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[[ファイル:CIMG0612.jpg|thumb|right|200px|2005年CEATECの模様<br />(2005年10月14日 撮影)]]
'''Blu-ray Disc'''(ブルーレイディスク)は、[[DVD]]の後継となる[[光ディスク]]。[[第3世代光ディスク]]の一種であり、[[半導体レーザー|青紫色半導体レーザー]]を使用する。規格は「'''Blu-ray Disc Association'''」が策定した
 
一般的な略称は「'''BD'''(ビーディー)」、または単に「'''ブルーレイ'''」と呼ばれることも多い。
 
== 概要 ==
405[[ナノメートル|nm]]青紫色半導体レーザーと、0.1mmのカバー層の光ディスクを使うことでレンズの[[開口数|NA値]]を(0.65から0.85に)上げ、DVDの5倍以上の記録容量(1層25GB、2層式ディスクの場合は50GB)を実現している。これにより1層のディスク (25GB) でも日本の地上デジタル放送 (ISDB-T、1440×[[1080i]]、約16.8Mbps) なら3時間強、日本のBSデジタル放送 (ISDB-S、1920×1080i、約24Mbps) で2時間強の[[高精細度テレビジョン放送|ハイビジョン]]映像を収録することが可能となった。現在23.3GB/25GB/50GB/100GB/128GBのディスクが規格化されているほか、研究レベルでは[[TDK]]が2009年10層320GB、2010年には16層512GBの試作に成功するなど、記録容量の拡張が進められつつある。
 
ディスクの大きさ(直径12cm、厚さ1.2mm)は[[コンパクトディスク|CD]]/[[DVD]]と共通である。 BD規格はCD規格やDVD規格と独立であり、CD/DVDの再生機能は必須ではないが、商品企画の段階では現行のCDやDVDも使用できる製品として商品化が進められたため、多くのBlu-ray Disc対応機器やBDドライブでは光ピックアップが3[[レーザー|波長]]化され、CDやDVDも取り扱うことが再生可能となっている。現在の[[民生用]][[BDプレーヤー]] / [[BDレコーダー|レコーダー]]製品では、[[CD-DA]]・[[DVD-Video]]・[[BDMV]]の再生が基本機能としてサポートされている。
 
BDは後述のように1枚のディスクの多層化による容量の大幅な拡張が可能であり、[[ソニー]]は「家庭用光ディスクの最終形」とホームページ上でうたっている<ref>{{cite news|url=http://www.sony.jp/bd/about/technology/index.html|title=ブルーレイディスクのしくみ|publisher=Sony|accessdate=2013-09-21}}</ref>。なお、名称が「'''Blue'''-ray」ではなく「'''Blu'''-ray」になっているのは、「Blue-ray Disc」とすると[[英語圏]]の国々では「青色光(で読み取る)ディスク」を意味する[[一般名詞]]と解釈され[[商標]]としての登録が認められない可能性があるためである<ref>{{cite web|url=http://www.tdk-media.jp/bd/about/index.html|title=よくわかる!ブルーレイディスク|publisher=[[TDK]]|accessdate=2012-09-14}}</ref>。
 
なお、DVDなどと同様、全てのメディアに「データ用 ({{lang|en|'''for DATA'''}})」と「ビデオ録画用 ({{lang|en|'''for VIDEO'''}})」の2種類があったが、違いは無いため、データ用ディスクで録画することも可能である。[[日本の地上デジタルテレビ放送]]移行前は、[[私的録音録画補償金制度]]によりデジタルコピーに対する補償金が上乗せされていたが、[[日本のデジタルテレビ放送|デジタルテレビ完全移行後]]は、[[コピー・ワンス]]や[[ダビング10]]の『デジタル[[コピーガード]]がある』という理由で、補償金が上乗せずに販売されている(''[[私的録音録画補償金制度#デジタル放送専用レコーダーの私的録画補償金に対する訴訟]]を参照'')。
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== 特徴 ==
=== フォーマット策定の順序 ===
DVDでは読出し専用規格(ROM型)を先に策定し、書込み型フォーマットの策定においては規格乱立の状態になってしまった。その反省からBDでは書き換えメディアフォーマットを先に策定、共通の仕組みで読出し専用メディアにも対応する方向で開発を進めた。CDやDVDでは書き換えメディアの反射率が低いため初期の再生専用ドライブで読み込めないという問題があったが、これによりBDでは反射率の問題が発生しない。また現行メディアとの併用も考慮し、波長や基板厚が異なるCD/DVD/BDを1つの光ヘッドで対応するための技術開発も当初の段階から行われた。
 
