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{{Otheruses|女神のイシュタル|その他}}
[[ファイル:Queen of the Night (Babylon).jpg|thumb|「バーニーの浮彫」。紀元前1800年 - 紀元前1750年頃の物と推定。イラク南部出土。テラコッタ製。]]
'''イシュタル'''([[アッカド語|新アッシリア語]]: [[File:B010ellst.png|100x20px|DINGIR]] [[File:B153ellst.png|100x20px|INANNA]]、[[翻字]]: <sup>[[:en:Dingir|D]]</sup>MÙŠ、[[転写 (言語学)|音声転写]]: Ishtar)は、[[シュメール神話]]に登場する豊穣神[[イナンナ]]の系譜と[[地母神]]の血を引く、[[メソポタミア神話]]において広く尊崇された愛と美の[[女神]]<ref name="yajima">矢島(1998)pp.186,226</ref>。戦・[[豊穣]]・[[金星]]・[[王権]]など多くの神性を司る。
 
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=== 食事 ===
ウルクの神々には毎日、人の手によって大量の食物が捧げられた。各神殿や大邸宅に向けて送られた小麦や家畜、果実などは、神殿に仕える料理人が加工し提供する。穀物は焼きパン243個、揚げパン1200個。肉類は羊58頭、牛3頭、[[キジバト]]20羽、[[ガチョウ]]3羽、[[アヒル]]5羽、卵6個。果実類は甘味と菓子、[[ナツメヤシ]]、[[イチジク]]、干し[[ブドウ]]を648リットル。飲み物は[[ビール]]やブドウ酒など216リットル。何人の神で分けたかは定かではないが、これらはウルクの神々によりたった1日で消費される。イシュタルの取り分は1日パン30個、ビール12杯など<ref>南條(1996)pp.161~ - </ref>。年間の総消費量は、ざっくり換算しただけでも相当な量になる。
 
=== 神事 ===
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==== 聖船と世界規範 ====
ある日イシュタルは盛装してエンキムドゥに会いに行ったが、めかし込んだ姿に我ながら魅了され、エリドゥに住むエアの神殿「エアブズ」を訪ね、彼を口説きに行こうと歩み始める。イシュタルはエアとその従神{{仮リンク|イシム|en|Isimud}}らに歓迎されると、競うように酒を飲み重ねた。イシュタルは酒により調子が良くなったエアから、「[[メー|メ]]」と呼ばれる権力の全てを与えられる。「メ」を受け取ったイシュタルは天の舟「マアンナ」にそれらを積み、意気揚々とウルクへ帰るべく出航した。やがて酔いが冷め「メ」の数々をイシュタルにやってしまったことに気付いたエアは、「メ」を取り戻すべくイシュタルのもとにイシムと怪物を遣わし追跡するが、イシュタルはこれを逃れ最後までエアの「メ」を持ったままウルクへ帰ることに成功した。エアは「なかなかやるものだ。褒め称えてやらねばな」言ってその結末を受け入れた<ref group="注">最終的にはエアの元に全ての「メ」が復活したと言われている。 岡田・小林(2008)p.119</ref>。
 
「メ」というのは「太古から神々によって定められた規範<ref>岡田・小林(2008)p.120</ref>」を意味し、シュメール社会における掟のようなものの総称である。「メ」の内容は[[神官]]・[[武器]]・[[玉座]]などの具体的なものから、[[売春]]・[[精神]]・[[歌]]のような、文化や娯楽といった抽象的なものも指す。
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=== 注釈 ===
<references {{Reflist|group="注"/>}}
 
== 参考文献 ==