「ひゅうが型護衛艦」の版間の差分

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|艦種||colspan="2"|ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)
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|艦名||colspan="2"|[[旧国名]]<ref group="">海上自衛隊の命名基準における地方名の範疇として旧国名が採用された。既存の自衛隊艦船にも[[輸送艦]]「[[さつま (輸送艦)|さつま]]」「[[おおすみ (輸送艦・2代)|おおすみ]]」、[[補給艦]]「[[さがみ (補給艦)|さがみ]]」「[[おうみ (補給艦)|おうみ]]」など旧国名を冠したものがあるが、これらの艦名はいずれも[[半島]]、[[湖]]、[[湾]]、[[川]]といった地名、名所旧跡名に由来している。「おうみ」は[[近江国]]そのものではなく[[琵琶湖]]の古名から取られたものであるため、直接的に[[旧国名]]が用いられた例はひゅうが型が最初となる</ref>
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|style="white-space:nowrap; font-size:smaller"|建造期間||colspan="2"|2006年 - 2011年
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|rowspan=2|排水量
|colspan=2|基準:13,950[[トン数|トン]]<ref group="">平成21年4月11日(土)に、海上自衛隊横須賀地方総監部で行われた一般公開で配布された海上自衛隊のパンフレットには13,500tと記載されている</ref>
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|colspan=2|満載:19,000トン(推定値)
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|style="white-space:nowrap; font-size:smaller"|航続距離||colspan="2"|
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|乗員||colspan="2"|約340 - 360名<ref group="">IHIがDDH-181進水記念に配布した絵葉書には乗員約490名、就役記念に配布した絵葉書には乗員数約510名と記載されている一方、海上自衛隊のサイトと[[朝雲新聞]]の2009年3月26日付記事には、乗員約340名と記載されている。また、第1護衛隊群のサイトと、平成21年4月11日(土)に海上自衛隊横須賀地方総監部で行われた一般公開で配布された海上自衛隊のパンフレットには乗員約360名と記載されている。どれも航空要員や司令部要員を含めた物であるかは明記されていない</ref>
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|rowspan=4|兵装
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|[[Mk 32 短魚雷発射管|HOS-303 3連装短魚雷発射管]]||2基
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|rowspan=3|[[艦載機]]<br /><ref group="">平成21年4月11日(土)に、海上自衛隊横須賀地方総監部で行われた一般公開で配布された海上自衛隊のパンフレットには、
搭載ヘリコプターとして、SH-60K、SH-60J、MH-53E、MCH-101の4種類が記載されている</ref>
|[[SH-60K (航空機)|SH-60K]]哨戒ヘリコプター||3機
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== 設計 ==
=== 船体 ===
前任の[[はるな型護衛艦|はるな型(43/45DDH)]]から[[ヘリコプター]]運用能力、護衛隊群[[旗艦]]能力の発展、向上が要求されたことから、[[基準排水量]]は歴代[[自衛艦]]として当時最大の13,950トンとなった。[[排水量#満載排水量|満載排水量]]は推定で19,000トンとされ、[[イタリア海軍]]の「[[ジュゼッペ・ガリバルディ (空母)|ジュゼッペ・ガリバルディ]]」や、[[スペイン海軍]]の「[[プリンシペ・デ・アストゥリアス (空母)|プリンシペ・デ・アストゥリアス]]」、[[タイ王国海軍]]の「[[チャクリ・ナルエベト (空母)|チャクリ・ナルエベト]]」などの[[軽空母]]と同等か上回っており、[[イギリス海軍]]の[[ヘリコプター揚陸艦]]「[[オーシャン (ヘリコプター揚陸艦)|オーシャン]]」よりは小さい<ref group="">[[大日本帝国海軍|旧海軍]]の空母と比較すると「[[龍驤 (空母)|龍驤]]」と同等</ref>。[[自衛艦]]としては、[[ましゅう型補給艦|ましゅう型(12AOE)]]もほぼ同等の基準排水量を備えているが、補給艦は搭載量が大きいことから、満載排水量は12AOEのほうが一回り大きく、全長も24メートル長くなっている<ref name="Hull"/>。
 
