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| routes_of_administration=経口
}}
'''シルデナフィル'''({{Lang|en|Sildenafil}})は、[[勃起不全]] (ED) 、および肺動脈性[[肺高血圧]]症の[[医薬品|治療薬]]である。先発薬としては[[ファイザー]]の'''バイアグラ''' ({{en|Viagra}}<ref>Viagraの商標、日本では登録商標第4127593号、米国での登録番号は2162548</ref>) が商品名(商標)として、肺動脈性高血圧症の治療薬としては'''レバチオ'''({{en|Revatio}}<ref>Revatioの商標、日本では登録商標第4996088号、米国での登録番号は3069332</ref>)が商品名として用いられているほか、ファイザーの日本での特許切れにより、各社からの[[後発医薬品]]も存在する。投与はいずれも[[クエン酸]]塩の形態で経口にて行われる。
[[File:Viagra.jpg|thumb|バイアグラ 50mg]]
 
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[[1998年]]に[[アメリカ合衆国]]で販売を開始。発売直後から[[マスメディア|マスコミ]]や[[インターネット]]などで「夢の薬」「画期的新薬」と騒がれ、日本にも多くの[[個人輸入代行業者]]の手によってもたらされるようになった。
 
日本では、アメリカ合衆国での市販から間もない同年6月頃より、[[狭心症]]を患って[[ニトログリセリン]]などの[[硝酸エステル]]薬を服用している者(主に[[高齢者]])が、[[個人輸入]]で入手して[[性行為]]を行った直後に、[[心停止]]に陥り[[死亡]]する事例が数件発生した。
 
このため、医薬品の安全性を図るべく、[[医師]]の診断・[[処方箋]]が必要となる医療用医薬品(現・[[処方箋医薬品]])として正規販売する運びとなり、[[厚生省]]は併用[[禁忌]]による副作用死([[薬害]])抑止の観点もあり、日本国内での臨床試験を実施せず、アメリカ合衆国の承認データを用いるスピード審査を敢行し、[[1999年]]([[平成]]11年)[[1月25日]]に製造承認、[[3月23日]]より[[ファイザー]]から[[医療機関]]向けに販売された。このスピード審査は、それまで治療上の緊急性が高い「[[抗HIV薬]]」などに対して行われていたものだった。
 
一方で、安全性の確認がなされていた[[経口避妊薬]]の医薬品認可申請が、10年以上に渡り却下され続け、[[1999年]](平成11年)[[6月2日]]にようやく承認された。このため、[[女性]]に経口避妊薬を気軽に与えると、複数の[[男性]]と性行為をするようになることが予想されるため、経口避妊薬の承認は敢えて遅らせたのではないかとして、各種団体・医療従事者などから、この決定が恣意的であると疑問視する声が挙がった。
 
== 作用機序 ==
バイアグラ(シルデナフィル)は、生体内で[[環状グアノシン一リン酸]](cGMP)の分解を行っている5型[[ホスホジエステラーゼ]] (PDE-5) の酵素活性を阻害する。これが陰茎周辺部の[[一酸化窒素|NO]]作動性神経に作用して血管を拡張させ、血流量が増えることによって機能すると考えられている。
 
勃起不全の症状がある場合、この薬([[錠剤]])[[性行為]]の30分くらい前に服用すると陰茎が勃起し、性行為が正常に行える。ただし、性的なリビドーがない場合や陰茎に対する適切な物理的刺激がない場合には勃起は起こらない。また性的な気分を高揚させる効果はない。この薬は陰茎の勃起に効果はあるものの[[精液]]の量を増やす効果はなく、[[射精]]時にあまり[[精液]]が出ない、いわゆる「空撃ち」状態になると射精の快感は半減する。
 
=== その他の心血管系作用 ===
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作用メカニズムは[[狭心症]]の治療に用いる[[ニトログリセリン]]等の[[硝酸エステル]]系薬剤と同様のものであるため、副作用として血圧の急激かつ大幅な低下により[[ショック]]状態となることがある。特に同薬服用時に狭心発作に見舞われ、[[救急病院]]に搬送された際、服用者が同薬使用を告げずに硝酸塩系薬剤を投与され、症状が悪化・最悪の場合には死亡するケースも見られる。
 
ファイザー側はこの同薬に関する問題に対して、医師・[[薬剤師]]への[[禁忌]]情報の提供を行うと共に、錠剤パッケージ裏にニトログリセリン等硝酸塩系薬剤との併用ができない旨を記載している。
 
「滋養強壮」「精力強壮」を謳った[[健康食品]]・[[サプリメント]]の中には、シルデナフィルを含む物もあり、[[厚生労働省]]が注意喚起している<ref>{{cite web|url=http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/other/050623-1.html|title=医薬品成分(シルデナフィルおよび類似成分)が検出されたいわゆる健康食品について| 厚生労働省 医薬食品局監視指導・麻薬対策課|date=2009-11-21|accessdate=2009年12月5日}}</ref>。
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== バイアグラ ==
バイアグラは、[[1990年代]]末から[[2000年代]]にかけて、[[世界]]的なセンセーションを巻き起こし、副作用による死者、違法な販売、偽物が出回るなど社会問題にもなった<ref>著名なものでは、芸人の[[日本江頭2:50]]が1997年にスナックでブランデーと一緒にバイアグラを5錠一気飲みし、直後に倒れて[[急性アルコール中毒]]で緊急搬送された事件がある。この事件は一般紙でも大きく報道され、結果的に日本での認可が遅れる一因となった。</ref>。日本では、2014年([[平成]]26年)5月に、バイアグラとしての成分特許が切れたことから、それ以降は合法的な[[後発医薬品]](ジェネリック)が発売・流通されている。ただし国内での入手には、[[医師]][[処方箋]]が必要な『[[処方箋医薬品]]』である<ref name="postseven140610">{{Cite web|url = http://www.news-postseven.com/archives/20140610_260026.html|title = ジェネリックED薬が発売開始 「本家」の半額以下で購入可能|publisher = NEWSポストセブン|date = 2014-06-10|accessdate = 2014-08-22}}</ref>。
 
日本国内の医療機関で処方されている剤形は、25 mg 錠または50 mg 錠(一錠に 25 mg ないしは 50 mg の有効成分が含まれる)だが、ファイザーが米国等海外において製造・発売している剤形には、100 mg 錠もある。しかしこの 100 mg 錠は日本国内での製造承認は出ておらず、日本の医療機関では処方されない。
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1999年(平成11年)の発売当初は、[[泌尿器科]]([[性病科]])や[[内科|一般内科]]などの医師が、[[医薬情報担当者]]から説明を受けるなど専門知識を習得した特定の診療所・病院の診療科において、患者が問診と血圧測定などの生理的検査を行い、EDと確定されれば処方される仕組みのみであった。なお、この検査において、基本的に[[陰茎]]を医師の前で露わにしたり、触診させる必要はない。その後、2000年代以降は一部の[[美容外科学|美容外科]]や[[心身医学|心療内科]]を中心に、依頼すれば簡単な問診だけで医薬品を処方する診療所も見受けられる。
 
一方、用途の関係から、医療機関や[[処方箋]]を[[調剤薬局]]へ出向くのが恥ずかしい、と思いこむ者もおり、依然として個人輸入代行業者による販売が行われている。こうした業者の販売する薬物からは、[[偽薬]]あるいは海賊薬が発見される事もある。
 
=== スパム関連 ===