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また、[[ソフトウェアコンテスト]]を[[旺文社]]と共同で実施し、そのために本体と開発環境など一式を[[学校法人]]向けに無償で提供したほか、[[フリーソフトウェア]]をユーザから集めてCD-ROMで実費配布する試みなどの[[営業]]施策が功を奏し、若年層や[[クリエイター]]を中心に根強いユーザをつかむに至った。
 
なお、逸話として、FM TOWNSには当時大人気だった[[イースシリーズ]]のゲームソフトウェアがが一作も発売されていない。当時、日本メーカーから発売されていたパソコン及び据え置き型コンシューマー機にはもれなく移植されていたタイトルであったが、なぜかFM TOWNSには、最後まで遂に[[移植]]・発売されることはなかった。
 
宣伝や展開は富士通の総力を結集するような大規模なもので、[[南野陽子]]、[[宮沢りえ]]、[[観月ありさ]]ら当時のトップアイドルを起用してのCMの連打、年2回全国での一斉イベント開催(当初は東京地区においては東京ドームを全館借り切りだった)のイベントなどが行われた{{要出典|date=2015-1}}。{{要出典範囲|国内では前例が少ないオリジナルCD-ROMマルチメディアタイトルを揃えるため、各ソフトメーカーには機材援助、買い取り本数保証などの支援が惜しまれなかった。|date=2015-1}}
 
====二代目以降====
CD-ROMを取り出す際、その回転が止まらないまま出てくるなどの不具合<ref group="注">このような些細な不具合を修正できなかったくらい、初代FM TOWNSはごく短い開発期間で市販に至ったとされる{{要出典|date=2015-1}}</ref>は[[1989年]](平成元年)[[11月]]の二代目モデルで改良され、初代モデルでもメーカーによるBIOS [[Read Only Memory|ROM]]の交換サービスによりCD-ROMの読み出し速度が改良された。その一方では[[1990年]](平成2年)[[10月]]の三代目10F/20F/40H/80Hシリーズで落ち着くまで本体の[[拡張スロット]]の構成を毎回変更するなどの不安要素もあった。三代目ではVRAMのメモリウェイトもI/O操作で少なくすることができるようになった。TownsOSやF-BASIC386なども本体が発売されるたびに少しずつ改良された<ref group="注">なお、前項で取り上げたタイトル「アフターバーナー」は後に、別物となった続編や、他ソフトと組み合わせた廉価版のパッケージが発売されたものの、オリジナルの改良は最後までなされなかった。</ref>。
 
===FM TOWNS II===
[[File:FM Towns II.jpg|thumb|モニタ一体型モデル]]
[[1991年]]11(平成3年)11月、'''FM TOWNS II'''と名称を変更。従来型筐体の'''CX'''ではメモリウエイトの従来互換/高速モード<ref group="注">高速モードではメインメモリアクセス時の0ウエイト動作、VRAMアクセス時の3ウェイト動作を行う。</ref>のソフトによる切り替え機能が追加された。また、[[トリニトロン]][[ディスプレイ (コンピュータ)|モニタ]]一体型のモデル、'''UX'''(386SX-16MHz)を発売した。UXではソフトからの電源制御は削除され、CD-ROMドライブはフロントローディングタイプに変更された。メモリはノーウェイトであるが、バス幅が16ビットの386SXを搭載するため、速度的には三代目までの機種やCXの[[互換モード]]とほぼ同じだった<ref group="注">これはMartyへの布石にもなった。</ref>。
====486搭載・横置き型化====
[[1992年]](平成4年)秋の'''HR''' ([[Intel 486|486SX]]-20MHz) / '''HG'''(386DX-20MHz)ではビデオデッキのような横置き筐体になり、内蔵CD-ROMドライブはフロントローディングタイプに変更され、3.5インチ対応のドライブベイは[[MO (記憶媒体)|MO]]なども使えるよう前面に配置され、[[フロッピーディスクドライブ]]はPC/AT互換機で一般的な1.44MBフォーマットにも対応した。メンテナンスの容易なプラスチック成型の筐体構造は踏襲され、[[Intel 487|487SX]]や[[オーバードライブプロセッサ|ODP]]も専用カード形態で搭載可能とされた。UX同様のモニタ一体型の'''UG'''(386SX-20MHz)がHR/HGと同時発売、後を追うように'''UR'''(486SX-20MHz)も[[1993年]][[2月]]に発売された<ref group="注">URはODPには対応していない。</ref>。486搭載機は動作速度が非常に速くなっており、高速モードでは古いソフトの場合マウスの読み取りミスがあるなどの不具合が出た。なお、富士通はその対策なども兼ね、読み取りの際に割り込みが入る機能を搭載したマウスへ移行した。
 
