「亡国のイージス」の版間の差分

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==原作あらすじ==
「いそかぜ」と「うらかぜ」から成る[[海上自衛隊]]第65護衛隊は、訓練のため[[呉地方隊]]を出港し、太平洋の訓練海域へ向かっていた。ミニ・[[イージスシステム]]搭載[[護衛艦|ミサイル護衛艦]]「'''いそかぜ'''」(艦番号はDDG183)は大規模改修が行われて[[イージス弾道ミサイル防衛システム|TMD対応イージス艦]]の一番艦となったばかりな上、幹部がほぼ全員交代しており、練度が低い状態だったが、海上訓練指導隊(FTG)を受け入れ、監査を受けなければならなかった。「いそかぜ」[[先任伍長]]の仙石は、イージスシステムの経験者として異動してきた如月士や、独身者揃いの幹部たちの不自然な様子に気づいていく。如月も、自らの「目的」のためとは言え、同僚や仙石達に接近し、心を開いていく。
 
その頃、『辺野古ディストラクション』後に米軍から奪われた特殊兵器「[[GUSOH]]」(通称:ネスト、あれ)は、[[防衛庁情報局]](DAIS)の監視も虚しく7人の工作員の手で持ち出されてしまう。
 
予定通り、[[由良基地]]で溝口佐以下FTG隊員を受け入れるが、彼らの不自然さに、「いそかぜ」の下士官たちも気が付いていく。そんな中、オセアニア航空の墜落事故が発生し、「いそかぜ」は救助活動を行い、奇跡的に女性を救出するが、やがて死亡する。しかし、「いそかぜ」には不可解な事故が続発。女性も、生き返って艦内に潜入した噂まで出る始末だった。ついに、菊政士が訓練中に事故死し、艦内に動揺が広がる中、演習続行が決断される。仙石はクルーを守るべく竹中副長ら幹部に食って掛かり、ついに宮津艦長と溝口佐から「真相」を聞く。
 
DAISの人間である溝口佐らは、FTGを装って「いそかぜ」に乗艦し、艦内に潜伏している北朝鮮工作員「ホ・ヨンファ」の影響下にある工作員:如月を捕える任務を帯びていた。艦内に隠れていた女性も溝口の部下だった。ヨンファは宮津艦長の息子:隆史に接近し、それをヨンファ捕縛の好機ととらえたDAISにより、隆史は死に追いやられたという。
 
「真相」を知った仙石は、戦闘配置が命じられる中如月を問い詰め、[[プレイステーション]]に偽装された通信機を破壊するが、逆に気絶させられてしまう。混乱の中で、先任海士長だった田所が殺害された。混乱の中で如月は艦を爆破し始める。仙石は如月を機械室に見つけると、激しく詰問するが、艦長らの「真相」とは真逆のまったく異なる説明を如月から聞くこととなる。
 