=== ファイルフォーマット ===
ファイルフォーマットは[[ユニバーサルディスクフォーマット|UDF]] 2.50以降を採用、BD-Rでも擬似的に([[DVD-RAM]]のように)リライタブルメディアとしての手軽さで扱えてPCとの親和性が高まることや書込み時の[[ファイナライズ]]処理を必要としないメリットもある。
 
なお、BD-RE Ver. 1.0のみ[[BDFS]]を採用。それ以降はすべてのメディアでUDF 2.5以降を採用(DVDはUDF 2.0を採用)。
 
=== 転送速度 ===
等速は36Mbps=4.5MB/s。これは[[DVD]]の転送速度を1倍速 (1.4MB/s) として、3倍速程度に相当する。BD-ROMは1.5倍速の54Mbps=6.75MB/sが標準転送速度である。追記型ディスクであるBD-Rは現在6倍速の216Mbps=27MB/s、書換え型のBD-REは2倍速の72Mbps=9MB/sまで規格化され、BD-R/REディスク、BDドライブが商品化されている。なお6倍速記録に対応したBD-Rに、12倍速で書き込み可能なBDドライブも発表されている。
 
=== 保護層 ===
BD最大の特徴として、保護層(カバー層)が0.1mmであることが挙げられる。DVD、HD DVDは0.6mmで[[コンパクトディスク|CD]]は1.2mmである。[[#ディスクの耐久性問題]]も参照。
 
=== 拡張性 ===
Blu-ray Discは、1枚のディスクの多層化による容量の大幅な拡張が可能でBD-ROMに関しては8層構造まで学会発表済みであり、実用可能と考えられる。これが実現すると1枚のディスク(25GB×8層)で容量が200GBを超える光ディスクメディアの誕生となる。BD-RE/BD-Rの記録型光ディスクに関しては片面4層 (128GB) 構造まで開発済みである。
 
TDKは2006年4月26日、試作した「33.3GB×6層」の200GBの追記型Blu-ray Discを光ディスク関連技術の国際会議「ODS 2006」で発表<ref>[http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060426/116606/ 【ODS】TDK、容量200Gバイトの6層追記型Blu-ray Disc媒体を実現] - Tech-On! 2006年4月26日</ref>した。1枚のディスクにHD映像を約18時間分格納できる。信号処理技術の進歩で1層当たりの記憶容量が拡大し、各層33.3GBのデータを格納できるようになったとのこと。
 
2008年1月24日のソニー発表によると、BD用などの記録・再生光ディスクドライブの薄型化・低コスト化できる光集積デバイス(レーザカプラ)を[[日亜化学工業]]と共同開発した。高効率の1ビーム光学系を採用し、さらに独自の小型パッケージング技術を活用したことで厚み3mm未満、面積14mm×7.4mmと小型・薄型化を実現した。BDなどの2層メディアでの信号読み出しを最適化し、安定的な記録・再生を可能にするドライブや光学ピックアップが設計できるようになるという。BDドライブの薄型化とコスト低減に向け、2008年内に量産化を目指すとした。
 
2008年7月7日、パイオニアはBDと互換性を有する400GB光ディスク技術を開発したと発表した<ref>[http://pioneer.jp/press/2008/0707-1.html 世界初、多層(16層)光ディスク技術を開発] - パイオニア 2008年7月7日</ref>。BDと同じ25GBの記録層を16層に積層した再生専用光ディスクだが、記録型ディスクにも応用可能という。また対物レンズの光学的仕様がBD規格と同一のため、互換性維持することが可能とのこと。
 
またパイオニアのロードマップによると2008年から2010年にかけ再生専用ディスク開発が行われ、2010年から2012年にかけ書き込み・書き換え可能ディスクの開発を行われるとしており2013年には記録層を40層とした記録容量が1TBとなる再生専用ディスクが登場する予定となっている<ref>[http://www.digitimes.com/news/a20081201PD212.html Pioneer showcases 16-layer 400GB optical disc] - Jimmy Hsu, Taipei; Adam Hwang, DIGITIMES 1 December 2008</ref>。
 
2010年、[[TDK]]は片面16層で512GBの容量を誇る光ディスクを開発した。両面記録では1024GB (1TB) の容量を実現、世界初1TB級光ディスクとなった。記録と読み出しには、Blu-ray Discと同じ405nmの青紫色レーザーを使用するため、Blu-ray Disc規格との親和性は非常に高くなっている。
 