====白TOWNS====
[[File:FM TOWNS II (HR and MX models).jpg|thumb|FM TOWNS II HR (上) / MX (下)]]
[[1993年]](平成5年)秋の'''MA''' (486SX-33MHz) / '''MX''' (486DX2-66MHz) / '''ME'''、[[1994年]]春のFM TOWNS発売5周年記念モデル'''MF'''/'''Fresh'''ではPC/AT互換機のモニタの流用を意識してHRの本体色を灰色から白に変更し、24kHzのRGB出力を31kHzにコンバートするように仕様変更された。特に廉価版のME/MF/Freshシリーズでは15kHzのRGB出力も31kHzにコンバートされる<ref group="注">MX/MAでは隠しモードとして搭載。</ref>ほか、コストダウンのために筐体が金属製となった。この通称白TOWNSと呼ばれる世代では[[オーディオ]]周りの[[アナログ回路]]設計が見直され、音質が向上した。内蔵CD-ROMドライブは倍速タイプに変更された。また内蔵RS-232Cポートにはモデムなどの周辺機器側の高速化を受け、38,400bps以上での取りこぼしを防ぐFIFOバッファメモリが追加された<ref group="注">OSレベルでは非対応。</ref>。[[チューナー]]カードのリモコン受信口は塞がれた<ref group="注">後に発売されたFresh・TVではハードディスクベイの右上にリモコン受信口がある</ref>。MX/MAでは[[WSS]]相当の新PCMや1024×768の[[ハイレゾ]]表示モードがつき、[[マイクロソフト]]から「MPC 2.0」の認定を受けている。
 
この頃からPC/AT互換機の流行を受け、富士通でもPC/AT互換機である[[FMV]]の販売が開始されている。
 
1994年(平成6年)[[12月]]の486DX2機の'''HA'''と[[Pentium]]搭載の'''HB'''、[[1995年]]2(平成7年)2月の'''HC'''でもMA/MXの拡張仕様が受け継がれた。Freshシリーズ同様、15kHzから31kHzへのアップコンバートが標準機能となった。白いHシリーズでは筐体が金属製となり、もう一つのHDD専用ドライブベイと、[[ステレオ]]の[[スピーカー]]が用意された。
 
===ノート/ラップトップ機===
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これは[[Macintosh]]に[[PowerBook]]が存在し、また新規ユーザをめぐっては少なからず[[PC-9800シリーズ]]やその互換機である[[EPSON PCシリーズ]]とも対抗しなければならなかったFM TOWNSにとっては、マーケティング上の大きなハンデとなった。
 
[[1992年]](平成4年)以降、富士通は[[Microsoft Windows 3.x|Windows3.1]]の動作を前提とし、TOWNS用アプリケーションソフトとも一定の互換性を有し、ユーザターゲットをTOWNSとラップさせたカラーノートパソコンをラインアップした。これらは前述の理由からTOWNSのアーキテクチャ全てはサポートされず、そのため「FMR50シリーズ」を名乗った。
 
[[1995年]](平成7年)、唯一のラップトップモデルとして「FM TOWNSII model '''SN'''」が発売された。パソコンの普及とそれに伴うシェア争奪戦激化により、ノートパソコン用カラー液晶ディスプレイモジュールの性能が向上し、また価格も大きく下がったためである。バッテリは搭載せずAC電源動作専用である。この機種は教育市場向けモデルのため一般にはほとんど出回っていない。なお、SNではUXと同様、ソフトからの電源制御機能は削除されている。
===FMV-TOWNS(TOWNSシリーズの終焉)===
[[1995年]](平成7年)冬には[[Microsoft Windows 95|Windows 95]]発売の影響でPC/AT互換機であるFMVの[[Peripheral Component Interconnect|PCI]]スロットに専用拡張ボードを搭載したハイブリッド機'''FMV-TOWNS'''という形態に変わった。動作モードを前面のスイッチで切りかえ、TOWNSモードは専用カードによるハードウェア支援を受けた上での[[エミュレーション]]形態で動作する。
 
