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{{暴力的}}
'''屍姦'''(しかん)は、[[死体]]を姦する(性的に犯す)ことを言う。広義には死体に欲情する[[性的嗜好]]をも指し、'''死体性愛'''('''屍体性愛'''、したいせいあい)、'''死体愛好'''('''屍体愛好'''、したいあいこう)、'''ネクロフィリア'''(necrophilia)<ref>[[リヒャルト・フォン・クラフト=エビング|フォン・クラフト=エビング]]の造語で、『性的精神病理』が初出か。</ref>とも呼ばれる。[[性的倒錯]]の一つでもある。「屍(しかばね)を姦する」に語源を持つため「屍姦」の表記が本来的であるが、([[Microsoft IME]]等では容易に変換しがたいためか)ネットでは「'''死姦'''」の表記が散見される。
== 精神分析における用法 ==
[[エーリヒ・フロム]]は「生に対するリアリティが失われ、死に対する欲望が高まる病理現象」をネクロフィリアと命名している<ref> Erich Seligmann Fromm 1973 ''The anatomy of human destructiveness.'' </ref>。
 
== 歴史的な事例 ==
*屍体性愛は、他の[[性的倒錯]]と同様に、非常に古くから人類のうちにあったと考えられるが、異常である故の秘匿な行為であったために、実例を見つけるのは難しい。[[ヘロドトス]]の『[[歴史 (ヘロドトス)|歴史]]』第2巻には、[[古代エジプト]]では位の高い男の妻や美しい女が死んだ場合、[[ミイラ|ミイラ職人]]に屍姦されることのないよう、死から3、4日たった後に死体を引き渡した、という記述がある(ただし、仮にヘロドトスの記述が本当であるとすれば、屍姦の事例の極めて古い証言となるが、このミイラ職人たちが一般に屍姦の嗜好を持っていたとは断言出来ない)。古代には、死者との性交が魔術的な意味を持っていたと考えられる場合もある。[[モチェ文化]]のものとして、廃墟で生者と交わる骸骨の死者が描かれた陶器が出土しているという。
*中国の[[正史]]『[[晋書]]』の列伝には、[[西晋]]の親王[[司馬幹|司馬榦]]の屍姦の嗜好が記されている。また、[[東晋]]の[[干宝]]の『[[捜神記]]』巻15には、[[後漢]]の[[馮貴人 (漢桓帝)|貴人馮氏]]([[桓帝 (漢)|桓帝]]の妃嬪)の墓が盗掘された際に、遺体が生前とさほど変わらなかったため、盗賊が争って遺体を屍姦した、という記事もある。
*18世紀[[フランス]]の[[売春宿]]では、女が棺桶の中で死体のふりをし、男性が[[修道士]]の姿になり交わるという屍姦的なサービスを行っていた所もあり、一部の人間にはかなりの人気があったようである。また、女優の[[サラ・ベルナール]]が普段から棺桶で眠っていたという話はよく知られている。
*近代以降になると、巷の事件として屍姦の例を多く見ることが出来られる。[[歌舞伎]]の演目『[[心謎解色糸]](こころのなぞとけたいろいと)』は、実際の屍姦事件を基にして書かれた(この中では、お房が生き返る)。
 
== 屍姦にあたる行為 ==
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*[[強姦]]して相手を[[殺害]]してしまう行為そのものに興奮を覚えること。
*男性が女性に対して強姦し、また絞殺することによって相手が死ぬ直前に窒息状態になるとからの際[[膣]]穴が縮小し男性の[[性器]]を強く刺激することによる強度の刺激から来る快感と、相手を死に至らしめる達成感に興奮を覚えること。
 
