「リス族」の版間の差分

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|pop2 = 25万人から30万人{{sfn|綾部|2005|p=69}}
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|pop3 = 約3万38,000{{sfn|綾部|2005|p=69}}
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== 概要 ==
リス族は[[中国]]、[[ミャンマー]]、[[タイ]]、[[インド]]の4か国の国境にまたがって分布し、伝統的に移動開拓型の[[焼畑農業]]を生業とする山地民である{{sfn|綾部|2005|pp=65-70}}。いくつかの飛び地は見られるが、基本的に[[サルウィン川]]に沿った南北に伸びる帯状に展開している。
リス族は、[[中華人民共和国]]の[[少数民族]]の1つとしても数えられ、中華人民共和国が公認する'''56の民族'''の中で'''21番目'''の人口を持つ民族である。[[雲南省]]の[[怒江リス族自治州]]を中心に同省北部一帯から[[四川省]]南部にかけて分布し、雲南北部の[[デチェン・チベット族自治州]]にも[[維西リス族自治県]]がある。2000年の全国人口調査によれば、中国内のリス族総人口は634,912人である。
 
リス族は、[[中華人民共和国]]の[[では少数民族]]の1つとして数えられ、中華人民共和国が公認する'''56の民族'''の中で'''21番目'''の人口を持つ民族である。[[雲南省]]の[[怒江リス族自治州]]を中心に同省北部一帯から[[四川省]]南部にかけて分布し、雲南北部の[[デチェン・チベット族自治州]]にも[[維西リス族自治県]]がある。2000年の全国人口調査によれば、中国内のリス族総人口は634,912人である。
また、[[タイ王国]]北部に約3万人が住み、[[ミャンマー]]北部や[[インド]]東部などにも散在する。
 
* リス族が用いる[[リス語]]は、[[チベット・ビルマ語派]]の[[彝語]]グループに属し、[[イ族]]や[[ナシ族]]と近い関係にある。文字は新[[中国]]になってから制定された[[ラテン文字]]が主に用いられる。
[[唐]]代の[[樊綽]]が書いた『[[蛮書]]』にはすでに「栗粟」の語が見え、当時「烏蛮」と呼ばれる民族グループを構成していた。
 
== 沿革 ==
雲南省の怒江リス族自治州に伝わる伝承によれば、リス族の祖先はクドゥネイ(九つの川の源流が交わる地)と呼ばれる地から次第に南下したという。歴史書にリス族が現れるのは8世紀にさかのぼり、
[[唐]]代の[[樊綽]]が書いた『[[蛮書]]』にはすでに「栗粟両姓蛮」の語が見え、当時「烏蛮」と呼ばれる民族グループを構成していた。
当時は現在の[[四川省]][[木里]]から[[雲南省]]の[[麗江]]にかけて流れる[[金沙江]]両岸に分布していたと考えられる{{sfn|綾部|2005|pp=65-70}}。
 
『麗江府史』によれば、[[明代]]のリス族は隣接する[[納西族]]による支配を受け、強制労働や[[チベット族]]との紛争に駆り出されていた。こうした苦境から逃れようとしたリス族は西方へと移動し、現在の怒江リス族自治州の一帯に支配的地位を確立した{{sfn|綾部|2005|pp=65-70}}。しかし、[[清代]]になると[[漢族]]に代わって[[満州族]]が圧力を加えてくるようになる。大半のリス族は清朝への抵抗を続けたが、一部は西方へ移動し、インドの[[アッサム州]]、ミャンマーの[[カチン州]]にわたり分布を広げた。また、別のグループはサルウィン川沿いに南下を続け、[[20世紀]]にはタイに至った。
 
== 文化 ==
リス族は数世紀にわたる移動に伴って接触を持った他集団の影響を受け、さまざまなサブ・グループへと分化している。中国の漢族は民族衣装の特徴によってリス族を白リス、黒リス、花リスの3種類に分類した{{sfn|綾部|2005|pp=65-70}}。しかし、これらは他称であり、リス族自らはサルウィン川上流域(雲南省西北部からミャンマー・カチン州)のリス族をロヴ・リス、下流域(ミャンマー・シャン州からタイ北部)のリス族をルシ・リスと分け、それらを細分化して識別するように、サルウィン川を識別の指標にするケースが多い{{sfn|綾部|2005|pp=65-70}}。
* リス族は独自の華麗な民族衣装を着用しており、その色彩によって白リス、黒リス、花リスに分けられる。
 
* リス族が用いる[[リス語]]は、[[チベット・ビルマ語派]]の[[彝語]]グループに属し、[[イ族]]や[[ナシ族]]と近い関係にある。文字は新[[中国]]になってから制定された[[ラテン文字]]が主に用いられる。
近代になって隣接する部族の人びとに西方宣教師の布教により[[キリスト教]]に入信する者が増える中、リス族は大宗教への改宗者が少ないことで知られている{{sfn|綾部|2005|pp=65-70}}。リス族は創造神ウサをヒエラルキーの頂点とする独自の[[多神教]]を信仰しているが、父系の出自に継承される[[祖霊]]が儀礼の対象として重要視され、どの祖霊を祀っているかが社会的なアイデンティティの礎となっている{{sfn|綾部|2005|pp=65-70}}。
* 元々リス族は[[自然崇拝]]の[[原始宗教]]を信仰していたが、近代になって西方宣教師の布教により[[キリスト教]]に入信する者が増えた。
 
== 脚注 ==
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== 参考文献 ==
* {{Cite book ja-jp |和書 |author = 綾部真雄 |title = ファーストピープルズの現在:東南アジア |year = 2005 |chapter = リス |publisher = 明石書店 |series = 世界の先住民族 | volume = 2 |editor = [[綾部恒雄]] |isbn = 475032082x |ref = harv }}
 
== 関連項目 ==