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== 対策と評価 ==
スラムを解体したり、活性化さることで問題を解決しようとする試みは古くから行われてきたが、必ずしも成功を収めていない。[[文化大革命]]時に大量に中国大陸から[[香港]]に難民が押し寄せた際、不衛生なスラムが至るところに出来、犯罪や暴動が頻発した。当時の英国行政府は膨大な量の[[高層住宅]]を建設して住民を収容したり、[[郊外]]に新たな居住区を建設し、住民を移住させるといった対策で一定の成果を得た。しかし、他の開発途上国では、失業者対策が行われないなど、スラムの存在する根本的な理由を解決していないことが多いため、[[プルーイット・アイゴー]]のように、団地自体がスラム化する場合がある。また、[[賄賂]]や[[横領]]など対策を取る側に問題があることもある。
 
ある地域をスラムと呼ぶとき、異なる[[アイデンティティ]]をもつ外部の人々が自分たちの文化景観の基準から外れた地域に対して、その地域の人々の文化や[[ライフスタイル]]と関係なく、秩序が無い(ように見える)、建材が現代的で無い、など文化摩擦や誤解から一方的にスラムの[[ラベリング|レッテル]]を与えてしまう場合があり、行政によって[[都市再開発]]の対象とされてしまうケースもある<ref name="Rapoport">エイモス・ラポポート『文化・建築・環境デザイン』大野隆造、横山ゆりか訳 彰国社 2008年 ISBN 9784395051014 pp.60-65,120-121.</ref>。例えば、[[アメリカ]]では、プエルトリコ人やロシア移民など、特定の民族集団が固まって居住する地域のライフスタイルや空間の使い方が、アングロサクソン系アメリカ人の許容できる水準に達していないとして、スラムと定義した例がある<ref name="Rapoport"/>。
 
スラムを民間部門の自由な社会経済活動の場と捉えて、住民を[[草の根民活]]として、肯定的に評価する立場もある。[[農村]]にあっても十分な収入を期待できない場合、[[都市]]に流入する貧困者が多いが、都市に転居しても、工場労働者や事務員のように正規の雇用機会は得られない。そこで、自らが、露天、靴磨き、[[廃品回収]]などの小規模で、元手があまりかからない仕事を創出する。こうして、スラムの未熟練労働者が多数就業する[[都市インフォーマル部門]]が[[開発途上国]]の大都市で成長している。