艦体や上部構造物は[[ステルス性]]を考慮して側面に傾斜がつけられ、表面は平滑に整形されている。主船体は7層、艦橋構造物は5層の甲板から構成されている。艦橋構造物は右舷に寄せられ、長さは70メートル、幅9メートルのいわゆるアイランド方式となった。[[艦橋]]はアイランドの4層目(03甲板)に位置しており、同レベルの後部には航空管制室が設けられている。このアイランド部を除いて、第1甲板(上甲板)は艦首から艦尾まで平坦な全通甲板構造となっており、全域が飛行甲板とされている。これにより、艦体の後方3分の1程度が平らなヘリコプター甲板だった従来のヘリコプター搭載護衛艦や、最初に発表された予想図のような艦形では不可能だったヘリコプター複数機の同時発着艦運用を実現し、艦橋が視界を遮ったり[[気流]]を乱す事も少なくなり、ヘリコプターの着艦作業も容易になった。ヘリコプター運用の妨げになることから、欧州のSTOVL空母が設置しているような[[スキージャンプ]]勾配は設置していない。水線から飛行甲板までの高さは15メートルに及ぶ。飛行甲板の左舷側には[[キャットウォーク (通路)|キャットウォーク]]が設けられている<ref name="Hull"/>。
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;しらね型との排水量増大の内訳
:*しらね型:約5,200トン、ひゅうが型:約13,950トン
:*:+約8,750トンの増大
:*情報・指揮通信能力の向上…多目的区画の設置等
:*:+約480トン
:*ヘリコプター運用能力の向上…格納/整備スペースの増設、昇降機×2基の搭載等
:*:+約3,230トン
:*装備武器の能力向上…水上艦用ソナー、射撃指揮装置の装備等
:*:+約830トン
:*機関、発電能力の向上…エンジン、発電機の重量増等
:*:+約1,120トン
:*抗堪性、居住性の向上…機関区画の2重構造化、二段ベッド化・レストエリア追加等
:*:+約2,940トン
 
===同様の機能を持つ艦艇との比較===
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FCS-3は、従来より試験艦「[[あすか (試験艦)|あすか]]」で運用試験を受けていたものの改良型で、Cバンドを使用する捜索[[レーダー]]と、Xバンドを使用する射撃指揮レーダーの[[フェーズドアレイレーダー|フェーズド・アレイ・アンテナ]]をそれぞれ4面ずつ 、[[アイランド]]前部に0度と270度を向いたもの、後部に90度と180度を向いたものを設置しており、目標捜索から追尾、そしてOYQ-10から指示を受けての攻撃までを担当する。総合的な対空武器システムとなっており、最大探知距離200キロ以上、最大追尾目標数300程度とされる。砲を搭載しないことから、[[ESSM]](発展型シースパロー)の射撃指揮にのみ用いられることとなる。なお、コストダウンのため、1番艦「ひゅうが」の捜索レーダーは「あすか」に装備されていたものの台枠3基を流用したが、アクティブアレイの素子は全て新造品に交換された。「あすか」に残された1基の台枠は「[[いせ (護衛艦)|いせ]]」に用いられ、撤去された。また、従来開発されていたFCS-3は[[電波ホーミング誘導#アクティブ方式|アクティブ・レーダー・ホーミング(ARH)誘導]]方式の国産艦対空ミサイル(AHRIM)を前提としていたため射撃指揮レーダーを必要としなかったことから、Cバンドの捜索レーダー部のみだったことから、ミサイルとして[[電波ホーミング誘導#セミアクティブ方式|セミアクティブ・レーダー・ホーミング(SARH)誘導]]のESSMを採用したことに伴い、[[タレス・グループ|タレス・ネーデルラント]]社の[[APAR]]の一部を射撃指揮レーダー(ICWI: Interrrupted Continuous Wave Illuminator)として導入した<ref>{{Cite journal|和書|title=1. 護衛艦 (注目の新艦載兵器)|author=東郷行紀|journal=世界の艦船|year=2013|month=5|issue=778|pages=76-85}}</ref>。
 