=== 小型メディア ===
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=== 環境への配慮 ===
[[凸版印刷]]とソニーは材質の51%以上が紙の[[光ディスク|ディスク]]を共同開発したと2004年4月15日に発表した<ref>[http://techon.nikkeibp.co.jp/members/NEWS/20040415/102871/ 記録媒体は「紙」へと回帰? 凸版印刷とソニーが紙基板のBlu-ray Discを開発] - Tech-On! 2004年4月15日</ref><ref>[http://techon.nikkeibp.co.jp/members/NEWS/20040416/102891/ 【続報】はさみで切れるBlu-ray Disc,その起源は紙製の飲料缶だった] - Tech-On! 2004年4月16日</ref>。近いうちに紙の割合を70%以上まで引き上げると発表している。多くの自治体において、燃えるゴミとして捨てることが可能となる。また、[[日本ビクター]]や[[パイオニア]]はトウモロコシの澱粉(デンプン)から合成された[[バイオプラスチック]]によるディスクを開発した<ref>[http://techon.nikkeibp.co.jp/members/DM/DMNEWS/20041206/3/ 日本ビクター、トウモロコシのでんぷんから合成したポリ乳酸製のDVDメディアを開発] - Tech-On! 2004年12月6日</ref>。両社の技術や原料は同じだが、製法が若干異なる。
 
=== BD-Live ===
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== ディスクの耐久性問題 ==
[[ファイル:Old Blu-ray and Nomal Blu-ray.jpg|thumb|耐久性に問題があった当時はカートリッジがついていた(右)。後にベアディスクに改良(左)。]]
BD規格の機器や、対応ディスクが発表された当時の技術では、対応メディアの表面に些細な汚れや傷が付いただけで、そのメディアが使用不能状態に陥るほどの脆弱性に悩まされ、その対策として、カートリッジ内にディスクを密閉する方式を採用した。
 
カートリッジを必要とする分だけ、入りのためディスク全体が大き目となため、ディスク自体の取り扱い性の悪さや、ノートパソコン等向けの小型ドライブを開発することが難しいという点が、BD普及を図るための大きな障害となっていた。
 
またDVDはハードコート<!--ハードコーティング-->製品を除き傷のついた部分を均一に研磨すれば使用できるが、BDは保護層が0.1mmと非常に薄いため、初期のメディアでは表面研磨をすると再生できなくなる。また、不織布ケースに入れることも禁忌である。
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BD-ROMやBD-Rは、規格制定当初からHD DVDと同様、カートリッジを必要としない[[ベアディスク]]であり、BD-REも後にバージョン2.0で「ベアディスク」に対応させることになった。それぞれの物理フォーマットには、メディアの表面硬度に関する規定が追加された。このベアディスク化を実現するため、ハードコート技術の開発が急務となった。
 
これに対応する技術として、TDKがディスクの耐久性向上技術「DURABIS(デュラビス)」を開発した。DURABIS等のハードコート技術により、傷や汚れなどによる問題や、小型ドライブの問題も解決可能の目処が立ち、HD DVDに対して対等、もしくはそれ以上の条件が揃うこととなった。
 
初期のBDドライブは、ピックアップレンズとディスク表面までの距離(作動距離)が0.3mm程度と、HD DVDの1mm程度の3分の1しかなく、表面カバー層も0.1mmと非常に薄いため、振動によってピックアップレンズとディスクが衝突しやすかった。そこで車載等の用途への仕様を満たすため、接近検知時間がDVDの3分の1以下のより高精度な接近検知システムを搭載することとなった(接近検知時間 BD : 0.8ms、DVD : 3ms)。
 
=== TDK DURABIS技術 ===
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* ソニーは2003年4月10日に片面1層記録 (23.3GB) 対応のBDレコーダー「[[BDZ#品番|BDZ-S77]]」を発売。
* 松下電器産業は2004年7月31日に片面2層記録 (50GB) 対応のBDレコーダー「[[DIGA#初代ブルーレイDIGA(2004年)|DMR-E700BD]]」を発売した。
* シャープは2004年12月9日に片面1層記録 (23.3GB/25GB) 対応のHDD・DVD・BD一体型 (3 in 1) レコーダー「[[BD-HD100]]」発売した。HDD搭載したハイブリッドタイプのBDレコーダーとしては業界初の製品となる。BDレコーダーとして初めてHDMI端子装備した。なお、同製品が事実上Ver. 1.0ディスク最後の対応機器となった。以降はVer. 1.1及びVer. 2.1ディスク対応製品となり、両者に互換性はない。
 
