「造影剤」の版間の差分

'''造影剤'''（ぞうえいざい）とは、[[画像診断]]の際に画像にコントラストを付けたり特定の組織を強調して撮影するために[[患者]]に投与される[[医薬品]]である。組織そのものの写り方が変わるのではなく、生体組織とは写り方が大きく異なる物質を取り込ませることで、画像上その組織の写り方が大きく変化したように見えるのである。つまり、例えば[[X線]]を用いた撮影においてはX線をよく遮蔽する物質が使われる。いずれにしても生体に与える[[副作用]]の少ない物質が造影剤として選ばれ、[[ヨウ素]]化合物、[[バリウム]]化合物、[[ガドリニウム]]化合物、二酸化炭素などがもちいられる。

== 分類 ==

:[[静脈]]に投与することで血管の豊富な組織を強調するほか、[[動脈]]の特定の部位に注入して透視することで動脈の血流を観察するのに使用する。非イオン性水溶性[[ヨウ素|ヨード]]造影剤、水溶性ヨード造影剤、低浸透圧水溶性ヨード造影剤などが用いられる<ref>鳴海善文 ほか、「非イオン性ヨード造影剤およびガドリニウム造影剤の重症副作用および死亡例の頻度調査」 日本醫學放射線學會雜誌 65(3), 300-301, 2005-07-25, {{naid|10016604063}}</ref>。

:[[ヨウ素]]を使用しており[[アレルギー]]反応が出現することがあるため、使用前に既往歴の問診が欠かせない。実際にアレルギーが出現し[[血圧]]低下などが起こった場合は[[輸液]]や[[カテコールアミン]]の使用で対処する必要がある。

:[[ガドリニウム]]化合物はMRIの強いT1短縮効果を持ち、[[T1強調画像]]で高信号をしめすため、陽性造影剤として使用される<ref>白川崇子 ほか、「造影CT(ヨード造影剤)/造影MRI(ガドリニウム造影剤)検査のリスクマネージメント」 交通医学 60(5), 143-146, 2006-11-15, {{naid|10018550577}}</ref>。

:[[心臓]]内の血液の流れを可視化するため、[[マイクロバブル]]を含む超音波造影剤を静脈注射、また発泡剤を投与することで造影剤とすることがある<ref>中尾佳永 ほか、「炭酸ガス静脈造影法によるペースメーカー植込み術の経験」　日本心臓病学会誌 =Journal of cardiology. Japanese edition 6(2), 122-125, 2011-06-15, {{naid|10029400728}}</ref>。

==== 予防と治療ヨウ素過剰症 ====