「核磁気共鳴画像法」の版間の差分

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 この際、核スピンは静磁場方向を軸として[[歳差|歳差運動]]を発生する。歳差運動とは、コマの首振り運動と同様な運動である(回転軸と核スピンの軸が一致しない)。この運動の周波数は[[ラーモア周波数]]と言われ、かけた静磁場の強さ及び磁気モーメントの強さに比例する。通常のMR撮像では、10 - 60[[メガヘルツ|MHz]]ほどである。これは電磁波で言えば[[ラジオ波]]の範囲にあたる。核磁化を励起するためのコイルは、[[RFコイル]]と呼ばれている。
 
 そこに特定周波数の電磁波(ラジオ波領域)のパルスを照射すると、照射電磁波の周波数とラーモア周波数が一致した場合に共鳴が発生し、回転数が変化する(核磁気共鳴現象)。照射が終わると元の状態に戻る。重要なのは、このパルスが終わって定常状態に戻るまでの過程({{仮リンク|緩和現象|en|Relaxation (NMR)}})で、それぞれの組織(通常のMRIであれば水素原子の置かれてる環境)によって戻る速さが異なることである。核磁気(撮像共鳴組織画像法ではけるこの戻りかたの違いをパルスシーケンスのパラメータを工夫することにより画像化する。
 
しかしこのままでは、どこがどのような核磁気共鳴信号(NMR信号)を発しているのかという位置情報に欠ける。そこで静磁場とは別に、距離に比例した強度を持つ磁場([[勾配磁場]]、または傾斜磁場)をかける。一般的に、勾配磁場を印加するコイルのことは[[勾配磁場コイル]]と呼ばれている。勾配磁場によって原子核(通常は<sup>1</sup>H)の位相や周波数が変化する。実際に観測するのは個々の信号の合成されたものであるから、得られた信号を解析する際に二次元ないし三次元の[[フーリエ変換]]を行うことで個々の位置の信号(各位置における核磁化に比例)に分解し、画像を描き出す。