=== レコーダー(ROM再生対応) ===
{{Main|BDレコーダー}}
 
2006年にROM規格登場した後も、日本国内ではプレーヤーよりレコーダーの需要が高いとしてソニー、松下電器産業、[[シャープ]]はレコーダーを先に投入した。その後、三菱電機もこれに追随している。一方、パイオニア<ref>このうち、家庭用音響機器と家庭用映像機器、家庭用固定電話機などを手掛けるホームAV事業はその後、同社の完全子会社のパイオニアホームエレクトロニクスへの移管を経て[[2015年]]3月より[[オンキヨー]]の完全子会社の[[オンキヨー&パイオニア]]へ移管した。</ref>・[[D&Mホールディングス]]はプレーヤーを市場に投入した。
* 松下電器産業は2006年11月15日BD/HDDレコーダーのブルーレイDIGA「DMR-BW200」「DMR-BR100」を発売した。DVD/HDDレコーダーのDIGAを基本としている。両機とも2層BD-R/RE記録に対応。
* ソニー2006年12月8日にBD/HDDレコーダー[[BDZ|「BDZ-V9」「BDZ-V7」]]を発売した。DVD/HDDレコーダーの[[スゴ録]]を基本としている。BD-R/REの2RE2層ディスク記録再生には対応していない(市販ビデオコンテンツであるBD-ROMの2層メディア再生には対応)。
* ソニーは2007年11月8日にMPEG-4 AVC/[[H.264]]エンコーダを搭載し、「ダビング10」にも対応可能なBD/HDDレコーダー[[BDZ|「BDZ-T50」「BDZ-T70」「BDZ-L70」「BDZ-X90」]]の4機種を発売した。オープンプライスだが実売14万円前後からと普及価格帯に投入した<ref>[http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20070912/sony1.htm ソニー、MPEG-4 AVCトランスコード対応新BDレコーダ - 320GB HDDを800GB相当に。4モデルを実売14万円から] - Impress AV Watch 2007年9月12日</ref>。今モデルは2層BDの記録/再生にも対応した。
* 松下電器産業はCEATEC JAPAN 2007でブルーレイDIGAシリーズ「DMR-BW700」「DMR-BW800」「DMR-BW900」の3機種を発表し、10月下旬に発売した。ソニーと同様にMPEG-4 AVC/H.264エンコーダを搭載、ソニー機ではできないDVDへのハイビジョン記録 ([[AVCREC]]) も可能。オープン価格だが実売18万円からとソニーよりも若干高めの価格帯であったが、発売時には同等まで価格が下がった(実売価格が下がったため、実際の発売時価格より設定が高かったモニタ販売も中止された)。
* シャープは2007年10月27日にBD単体レコーダーAQUOSブルーレイ「BD-AV1/BD-AV10」を発売した。オープンプライスだが実売10万円前後からと業界最安値の価格帯に投入した。2機種の違いはBD-AV1は1層BD-REのみ、BD-AV10は2層BD-REも録画可能な点とBD-AV10にはシルバーのカラーが存在する点。なお、両機種ともBD-RやDVDは録画には使えず再生のみとなっている。
* シャープは2008年2月15日にBD/HDDレコーダーAQUOSブルーレイ「BD-HDW15」「BD-HDW20」を発売した。機能は一般的なものだが、同時期に発売された松下電器産業やソニーと違いMPEG-4 AVC/H.264エンコーダは搭載されていない。当初は2007年12月1日に発売予定であったが、4度にわたる発売延期で年末商戦に間に合わせることができなかった。
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* 夏前後からHD DVD-ROMの再生に対応した記録再生対応BDドライブがLG電子(日立LG製)より販売され、ベンダー各社への提供も開始された。NECはこのBDドライブを搭載したPCを9月上旬より発売する<ref>[http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20070907/rt040.htm BD/HD DVDコンボは次世代規格争いの福音か?] - AV Watch 2007年9月7日</ref>。
* ワーナーがBD支持に移行するのに伴い、BD・HD DVD両対応のTotal Hi Defは製品化されないまま開発が中止された。
* サムスン電子は2007年1月にBD・HD DVD両対応プレーヤー「BD-UP5000」を米国市場で発売したが、2007年5月に生産中止となった
 
=== 再生専用機器 ===