「シャリーア」の版間の差分

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== 運用上の特徴 ==
運用にあたっては[[属人法|属人主義]]による。すなわち[[ムスリム]]であれば世界のどこへ行ってもシャリーアが適用される(ただし[[ハナフィー学派]]のみは別解釈をとる)。一方、非ムスリムであれば、たとえイスラーム圏(ダール・アル=イスラーム)に滞在・居住していたとしても、直接にシャリーアを適用されることはない。ただ、非ムスリムとムスリムの間に生じた何らかの関係や問題についてシャリーアが適用されることはある。またシャリーアはイスラーム圏における非ムスリムの地位についての規定を含む。このようにイスラームにおける国際法とはムスリムと非ムスリムとの間の関係に関する法であり、国家間の関係に関する法である[[ヨーロッパ]]的な[[国際法]]とは位置付けが異なる。
 
シャリーア運用上のもうひとつの特徴は客観主義である。すなわち行為者の意思よりもその行為の外形に注目して判定を下す。これは、ある人間の意思を正確に忖度することは神にしかできないという考えによる。たとえば、過失によって人を死に至らしめた場合は[[殺人罪]]となる。
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[[サウジアラビア]]では統治基本法において、憲法は[[クルアーン]]および[[スンナ]]である、と明記されている。
 
[[マレーシア]]ではムスリムのみ[[酒|飲酒]]を罰する法律があり、飲酒を行うと[[カーディー]]裁判により[[罰金]]と[[鞭打ち]]刑が科される。非ムスリムは処罰されない。しかし、[[起訴]]される事例は極めて少なく死文法に近くなっている。
 
[[豚肉]]など[[ハラーム]]となる[[食品]]などの販売を行う店も非ムスリムが非ムスリム向けに営業している場合には消費者保護法(ハラーム製品の輸入製造販売を禁止する法律)が適用されない場合がある。
 
ムスリム同士であっても宗派によって法律が異なることが多い。[[ワッハーブ派]]が主体の[[サウジアラビア]]の法体系においてもシーア派住民は法務省の下位機関であるシーア派裁判所でシーア派の法律による裁判権が認められている。ただし、シーア派に認められているのは24条の刑法と婚姻、遺産相続、ワクフのみであり、ワッハーブ派住民とシーア派住民の間で訴訟になった場合にはワッハーブ派の法が優先される。このように一国に複数の法体系による複数の裁判所が存在すると言う複雑な司法形態になっている国もある。
 
基本的に加害者がムスリム以外であっても被害者がムスリムの場合にはシャリーアが適用される。逆に被害者が非ムスリムで加害者がムスリムの場合、欧米法において犯罪行為であってもシャリーアにおいて正当行為であれば[[無罪]]となることが多い。
 
鞭打ち刑など過酷なシャリーアの刑罰が行われると世俗派や他の宗教、欧米諸国からは非難されるが、[[保守]]派・厳格派のムスリムからは支持される。多くの[[イスラム世界|イスラム教国]]で厳格な刑罰が存続している背景には厳格な適用を求める自国民からの支持がある。[[中東]]諸国では未だに厳格な運用を求める国民が多いため、シャリーアの体制が維持されている。
 
== 世俗法との関係 ==