対空ミサイルのESSMは、従来使用されてきた[[シースパロー (ミサイル)#IBPDMS (NSSMS)|シースパローIPDMS]]の発展型であり、より敏捷になっている。また、同時多目標対処を狙って中途航程に[[慣性]]誘導を導入したことにより飛翔コースが最適化され、近距離での機動性向上を狙って[[推力]]を増強した結果、射程も最大50kmに延長されている。射程の外縁部では機動性が低下するものの、限定的な艦隊防空<ref group="">この種の限定的艦隊防空は、'''僚艦防空'''(Local Area Defense)とも呼ばれる。同様にESSMと[[イージスシステム]]を組み合わせて搭載している[[ノルウェー]]の[[フリチョフ・ナンセン級フリゲート]]についても同様の言及がされている</ref>能力を有する。[[海上自衛隊]]の[[護衛艦]]で、ESSMを新造時から搭載するのはひゅうが型が初となる。
 
ESSMの射撃可能域よりも近距離の航空脅威に対処するため、飛行甲板前端と、船体後部左舷側に設けられた[[スポンソン]]上に[[ファランクス (火器)|高性能20mm機関砲]]([[CIWS]])を計2基搭載している。
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自艦装備の対潜火力としては、Mk.41 VLSより発射する[[アスロック#VLA|VLA(垂直発射式アスロック)]][[対潜ミサイル]]と、舷側の[[Mk 32 短魚雷発射管|68式3連装短魚雷発射管HOS-303]]がある。搭載する16セルのMk.41 VLSのうち、12セルがVLAに割り振られる。また、将来的には、新開発の[[07式垂直発射魚雷投射ロケット]]('''新アスロック''')の運用も予定されている。HOS-303 3連装短魚雷発射管は、従来より使用されてきた68式3連装短魚雷発射管シリーズの最新版で、新型の[[97式魚雷|97式短魚雷]]の運用が可能となっている。
 
また、搭載機のうち、[[SH-60K (航空機)|SH-60K]]は[[ヘルファイア (ミサイル)#AGM-114M ヘルファイアII|AGM-114M ヘルファイアII]][[空対艦ミサイル]]が装備でき、砲や[[対艦ミサイル]]を持たないひゅうが型における間接的な対水上火力となる<ref group="">アメリカ海軍ではシースパローによる艦艇の攻撃実験に成功しているが、日本のFCS-2ではモノパルス誘導のRIM-7M対応化の際に対艦攻撃能力は持たない。FCS-3については不明</ref>。
 
洋上でのテロ攻撃に対処するため、合計で7基の[[ブローニングM2重機関銃|12.7mm重機関銃M2]]を搭載する。近接防空用の[[ファランクス (火器)|高性能20mm機関砲]]も、光学照準機能を持つブロック1Bと呼ばれるバージョンを採用したことで、小型・高速の水上脅威が接近してきた場合に対処できる。
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== 登場作品 ==
=== アニメ ===
:; 『[[ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q]]』
:: ヴィレ所属艦艇として登場。詳細な描写ではないが8隻程度が同時に描写される。
:; 『[[機動戦士ガンダムUC]]』
:: 4話で[[地球連邦軍の艦船及びその他の兵器#ヒマラヤ級対潜空母|ヒマラヤ級対潜空母]]として登場した艦の[[艦橋]]構造物がひゅうが型のものに酷似している。全体の艦容は[[キエフ級航空母艦]]に近い。シャンブロに[[撃沈]]される。
 
=== 漫画 ===
:; 『超時空DDH ヘリ母艦南海の決戦』
:: 架空艦「DDH-184 しなの」が登場。[[第二次世界大戦]]時に[[タイムトラベル|タイムスリップ]]し、本来の史実にはなかった[[東京都|東京]]への[[原子爆弾|原爆]]投下が起きることを知ったため、それを阻止するため旧[[アメリカ海軍]]と対決する。
:; 『[[まりかセヴン]]』
:: [[海上自衛隊]]の対潜[[ヘリ空母]]として、架空艦「DDH-183 まゆゆ」が登場。
 
=== 小説 ===
:; 『かんづかさ参〜朱に染まる空〜』
:: [[海上自衛隊]]第一護衛艦隊[[旗艦]]「ひゅうが」として登場。[[千葉県]][[いすみ市|夷隅市]]・[[勝浦市]]付近に位置する架空都市・夜刀浦攻略のため、派遣された第一護衛艦隊群と共に海神ダゴンと戦う。
:; 『日中尖閣戦争』
:: 「南方急行作戦」の旗艦として登場する。
:; 『[[日本国召喚]]』
 