PC/AT互換機の汎用性を併せ持った反面、独自性が薄れることにもつながった。
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===その他===
[[日本アイ・ビー・エム|日本IBM]]のOptions(純正オプション)としてPS/V VisionなどのPC/AT互換機で動作する[[Industry Standard Architecture|ISA]]用のFM TOWNSアプリケーションカード<ref group="注">本体から独立した386SX CPU+メモリ+グラフィックチップ+サウンドチップなどを搭載する。</ref>が[[1993年]](平成5年)[[12月]]末に発売されている。このカードに加え、CD-ROMドライブを準備するとISAスロット搭載のPC/AT互換機でTOWNSソフトを動作させることができた。
===販売・広告戦略===
[[1980年代]]後半の[[16ビット]][[パソコン]]市場では、富士通が[[FM-11]]・[[FM-16β]]と2シリーズで重大な戦略ミス<ref group="注">特にFM-16βの開発時に標準OSとして、結果的にアメリカ市場で[[MS-DOS]]に大敗を喫した[[CP/M-86]]を選択するという判断を行ったことは、同シリーズの寿命を著しく縮めた。PC-9800シリーズの成功には、[[ROM-BASIC]]マシンからOSマシンへの移行時に、このような大きなミスを犯さなかったことによる所が大きい。</ref>を繰り返したこともあり、[[日本電気|NEC]]のPC-9800シリーズがROM-BASICマシンからOSマシンへの移行をスムーズに実現すると共に各分野での対応アプリケーションソフトの拡充に成功したことで、ほぼ全ての用途において寡占を実現していた。
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===PC-9800シリーズとの関係===
FM TOWNSは当初、NEC PC-9800シリーズとは商品[[概念|コンセプト]]が異なり、[[マーケティング]]でメインターゲットとするユーザ層も異なっていたため、直接市場で[[バッティング]]競合することは少なかった。
 
だが富士通はFM-16β、FMRシリーズとPC-9800シリーズに対して事実上の敗退を繰り返してきた日本国内の[[ビジネス]]用途向けパソコン市場における自社製品の浸透・占有率の向上を図るべく、ビジネスパソコンとして性能と競合製品に対する価格競争力の点で充分な力を持つこのFM TOWNSを一種の戦略商品として取り扱い、既存のFMRシリーズ用[[ソフトウェア]]や[[ハードウェア]]との互換性を確保、更には[[ジャストシステム]]の「[[一太郎]]」など人気実用[[ソフトウェア]]の[[移植]]も積極的に推進する戦略を取った。
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ところが、その後、[[1990年代]]に入ると、マイクロソフトによるMPC認定などのマルチメディア環境の一般化が始まり、NECはPC-9800シリーズをそれに適合させるための開発を本格化させることになる。
 
その第1陣となったのは、[[1991年]](平成3年)に発売された「PC-98GS」である。この機種では、PC-9800シリーズの基本機能に加えて球面スクロールなど高度な[[グラフィックス]]機能やDSPによる4チャネル出力に対応するサウンド機能が標準で搭載され、ビデオデジタイザにオプションで対応、[[ハードディスクドライブ]]や(上位機種に)[[CD-ROM]]ドライブを内蔵、更にMPCへの対応を視野に入れてPC-9800シリーズでは初となる、[[Video Graphics Array|VGA]]相当のグラフィック解像度(640ドット×480ライン)がサポートされるなど、FM TOWNSに近いかあるいはそれを凌駕する機能がサポートされた。ただし、これは[[オーサリング]]用として開発・発売された一種の実験機で、CD-ROMドライブ非搭載のmodel 1でさえ本体の定価が730,000円<ref group="注">Windows 3.0プリインストール済み。なお、1倍速CD-ROMドライブ標準搭載のmodel 2は本体の定価が828,000円であった。</ref>と極端に高価で一般向けのものではなく、FM TOWNSと市場で直接[[バッティング]]競合する商品ではなかった。
 
もっとも、[[1993年]](平成5年)よりNECは自社の主力商品であったPC-9800シリーズの上位・後継機種として、このPC-98GSでの試行錯誤の結果をフィードバックし、より普遍的な形に機能を再編した上で開発された[[PC-9821シリーズ]]を大々的に展開するようになる。
 
標準搭載される[[グラフィックス]]やサウンド機能については、DSPを搭載するなど贅沢な設計であったPC-98GSが高価になりすぎた反省もあって大幅に簡略化され、FM TOWNS単体と比べれば幾分見劣りした。だが、従来のPC-9801シリーズに対してハードウェア・ソフトウェア双方について上位互換性を備え、膨大な既存資産をほぼそのまま持ち越せたこと、それにNECがWindowsを快適に動作させるための高速グラフィックアクセラレータへの対応を積極的に推進したことなどから、このPC-9821シリーズはユーザ層の強い支持を集めた。また、NECが長い時間をかけて良好な関係を築き上げてきたサードパーティー各社の支持を背景として、多彩な[[周辺機器]]や拡張機能が提供され、加えて日本国内[[市場占有率|シェア]]1位だった[[寡占]]状態から生まれる利点から、[[Pentium]]、[[Pentium Pro]]、そして[[Pentium II]]と[[インテル]]による発表から間髪入れずに次々に搭載された最新CPU<ref group="注">Pentium(PC-9821Af)やPentium Pro(PC-9821St15)などではインテルによる新CPUの発表と同時に製品が発表されている。</ref>による基本性能の向上もあって、FM TOWNSが得意としたマルチメディア領域は次第に、そして急速に脅かされていくことになった。