|ClF<sub>|7</sub>|O<sub>|2</sub>}}、分子量418.74、CAS登録番号79538-32-2。[[毒劇法]]・[[毒物]]
* [[ビフェントリン]] {{chem|C<sub>|23</sub>|H<sub>|22</sub>|ClF<sub>|3</sub>|O<sub>|2</sub>}}、分子量422.87、CAS登録番号82657-04-3。毒劇法・[[劇物]]
* [[シラフルオフェン]] {{chem|C<sub>|25</sub>|H<sub>|29</sub>|FO<sub>|2</sub>|Si}}、分子量408.58、CAS登録番号105024-66-6。
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画像:構造式 Tetramethrin.png|D-テトラメトリン
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