「ジビエ」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
「日本ジビエ振興協会」への解消などを追記しました。
5行目:
本来はハンターが捕獲した完全に野生のもの({{Lang-fr-short|sauvage}}、ソヴァージュ)を指すが、供給が安定しない、また入手困難で高価になってしまうといった理由で、飼育してから一定期間野に放ったり、また生きたまま捕獲して餌付けしたものもドゥミ・ソヴァージュ({{Lang-fr-short|demi sauvage}}、半野生)と呼ぶ場合もある{{sfn|神谷 |2014|p=8}}。
 
近年では狩猟から供給される鳥獣肉を使った料理にジビエと入れるケースがある<ref>{{Cite web |url = http://www.nhk.or.jp/sakidori/backnumber/150301.html |title = じわじわ来てるョ!"ジビエ"ブーム ||publisher = [[NHKオンライン]] |accessdate = 2015-04-08 }}</ref>。ジビエを[[珍味]]と称して[[生食]]するのは[[感染症]]や[[肝炎]]、[[寄生虫]]のリスクが有り、大変危険である<ref>{{Cite web |url = http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000032628.html |title = ジビエ(野生鳥獣の肉)はよく加熱して食べましょう ||publisher = [[厚生労働省]] |accessdate = 2015-04-08 }}</ref>。
 
== 工程 ==
42行目:
== 日本におけるジビエ ==
{{main|日本の獣肉食の歴史}}
[[日本]]で一般的に肉食が広まったのは[[明治|明治時代]]以降とされているが、それ以前にも狩猟・肉食の文化はあった。[[マタギ]]やシカリといっを含めた猟師がシカやクマ、イノシシを獲っていたし、海から離れた山岳地では[[ツグミ]]やキジなどの野鳥も食べられていた。[[ウサギ]]を一羽二羽と数えるのも、鳥と偽りながら食べられていた名残である。[[江戸時代]]の[[江戸]]においては近郊の農村から仕入れたその手の肉を取り扱う[[ももんじ屋]]と呼ばれる店が存在していた。そうした意味においては、日本人もジビエを食べてきたといえる。
 
フレンチ食材としてのジビエは、1990年代の中頃から日本に輸入されるようになった。ピジョン([[鳩]])、コルヴェール、ペルドロー、フザン、リエーヴル、シュヴルイエなどがフランスから入ってきている。ただし全てがフランス産という訳ではなく、[[ベルギー]]、[[イタリア]]、[[スペイン]]、[[ドイツ]]、さらには[[オーストリア]]などで獲れたジビエがいったんフランスに集められる。これは日本における[[検疫]]の都合によるものである。[[テレビ]]番組「[[料理の鉄人]]」で「ジビエ対決」が組まれるなど、知名度が上がるにつれて、ジビエ料理を出すレストランも増えてきている。
48行目:
現在日本ではジビエを入手するには専門の業者・肉屋に依頼する方法が一般的だが、国内の猟師とつながりのある肉屋、または[[食肉処理施設]]を持つ猟師から直接買い付ける方法もある。ジビエの品質は年齢や性別など肉質が不揃いで当たり外れがあり、実際に捌いてみないと確認できない事も多い。また、費用や労力がかかる上に安定供給できない効率の悪い商材のため、相場感も独特である。ジビエの流通では信頼関係や目利き、経験が重要となる{{sfn|神谷 |2014|p=14-18}}。
 
日本国内の多くの都道府県では、農作物のイノシシやシカなどによる農作物や樹木の[[食害]]に悩まされている<ref>平野恭弘、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jfsc/125/0/125_786/_article/-char/ja/ 臨床環境学的視点からみた日本のシカ問題] 第125回日本森林学会大会 セッションID: T10-02</ref>ことから、生息密度をコントロールするために、鳥獣被害対策実施隊を組織すると共に<ref>{{PDFlink|[http://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/pdf/h280219_jissitai_panfu.pdf 鳥獣被害対策実施隊の設置]}} 農水省 鳥獣被害対策コーナー</ref>地元猟友会の協力を得て毎年一定量の「有害鳥獣駆除」を行っている。しかし捕獲された野生動物肉が食肉として利用されることは少ない。例えば2006年に長野県で駆除された[[ニホンジカ]]約9,200頭のうち、食肉となったのは820頭で僅か9%に過ぎない。大半はハンターに自家消費されたり、山中に埋設されたりしている。そうした中、平成20年2月の「[[鳥獣による農林水産業等に係る被害防止のための特別措置に関する法律]]」が施行された以降は捕獲したシカを「モミジ鍋」ばかりではなくジビエとして消費を拡大し、特産物として地域振興につなげようという動きも多い<ref>大澤啓志、清水由紀奈、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/arp/32/Special_Issue/32_263/_article/-char/ja/ 獣害対策のシシ肉を地域特産にする試みをめぐる関係者意識 栃木県那珂川町「八溝ししまる」事業を事例に] 農村計画学会誌 Vol.32 (2013) No.Special_Issue p.263-268, {{DOI|10.2750/arp.32.263}}</ref>。長野県[[大鹿村]]などでの取り組みが代表例としてげられるが、近年は全国各地の自治体も取り組み始めている<ref>徳島県の取り組み例。{{cite news |title=鹿の食害減らしたい、ジビエ料理5店舗認定 |newspaper= [[読売新聞]]|date=2013-3-22|url=http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/cooking/20130322-OYT8T00332.htm |accessdate=2013-8-26}}</ref>。獣肉を単に肉屋や地域特産物販売所に並べるだけでは地域振興にはならず、「販路の確保」と「調理法の普及」が重要であると指摘されている<ref>松井 賢一、"ジビエ料理の普及は、獣害対策につながるのか?--「鹿肉利活用」のポイントは、「販路の確保」と「調理法の普及」 (特集 踏み込めるか野生鳥獣対策--野生鳥獣害の拡大と被害防止の新たな方向)" 農業と経済 75(2), 70-79, 2009-03, {{naid|40016975513}}</ref>。
 
前述の様な背景から、駆除した鳥獣の肉を有効利用し、地域振興にも生かすためジビエ料理の普及拡大を通じ鳥獣被害を減らすことで地域図る日本ジビエ振興を目論んだ協議会(後に日本ジビエ振興協へ改称)組織され2012年に発足<ref>[http://www.gibier.or.jp/ 日本ジビエ振興協議会]</ref>流通加工技術の向上と情報交換のため、2015年には第一回ジビエサミットが開催された<ref>[http://www.gibier.or.jp/event/event/534/ 第1回日本ジビエサミット開催の内容] 日本ジビエ振興協議会</ref><ref>押田敏雄、坂田 亮一、"「第1回日本ジビエサミット」に参加して : 地方創世への道 迷惑ものが資源に変わる"、畜産の研究 69(4), 317-322, 2015-04, {{naid|40020410061}}</ref>。
 
=== 安全確保 ===