=== 書籍 ===
:; 『[[エースコンバット アサルト・ホライゾン]] マスターファイル [[ASF-X 震電II|ASF-X震電II]]』
:: ゲーム本編には登場しないが、関連書籍の本書に[[軽空母|STOVL空母]]に改造された「ひゅうが改型DDV」として登場。
 
=== ゲーム ===
:; 『[[大戦略シリーズ]]』
:: 主に[[大戦略シリーズ#「現代大戦略」シリーズ|『現代大戦略』シリーズ]]において[[日本]]ユニットとして登場。『現代大戦略2003』にて「新型DDH」として初登場し、『現代大戦略2008』にて初めて「ひゅうが」という実名で登場した。また、それ以前にもひゅうが型をモデルとした艦が『[[大戦略シリーズ#その他の大戦略シリーズ|大戦略マスターコンバット2]]』には「ひりゅう」、『現代大戦略2001』および『現代大戦略2002』には「あかぎ」という名称で登場しているが、双方共に実際にひゅうが型が就役する以前の作品であるため、実際のひゅうが型とは[[排水量]]が異なる、[[垂直離着陸機|VTOL機]]が搭載可能になっているなどの相違点がある。
 
=== 模型 ===
:; 『1/700[[ウォーターラインシリーズ]] 海上自衛隊ヘリコプター搭載護衛艦 ひゅうが』([[青島文化教材社]])
:: ひゅうが型の初の[[模型]]化された[[プラモデル]]。
:; 『1/700ウォーターラインシリーズ 海上自衛隊ヘリコプター搭載護衛艦 いせ 就航時』(青島文化教材社)
:: 「いせ」の新造時の状態を模型化したキット。「ひゅうが」との識別点がモデル化されているほか、同スケールの[[F-35 (戦闘機)|F-35 ライトニングII]]・[[BAe シーハリアー|シーハリアー]]を同封。
:; 『1/700ウォーターラインシリーズ ヘリコプター搭載護衛艦ひゅうが 離島防衛作戦』(青島文化教材社)
:: 上記の『ひゅうが』のキットに、[[陸上自衛隊]]の[[AH-1 コブラ#日本|AH-1S]]・[[AH-64D アパッチ・ロングボウ#採用国|AH-64D]]・[[OH-1]]と、[[アメリカ海兵隊]]の[[AAV7]]・[[V-22 (航空機)|V-22 オスプレイ]]の同スケールキットを同封したバージョン。ボックスアートで、[[中国人民解放軍海軍]]の[[航空母艦|空母]]「[[遼寧 (空母)|遼寧]]」に似た[[軍艦]]を[[撃沈]]しているとして、[[中華人民共和国|中国]]メディアにも取り上げられた<ref>{{Cite web|url=http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2013-05/10/content_28787668_2.htm|title=釣魚島海域の激戦で「遼寧艦」撃沈を妄想する日メディア|author=[[中国網]]|date=2013-05-10|accessdate=2013-08-27}}</ref>。
:; 『1/700 海上自衛隊ヘリコプター搭載護衛艦 DDH-181 ひゅうが』([[ピットロード]])
:: フルハルモデル版とウォーターライン版がある。
:; 『1/350 海上自衛隊 護衛艦ひゅうが』([[フジミ模型]])
:: 飾り台付のフルハルモデル。
 
== 脚注 ==
=== 注釈 ===
<references group=""/>
 
=== 参考文献出典 ===
{{Reflist|2}}
 
== 関連項目 ==
{{commons|Category:Hyuga class destroyers}}
* [[海上自衛隊の航空母艦建造構想]]
* [[軽空母]] / [[ヘリ空母]] / [[対潜空母]]
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== 外部リンク ==
{{commons|Category:Hyuga class destroyers}}
* [http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/ships/dd/hyuga/181.html 海上自衛隊 「ひゅうが」型護衛艦]
* [http://www.mod.go.jp/msdf/ccf1/1ed/hyuga/index.html 第1護衛隊群 第1護衛隊「ひゅうが」]
352行目:
{{DEFAULTSORT:ひゆうかかたこえいかん}}
[[Category:海上自衛隊の護衛艦|+ひゆうか]]
[[Category:ひゅうが型護衛艦|+ひゆうか*]]
[[Category:戦争以外の軍事作戦]]