溝口こそがホ・ヨンファであり、潜伏した女も高練度の工作員で、幹部全員がグルである、と。仙石は混乱するが、入れ替わるように機械室に乱入したホ・ヨンファの部下たちは如月を捕え、発煙筒をばら撒いていく。宮津艦長は「最後の命令」として総員離艦を命ずるが、仙石は土壇場で救命筏から海に飛び込み「いそかぜ」に戻る。宮津は「うらかぜ」を撃沈し、[[航空自衛隊]]のF-15をも撃墜すると、[[自衛艦隊]]宛に叛乱を宣言する。「弾頭は通常にあらず」と。
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:海上自衛隊ミサイル護衛艦「いそかぜ」[[艦長]]。[[二等海佐]]。そして、今回の[[事件]]の首謀者。
:神奈川県出身。父親も[[大日本帝国海軍]]から戦後は海上自衛隊の技術幹部となり、父に憧れて自衛官を志す。人望に厚く、同級生・先輩後輩・同僚に彼を慕う者は多い。部内幹部を目指す海曹を対象に、勉強会「宮津学校」を主催していたことがあり、人脈も豊かである。
:妻と防大生の息子:隆史に恵まれていたが、隆史の「事故死」に強いショックを受けたところにホ・ヨンファが現れ、関わりを持つ。冷徹になろうとするも、ここ一番で冷徹になりきれない。初任幹部時代に仙石と出会っていて、中学生時代の如月とも縁があるらしい描写が見られる。
:映画では、防衛庁側の意向もあり副長に変更された。
; 如月行(きさらぎ こう)
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:横須賀にて試験艦「あすか」に在籍していたが、ミニ・イージスシステムの習熟者として、「いそかぜ」のクルーに新システムの指導を施すため配転されて来た。
:しかしそれは偽の経歴であり、彼の正体は[[防衛庁情報局]](DAIS)に所属する[[二曹]]。DAISの特殊部隊である対テロ特殊要撃部隊「920SOF」の特別班(単独任務専門)に配属されている。宮津達による[[反乱|叛乱]]を阻止する特命を受け、[[海上自衛官]]の一等海士として「いそかぜ」に派遣された。
:少年時代に母が自殺し、放蕩者の父に引き取られる。慕っていた祖父を父に殺された復讐として父を殺害するが、直後にDAISに服役免除を条件にスカウトされ、組織の一員として行動することになる。寡黙で、訓練の成果もあるが感情を押し殺している。天才的な[[絵]]の才覚を持っている。
:映画では、親子三人で暮らしていたが母の自殺がきっかけで父親を殺害したと、設定変更された。
=== 「いそかぜ」関係者 ===
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:海上自衛隊ミサイル護衛艦「いそかぜ」第一分隊砲雷科[[二等海士]]。
:人間関係がギクシャクしがちな「いそかぜ」クルーの潤滑剤的な存在。幼い頃に両親が離婚して、祖母に育てられた。魚雷訓練中、事故死する。
:他の福井作品でも同姓の登場人物<ref>[[終戦のローレライ]]の菊政一等水兵、[[機動戦士ガンダムUC]]の[[ネェル・アーガマ]]乗員キクマサ、[[亡国のイージス2035]]のいそかぜ通信長菊政聡美</ref>はしばしば登場し、同じく悲劇に襲われることが多い。
=== 自衛隊関係者 ===
;衣笠秀明(きぬがさ ひであき
:演:[[橋爪淳]]
:海上自衛隊[[第65護衛隊]][[司令]]。[[一等海佐]](映画では宮津が副長に設定変更されたため「いそかぜ」艦長に変更されている、また風貌も大きく異なる)。
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:沢口博を監視していた男性局員。持病の[[痔]]を悪化させる。
;645
:『ネスト』のひとつD(デルタ)を監視ししていた女性局員。CIA局員と新婚旅行を装って、オセアニア航空202202便に搭乗し、事故に巻き込まれる。
=== 政治家・官僚等 ===
;菅原裕二
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:演:[[チェ・ミンソ]]
:北朝鮮工作員の1人。本編において、1つの鍵を握る人物でもある。
:ヨンファの部下らしいが、詳細は不明(おそらく義兄妹と思われ、そんな描写も見られる)。女性としては類稀な体力・戦闘技術を持つ。韓国にいた時の[[地雷]]の事故により[[声帯]]を吹き飛ばされているため、声を出すことができない。そのときの傷を隠すためか、首に常に[[襟巻き|マフラー]]を巻いている。
:映画では傷が確認でき、ヨンファとも血のつながった兄妹の設定
;ドンチョル
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==== 映画版あらすじ ====
[[File:US Navy 050609-N-5384B-007 The Japanese Maritime Self Defense (JDS) ship JDS Myoko (DDG 175), foreground, sails in formation along with the USS Shiloh guided missile cruiser (CG 67).jpg|thumb|200px|「いそかぜ」を演じた、実在の「[[みょうこう (護衛艦)|みょうこう]]」]]
護衛艦「いそかぜ」の専任伍長:仙石恒史は、多くの若年隊員からの信頼が厚かった。しかし、気に掛けていた如月士は、訓練海域へ向かう航海の途上、徐々に不審な動きを見せていく。そんな中、如月の異状に気付いた菊政士が訓練中に事故死。それでも、帰港せず航海を続けることに、仙石は抗議するため艦長室を訪れる。[[由良基地]]から乗艦している海上訓練指導隊(FTG)の溝口佐や、いそかぜ副長の宮津佐の説明によれば「北朝鮮の工作員ホ・ヨンファの影響下にある如月が米軍から[[GUSOH]]」を奪い、潜入している」とのことだった。そして、すでに艦長は殺害されていた。
 
その直後、如月が艦内に爆弾を仕掛け立てこもり事件を起こす。説得のため仙石は一人で如月の下に赴く。しかし、彼の説明によれば「溝口こそホ・ヨンファ本人であり、宮津ら幹部もグルである」とのことだった。仙石と入れ替わるようにFTGの隊員に如月は拘束され、溝口は総員離艦を命ずる。曹士隊員はその命令に従うが、FTG隊員と幹部たちは護衛艦に立てこもる。救命ボートからその様子を見た仙石は、「いそかぜ」へ戻ろうとする。叛乱を起こした「いそかぜ」は、静止を試みた護衛艦「うらかぜ」と戦闘の末、「うらかぜ」を撃沈する。