「座布団」の版間の差分

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元来、権力の象徴であった物から派生した長い歴史のある物である。この経緯から日本における[[作法]]の一環で相手を敬う意図により、現在でも<!--[[和室]]・[[洋室]]を問わず、 → 洋室で座布団?-->来客に対して必ずといってよいほど提供される。客の側も、座布団を勧められる前にその上に座る行為は礼儀に反するとされることがある。勧められるまでは立ったままか座布団ではなく畳につま先を立てて[[正座]](跪座)すると良いとされる。挨拶を済ませた後、勧められたら礼を述べて座る。
 
座布団は来客に対するもてなしとして用いられる訳だが、これを固辞することも礼を逸するとされる。しかし[[夏|夏場]]などの季節によっては無い方が快適な場合もあり、勧める側も相手の意思を慮って無理に勧めないケースこと見られありえるなど、微妙な運用が求められると考えられる。
 
一般的な和室の作法では、座布団の正面は「縫い目の無い(目立たない)一辺」であるとされる。今日では座布団カバーなどに見られる[[線ファスナー|ファスナー]]が座る者から見て奥に成るのが望ましいだろう。なお裏表は中央の糸の房が飛び出している方が表、縫い目しか見えないのが裏であるが、日常の用に足す物では中央の房糸が無いものも見られる。そのような裏表の判別がつかない座布団は日常の用を足す物であるため、来客用と普段用を用意する必要もあるかもしれない。例外的に、自分の座っている座布団を新しい来客に譲るときは、裏表と関係なく自分の座っていた側とは裏側を出す。
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== 変化 ==
座布団は概要で述べたとおり、その単純な構造ゆえに様々に応用される。近年では日本人の生活が欧米化し、畳の上に座る機会が減り、椅子に座る機会が増えた訳だが、特に座席や背もたれの弾力性が足りない場合や、座席が冷たい場合などに、椅子の機能を追加する意図でこの座布団を用いるケースが見られる。なお椅子に取り付けるために[[ゴム]]バンドが一辺に取り付けられた製品も存在している。
 
また[[第二次世界大戦]]末期に日本全土が大規模な[[空襲]]に見舞われたが、これへの対処策として2枚の座布団を組み合わせた[[防空頭巾]]で頭部や肩を落下物の衝突から保護した。水に浸すことで頭部を火災などの熱から守ることも出来たこの防空頭巾は、[[地震]]や[[火災]]などの[[災害]]時における[[防災頭巾]]として[[1970年代]]に復活した。今日この防災頭巾には丈夫な難燃性合成繊維ものが普及しており、また色彩も目立つ橙黄色のものが主流となっている。
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:[[大相撲]]で[[関取]]が土俵下に控える時に使う座布団。[[幕内力士]]は専用の控え座布団を持つことが認められており、鮮やかな色の下地にはそれぞれの[[四股名]]が染め抜かれている。特に厚めに設えられた「夫婦判」(いちばん大きい型)を使い、これを二つ折りにして座るのが伝統。
;[[座布団の舞]]
:大相撲で[[横綱]]が格下の力士に負けたときに、横綱への落胆と勝った力士への称賛の意味を込めて、桟敷席(升席)の観客が座布団を土俵に向かって投げる行為。以前は[[金星 (相撲)|金星]]を提供してしまったときのみにこれが見られたが、最近では[[幕内|三役]]に負けてもほぼ例外なくこれが起るようになった。また、ごく稀に逆に横綱が勝って座布団を投げられたケース見られる。ただし危険防止のため公には禁止されており、[[本場所#九州場所|九州場所]]が開催される[[福岡国際センター]]では投げ飛ばせないように二人分を連結した座布団が使用されている。
;[[落語|高座の座布団]]
:落語で、最も簡略にして最も大切な舞台装置が、高座の中央にぽつんと置かれた座布団である。[[噺家]]が大きい仕草を交えた語りをしても安心して座っていられるよう、高座の座布団にも一番大きい「夫婦判」が使われている。