「人工透析」の版間の差分

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=== 血液濾過 (Hemofiltration:HF) ===
1970年代Hendersonらが提唱したHemofiltration(当時はDiafiltrationと呼ばれた)は、[[日本]]でも山上らが専用の濾過膜やプロセッサ(血液濾過専用装置)の開発を行った。開発当初ヘモフィルターのろ過速度が低く、フィルターを直列に2段接続し試用していたころもあった(Hospal RP-6 2連、Toray B-1 2連、Nipro F-1 2連など)が開発が進み単独使用での治療が可能(Daicel HEMOFRESH など)となった。
 
開発当初ヘモフィルターのろ過速度が低く、フィルターを直列に2段接続し試用していたころもあった(Hospal RP-6 2連、Toray B-1 2連、Nipro F-1 2連など)が開発が進み単独使用での治療が可能(Daicel HEMOFRESH など)となった。
置換補充液の製剤形状も当初ガラス瓶入りの1Lバイアル(エアー管入り)で重量や廃棄の面でも問題があった、そのため大容量のバッグ製剤を作るに至ったが当時厚生省では1L以上の輸液バッグは前例がなく、認可を取るのに時間と労力を要した。血液濾過法としては昭和58年2月に保険適応された。
 
当時はまだマイクロプロセッサ(マイコン)制御の装置は無かったが、山上、泉らがダイセル化学工業と共同開発を行い、CPUとしてintel 8085A (8bit)を用いた容量制御方式の血液濾過専用装置を作製し(Daicel YD-1)全国の主要病院で臨床治験を行った。血液ポンプ、補液ポンプにはステッピングモーターを用い、ろ液と補充液のバランスは光センサを用いた、血液ポンプの制御にもステップ式に流量が増加するプログラムを組み込み、患者にやさしい動作を実現した、現在広く用いられているスロースタートアップの基になる技術である。マイコンを積んだ血液浄化装置としては本邦初という事で読売新聞にも掲載された。
 
置換補充液の製剤形状も当初ガラス瓶入りの1Lバイアル(エアー管入り)を治療ごとに20本用意した、これは重量や廃棄の面でも問題があった、そのため大容量のバッグ製剤を作るに至ったが当時厚生省では1L以上の輸液バッグは前例がなく、認可を取るのに時間と労力を要した。当時のミドリ十字との共同開発でハルトマン変法液を封入した3Lバッグを開発し治験を行いその利便性を検証した、その後認可が下り各社が大容量のバッグ入り血液濾過法と補充液を上市ては昭和58年2月に保険適応された。
 
血液濾過法としては昭和58年2月に保険適応された。
 
血液透析では拡散現象により物質除去を図るため、拡散速度が大きな尿素やクレアチニンと言った小分子量物質の除去には優れるが、比較的大分子量である低分子量蛋白領域と呼ばれる物質除去は効率が落ちる。
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標準化透析量はKt/Vで求められる。Kはダイアライザーの尿素クリアランス(mL/min)であり(カタログスペックに安全係数として0.9を掛けることが多い)、tは透析時間(min)でありVは尿素の[[分布容積]]である。尿素の性質から総体液量、すなわち体重の60%に一致する。Ktは透析量、すなわち1回の透析過程でどれだけ血液量から尿素が完全に浄化されたかを示す値と言える。これをVで割るので透析過程で総体液量の何倍の血液量を完全に浄化したのかを示すのが標準化透析量といえる。少なくとも1以上にならなければCcr10mL/min以下の除去能となるので透析不足である。1.6以上を保つのが理想的だが、現在のところKt/Vが高ければ予後が良い事を示すエビデンスはない。臨床的にはKt/V=-ln(透析後BUN/透析前BUN)で計算することがある。しかし、病態把握をするには、まず標準化透析量に基づき透析のプログラムをたて、一通り透析を行ってから、TACBUNと蛋白異化率を計算し透析が十分かを評価した方が望ましいと考えられる。
 
Sinzato式による透析量の自動計算フォームがある<ref>[http://www.hdtool.net/  CKD・透析計算ツール]</ref>
 
==== ドライウエイト(DW) ====