「リン酸カルシウム」の版間の差分

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'''リン酸カルシウム'''(リンさんカルシウム、{{Lang-en-short|calcium phosphate}})は[[カルシウムイオン]]と[[リン酸]]イオン(PO<sub>4</sub><sup>3-</sup>)または[[二リン酸]]イオン(P<sub>2</sub>O<sub>7</sub><sup>4-</sup>)からなる[[塩 (化学)|塩]]の総称である。[[骨]]の約70%はリン酸カルシウムの一種である、炭酸イオンを6~9%含有する[[燐灰石|ハイドロキシアパタイト]]からできている。
カルシウムと、リン酸の比率の違いにより、様々な相が知られている<ref>Wang L. and Nancollas G.H. Chem Rev 108 4628-4669, 2008</ref>。pH 4以下の酸性条件では、酸性相である[[DCPD]]又は、高温では[[DCPA]](Brusite, Monetite)が安定相となり、それ以上のpHである中性、塩基性条件下では、ハイドロキシアパタイトが安定相となる。弱酸性より高いpHの常温の溶液中で[[カルシウム]]と[[リン酸]]を混合した場合、[[アモルファス]]相が初生相として出現した後、構造相転移により[[結晶]]相へと転移する<ref>Onuma K. and Ito A. Chem Mater 10 3346-3351, 1998</ref><ref>Onuma et al. J Phys Chem B 104 10563-10568, 2000</ref>。一般にこの過程を経て形成した結晶相の結晶度は非常に悪い。
 
== 利用 ==
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[[E番号]]341の[[食品添加物]]として、[[チーズ]]の製造などに用いられる。また[[サプリメント]]としても用いられるが、カルシウム塩の種類により[[生物学的利用能]]が異なるとの指摘もある。歯の再石灰化を促すとして[[歯磨き粉]]にも使われている。さらに、[[遺伝子]]の[[トランスフェクション]]にも使われる<ref>[http://biologicalworld.com/calciumphosphate.htm Calcium Phosphate Method for Gene Transfection of Mammalian Cells]</ref>。機構については詳しく分かっていないが、リン酸カルシウムが沈着して[[デオキシリボ核酸|DNA]]が複合体を作り、DNAが[[細胞]]を通り抜けられるようになると考えられている。また、[[二リン酸]]と塩基性カルシウムを反応させることで二リン酸カルシウム Ca<sub>2</sub>P<sub>2</sub>O<sub>7</sub>が生成する。この物質は、[[歯磨き粉]]のマイルドな[[研磨剤]]として一般的に使用されているほか、関節への沈着によって[[偽痛風]]の要因にもなる。
 
いくつかのリン酸カルシウムは人工骨の主成分として用いられる。これは、これらのリン酸カルシウムは骨を周囲に呼び込む性質、骨伝導性を持つからである。しかし、この機構はまだ十分に解明されていない。
 
== 関連する塩 ==
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* [[リン酸八カルシウム]] <chem>((Ca8(PO4)4) (HPO4)2(OH)2)</chem> ([[OCP]])
* [[水酸アパタイト]] <chem>(Ca10(PO4)6(OH)2)</chem> (HAP, HAp, OHAPなどと呼称される)
* フッ素アパタイト <chem>(Ca10(PO4)6F2)</chem>
* 塩素アパタイト <chem>(Ca10(PO4)6Cl2)</chem>
 
このほか、TCPのCaイオンの一部がMgイオンに置換されることで安定化した、ウィットロカイト(whitlockite)などがある。また、水酸アパタイトのリン酸基及び、水酸基は、炭酸基に置換され、[[炭酸アパタイト]](CO3Ap)となる。水酸基が置換されたものが、A型で、リン酸基が置換されたもののがB型と呼称される。さらに、結晶ではないアモルファス相(ACP)も知られている。