また、[[強姦]]しようとして抵抗されたため殺害してから性交を遂げようとしたことで結果的に屍姦となる場合もある。
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== 現在における屍姦 ==
{{独自研究|section=1|date=2008年12月}}
現在、[[日本]]では屍姦そのものについて罪に問われることはい<ref>「刑法第一九〇条に規定する死体損壊罪は、死体を物理的に損傷・毀壊する場合を云うのであつて、これを姦するが如き行為を包含しないと解すべきものである」 昭和23年(れ)584号 昭和23年11月16日最高裁判例(集刑第12号1535頁)
いずれにしても</ref>が、[[殺人]]や[[死体損壊]]につながる行為であり、社会的に許容されることはまずあり得ない(屍姦を行った著名な日本人としては[[小平事件#小平義雄|小平義雄]]、[[栗田源蔵]]、[[佐川一政]]などが挙げられる)。逆に言えばそれゆえに研究が遅れている分野でもある。このような性的嗜好が顕在化する要因として、[[ジークムント・フロイト|フロイト]]派では、幼少時に見た「'''眠っている母親の姿'''」に愛情を感じ、それが欲情へと変化するためであると主張している。また、眠っている相手との性行為を体験したことがきっかけで顕在化することもあるという。これとは関係ない説として[[自尊心]]の弱さが逆らえない相手に対する欲望を生むという説もある。
</ref>。日本では[[火葬]]が主なので、家族以外の個人が人気のないところで遺体に接することの出来る機会は、[[霊安室]]や宗教施設、[[検視]]室などに限られている。あえて不心得者<ref>外部からの侵入者の場合も、夜間や人気のないところで遺体に触れることの出来るそれらの施設の特権的地位にあるものである場合も考えられるほか、有償でそういった人間を招き入れるパターンもある。</ref>から家族を守るためには家族が火葬まで常に監視し第三者が付け入る隙を見せないことにある。着衣の乱れなどから疑わしい場合は警察に届ける必要がある<ref>法的に罰することは出来なくとも[[免職]]や資格や[[免許]]を剥奪するなど社会的制裁は可能である。</ref>。現在[[DNA鑑定]]技術が発達しており犯人の特定は十分可能である。上記の[[遷延性意識障害|植物状態]]の患者に対する性的暴行も常に患者の家族が監視することで防ぐことが可能である。
 
[[アメリカ合衆国|米国]]では[[2004年]]、[[カリフォルニア州]][[アーノルド・シュワルツェネッガー]]知事が屍姦を禁止する法案を承認した。これまで法的に罰することが出来なか不可能だった死体との姦淫が公式に不法なものとなった。
いずれにしても、[[殺人]]や[[死体損壊]]に繋がる行為であり、社会的に許容されることはまずあり得ない(屍姦を行った著名な日本人としては[[小平事件#小平義雄|小平義雄]]、[[栗田源蔵]]、[[佐川一政]]などが挙げられる)。逆に言えばそれゆえに研究が遅れている分野でもある。このような性的嗜好が顕在化する要因として、[[ジークムント・フロイト|フロイト]]派では、幼少時に見た「'''眠っている母親の姿'''」に愛情を感じ、それが欲情へと変化する為であると主張している。また、眠っている相手との性行為を体験したことがきっかけで顕在化することもあるという。これとは関係ない説として[[自尊心]]の弱さが逆らえない相手に対する欲望を生むという説もある。
 
[[山口県]][[光市母子殺害事件]]では、加害者が被害者を殺害した後、辱めたとされている。裁判では生き返らせるための儀式だと供述。また、あまり知られていないが[[1993年]]に発生した[[埼玉愛犬家連続殺人事件]]の加害者も被害者を殺害後に辱めたことがあると言う<ref>ただし、共犯者による証言のみで、遺体は加害者に解体・処分された事から物的証拠はない。</ref><!--ミリオン出版「殺人犯の正体」より-->。
[[アメリカ合衆国|米国]]では[[2004年]]、[[カリフォルニア州]][[アーノルド・シュワルツェネッガー]]知事が屍姦を禁止する法案を承認した。これまで法的に罰することが出来なかった死体との姦淫が公式に不法なものとなった。
 
[[山口県]][[光市母子殺害事件]]では、加害者が被害者を殺害した後、辱めたとされている。裁判では生き返らせるための儀式だと供述。また、あまり知られていないが[[1993年]]に発生した[[埼玉愛犬家連続殺人事件]]の加害者も被害者を殺害後に辱めた事があると言う<ref>ただし、共犯者による証言のみで、遺体は加害者に解体・処分された事から物的証拠はない。</ref><!--ミリオン出版「殺人犯の正体」より-->。
 
姦淫までは明らかになっていないが、[[2011年]]に[[ロシア]]の[[ニジニ・ノヴゴロド]]市で、高名な[[ケルト語]]学者で墓地研究家のAnatoly Moskvinが、人形の格好をさせた若い女性のミイラ化した遺体29体を自宅に隠し持っていた事件が発覚した。遺体は墓場から盗んだとみられ、人形のような服を着せ、顔と手は布で覆っていた。部屋には遺体のほかに、人形製作の本や本物の人形、ぬいぐるみ、仮面なども散乱していた。逮捕される以前のインタビューで、死体や墓地に興味を持ったきっかけとして、12歳のときにたまたま出会った葬儀で、11歳で亡くなった少女の額にキスをさせられたことだと答えている<ref>[http://www.smh.com.au/world/grisly-discovery-29-mummies-found-in-historians-apartment-20111108-1n4dc.html Grisly discovery: 29 mummies found in historian's apartment]</ref>。