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→‎萌え4コマ: 植田まさしによる批評
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1990年代末に[[萌え]]を重点とした4コマ漫画が増え始め、この様な作品は一般的に'''萌え4コマ'''と呼ばれている。1999年に『[[電撃大王]]』で連載された[[あずまきよひこ]]『[[あずまんが大王]]』が大ヒットし、また同じ年に成人向け美少女漫画誌の主力作家である[[後藤羽矢子]]が『[[まんがライフ]]』において初の一般向け作品でありストーリー4コマ漫画となる『[[どきどき姉弟ライフ]]』を発表、さらに『スポコミ』(前身は『[[月刊まんがパロ野球ニュース]]』)が休刊した後に、同じ雑誌コードを引き継いだ青年向け4コマ誌『[[まんがくらぶオリジナル]]』が創刊するなどの出来事が起こっている。このことから、1999年はいわゆる'''「おたく文化」の4コマ漫画界への流入が本格的に始まった年'''であり、後の萌え4コマ流行の礎の一つとなっていった。
 
ここに分類される基準は萌え要素の有無である。原則的に従来の4コマ漫画よりも絵に重点が置かれていること、登場人物の大半が美少女でありなおかつ[[萌え絵]]に属する(=主に男性に好まれる)絵柄であることが特徴に挙げられる。それ以外は一概にくくれる要素を持っているわけではないが、萌え4コマというフォーマットの性格上、キャラクターの個性がネタにされることが多く、小ボケの連続により話が進んでいくことが多い。4コマ目でオチを付けることは必須条件ではないため、ストーリー4コマの特徴を含む作品も多い。総じて4コマ目のオチが淡白になる傾向があり、中には4コマ目でオチがなく次の4コマへ向けての「承」や「転」に当たる展開が延々と続くものすら存在する。これは、オチのインパクトよりも、萌えキャラのキャラクター性が重視されているからである。なお、いわゆる「脱力系4コマ漫画」(例・「[[らき☆すた]]」、「[[ゆるめいつ]]」など)も作品全体の雰囲気がゆるく脱力系で進行するという意味で前者と同様「ゆるい作品」と表現されることが多いが、後者は原則4コマ目で落とす展開の連続で作られているため、前者と後者の「オチ」の性質は似て非なるものと言える。萌え4コマやそれを原作としたアニメなどによくみられる、萌え系の表現を重視して日常生活の描写を中心とした作風のコンテンツをさす用語としては、[[空気系]]というタームもある<ref>[[宇野常寛]] 「[http://renzaburo.jp/contents/045-uno/045_main_014.html 5章「空気系」と擬似同性愛的コミュニケーション 1 「空気系」と萌え4コマ漫画]」『政治と文学の再設定』 [[集英社WEB文芸RENZABURO]](2011年3月18日)</ref>。[[植田まさし]]は自身が「実体のあるものを仕掛けにしたアイデア」をオチに使うことを明かした上で、萌え4コマの「空気オチ」の傾向について「具体的なオチへの期待感がないんですよ。結局それはキャラクターに頼っているということで、キャラ頼りの漫画って長続きしないと思うんです」と厳しく批評している<ref>[http://bunshun.jp/articles/-/3342?page=3 「おとぼけ課長」にあって「課長 島耕作」にないもの “4コマ漫画の巨匠”植田まさしロングインタビュー #2(3ページ目)] 文春オンライン、2017年7月16日</ref>
 
4コマ目でオチを付けることは必須条件ではないため、ストーリー4コマの特徴を含む作品も多い。総じて4コマ目のオチが淡白になる傾向があり、中には4コマ目でオチがなく次の4コマへ向けての「承」や「転」に当たる展開が延々と続くものすら存在する。これは、オチのインパクトよりも、萌えキャラのキャラクター性が重視されているからである。なお、いわゆる「脱力系4コマ漫画」(例・「[[らき☆すた]]」、「[[ゆるめいつ]]」など)も作品全体の雰囲気がゆるく脱力系で進行するという意味で前者と同様「ゆるい作品」と表現されることが多いが、後者は原則4コマ目で落とす展開の連続で作られているため、前者と後者の「オチ」の性質は似て非なるものと言える。また、ストーリー漫画や[[ライトノベル]]、[[美少女ゲーム]]のイラストレーター出身の作家も多く、これらの分野から受けた影響から感動的な展開やいわゆる「泣き」の設定を取り入れる作品も少なくない。ドタバタ[[ラブコメディ]]のような作品の手法を応用した終始ハイテンションで突っ走る作品も存在するが、画風などの特性においては萌え4コマと共通しており、同種として括られているのが通常である。萌え4コマやそれを原作としたアニメなどによくみられる、萌え系の表現を重視して日常生活の描写を中心とした作風のコンテンツをさす用語としては、[[空気系]]というタームもある<ref>[[宇野常寛]] 「[http://renzaburo.jp/contents/045-uno/045_main_014.html 5章「空気系」と擬似同性愛的コミュニケーション 1 「空気系」と萌え4コマ漫画]」『政治と文学の再設定』 [[集英社WEB文芸RENZABURO]](2011年3月18日)</ref>
 
萌え4コマの元祖を特定することは難しく、万人が納得する一つの作品に絞り込むことはできていない。萌えるかどうかは作品だけでなく読者側の問題でもあり、伝統的な4コマ作品でも受け手次第で萌えることは可能といえる。