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[[ファイル:GretnaLevee.jpg|thumb|250px|増水したミシシッピ川。河原は水没しているが堤防のおかげで町には被害がない。]]
 
[[File:Levee collapse of Nagara river.jpg|thumb|250px|降り続いた雨で決壊した長良川の堤防([[1976年|昭和51年]]9月12日の[[9.12]])]]
堤防が壊れて堤内に水があふれることを'''破堤'''(はてい)という。破堤の要因を大別すると[[浸透]][[浸食]]、越水の3つが挙げられる。
; 浸透
: 川表側の水位が上昇し、堤内側地盤との水頭(水圧)差により生じる堤防内の[[間隙水圧]]が大きくなった場合に、川表側からの河川の浸透水による水みちが形成されることで、裏法側や堤内基盤に漏水を生じさせる作用である。浸透水が堤防を構成する土砂類を吸い出し、[[パイピング現象]]を急速に進行させる可能性もあることから、最終的な堤防の欠壊を防ぐためにも早期の発見と適切な対処が必要。
:: 対処法:水防活動により川表側ではシート張工、裏法側では月の輪工、釜段工などを行う。
; 浸食
: 波や水流にさらされることで、表法面の土砂が削られたり、堤防や護岸の足(脚部)が深掘れしていく現象。ある部分が大きく浸食されることを洗掘といい、放置して規模が大きくなると堤防の幅が痩せていき、十分な浸透路長を稼げなくなることによる浸透破壊、または堤防本体のそのものの崩壊を生じさせることで、やがて破堤につながる。
:: 対処法:水防活動により裏法側では築き廻し工などを行う。
; 越水
: 水位が堤防高を越え、水があふれる現象。表法面ほどは補強されないことの多い天端や裏法面が削られることにより、侵食による破壊と同じメカニズムが生じ、やがて破堤につながる。
:: 対処法:水防活動により天端への積み土嚢工などを行う。
 
越水では破堤の有無に関わらず漏れ出た水によって「超越洪水」が起きる場合がある<ref name="kasen-no-kagaku-32-33"/>。
 
=== 破堤防止 ===
; 浸透防止策
: 鋼矢板製の止水壁を川表側の土中に打込んだり、透水性の低いブランケットと呼ばれる土で川底を覆う工法や、遮水シートやブランケットで表法面を覆う工法を採る。また、川裏側にドレーン工と提脚水路を設けて堤体内に浸透した水をできるだけ早期に排水できるようにされる。大量の雨水が堤体内に浸透するのも避けた方が良い。
; 浸食防止策
: ここでいう浸食防止策とは川表側の浸食に対する備えであり、川の流れで生じる浸食作用から堤体を護ることである。表法面をコンクリート製などの護岸工事を行ったり、水制(すいせい)を設ける。適切に管理された斜面の芝もある程度有効である。
; 越水対策
: 越水だけであれば堤防の高さを増せば単純に防げるが、費用対効果や堤体の総合的な耐力を考慮すれば現実的な高さには上限が生じる。ここでいう越水対策とは天端や川裏側の浸食に対する備えであり、越流水で生じる浸食作用から堤体を護ることである。越水対策では、越水された場合であっても容易には流水で堤体を侵食されないように、天端の川裏側角や川裏の法尻部分にはそれぞれ法肩保護工と法尻工が行われ、天端や法面という平面部は遮水シートや保護マットを覆うといった対策が行われる。
 
上記のような対策を施された堤防は「難破堤堤防」と呼ばれる。