「ラピテース族」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
m Category追加
注釈化、出典との分離等
5行目:
'''ラピテース族'''({{lang-grc-short|'''Λαπίθης'''}}, {{ラテン翻字|el|Lapithēs}})は、[[ギリシア神話]]に登場する[[テッサリアー]]地方の半神話的[[民族]]である。複数形は'''ラピタイ'''({{lang-grc-short|'''Λαπίθαι'''}}, {{ラテン翻字|el|Lapithai}})。[[長母音]]を省略して'''ラピテス族'''とも。[[英語]]では'''ラピタ'''({{lang-en-short|'''Lapith'''}})。
 
[[ラピテース]]<ref group="注">[[アポローン]]の子とされる</ref>の子孫とされ、[[ゼウス]]の妻の女神[[ヘーラー]]を誘惑しようとしたためにゼウスの怒りを受けた[[イクシーオーン]]や、結婚式のさいに[[ケンタウロス]]達と闘った[[ペイリトオス]]といった人物で有名。
 
== 概要 ==
19行目:
神話によると、河神ペーネイオスと[[クレウーサ]]との間に[[ヒュプセウス]]と[[スティルベー]]が生まれ、スティルベーと[[アポローン]]の間に2子[[ラピテース]]とケンタウロスが生まれた<ref>シケリアのディオドロス、4巻69・1。</ref>。このうちラピテースがペーネイオス河畔に住み着いて王となった。この地の住人をラピテース族と呼ぶのはラピテースに由来する。
 
ラピテースの2子[[ポルバース]]と[[ペリパース]]はともにラピテース族の王となったが、ポルバースは招かれて[[エーリス]]地方に行き<ref>シケリアのディオドロス、4巻69・2。</ref>、彼に伝説的なエーリス王[[アウゲイアース]]と[[アクトール]]が生まれた<ref group="注">一般的な伝承では、アウゲイアースは[[太陽神]][[ヘーリオス]]の子とされる。</ref>。一方、テッサリアー地方に残ったペリパースには8子が生まれ、さらに長男のアンティオーンはペリメーレー([[アミュターオーン]]の娘)との間にイクシーオーンをもうけた。このイクシーオーンにペイリトオスと<ref>シケリアのディオドロス、4巻69・3。</ref>ケンタウロス族が生まれた<ref>シケリアのディオドロス、4巻69・5。</ref>。
{{ラピテース族の系図}}
== 文化 ==
29行目:
[[File:Pilion with monastery pau.JPG|thumb|220px|ペーリオン山。]]
===ホメーロス===
ホメーロスは『[[イーリアス]]』第2巻の軍船リストにおいて、[[ポリュポイテース]]王([[ペイリトオス]]の息子)がアルギッサ(アルグラ、現アギア・ソフィア)、ギュルトネー(ギュルトーン、現バクレナ)、オルテー(現[[ツァリツアニ]], [[:en:Tsaritsani|en]])、エーローネー(現カラッツォリ)、白亜のオロオッソーン(現[[エラソナ]], [[:en:Elassona|en]])の軍勢を率いたこと、彼の父ペイリトオスが[[ケンタウロス]]族をペーリオン山からアイティケスに追い払ったこと、[[カイネウス]]の孫[[レオンテウス]]も戦争に参加したことを述べている<ref>『イーリアス』2巻738−747行。</ref>。
 
ホメーロスの挙げる都市のうち、アルギッサ、ギュルトネー、エーローネーはペーネイオス河中流域の都市で、オルテー、オロオッソーンはエーローネーのさらに北、[[オリュンポス山]]麓のエウローポス河流域の都市である。
40行目:
== 神話 ==
===イクシーオーンの伝説===
''詳細は[[{{Main|イクシーオーン]]を参照''}}
 
伝説によると、イクシーオーンは、その舅を殺したり、ゼウスの妻のヘーラーを誘惑しようとし、ゼウスのおくった雲で出来た贋のヘーラーとの間に、ケンタウルスが生まれたとされる。最後には、カミナリで殺され、永遠に回転する「地獄の火車」に[[ヘビ]]で縛られた。
 
47 ⟶ 46行目:
伝説によると、[[テーセウス]]([[アテーナイ]]の王)は、ラピテース族の王ペイリトオスと、とても仲がよく一緒に冒険や探検をする仲であった。よって、ペイリトオスが、美しい[[ヒッポダメイア]]と結婚することとなり両家の親族、友人としてテーセウス、またケンタウロス等の他のテッサリアーの住民も招かれた。
 
しかし婚礼の途中、初めて飲む[[ワイン]]に酔った''Eurito''<ref group="注">ケンタウロスの中でも荒っぽい性格だった。[[:es:Eurito|スペイン語版のEurito または、 Euritión]]を参照)(ケンタウロスの中でも荒っぽい性格だった)。</ref>が、花嫁を誘拐した。その他のケンタウルスも他の女達や若い男達をさらっていった。
 
このことに怒った、ペイリトオスやラピテース族の人たちは、テーセウスの力も借りた、ケンタウロスとの戦争で、その多く(数百)を殺した。数頭のケンタウロスのみ[[アルカディア]]の近くの山に逃げることができたとされている。
 
; ラピテース族の戦士リスト
以下は『[[イーリアス]]』1巻, (Il)、『[[ヘーラクレースの楯]]』, (SH)、『[[変身物語]]』(Ov、戦死者除く)による
{| class="sortable wikitable" style="font-size:95%; margin-right:0px;"
|-style="line-height:1.4em"
91 ⟶ 90行目:
 
; ラピテース族の参加者リスト
以下はアポロドーロス(Ap)、『アルゴナウティカ』(AR)、ヒュギーヌス(Hy)による
{| class="sortable wikitable" style="font-size:95%; margin-right:0px;"
|-style="line-height:1.4em"
132 ⟶ 131行目:
 
== 脚注 ==
 
=== 注釈 ===
{{Reflist|group=注}}
 
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}
 
== 参考文献 ==
 
* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年)
=== 一次資料 ===
* 『[[オデュッセイア]]/[[アルゴナウティカ]]』[[松平千秋]]・[[岡道男]]訳、[[講談社]](1982年)
* [[アポロドーロス]]『[[ビブリオテーケー|ギリシア神話]]』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年)
* [[ホメロス]]『[[イリアス]](上)』[[松平千秋]]訳、[[岩波文庫]](1992年)
* [[ストラボン]]『ギリシア・ローマ世界地誌』飯尾都人訳、龍渓書舎(1994年)
* [[シケリアのディオドロス|ディオドロス]]『神代地誌』飯尾都人訳、龍溪書舎(1999年)
* [[ヒュギーヌス]]『ギリシャ神話集』[[松田治]]・青山照男訳、[[講談社学術文庫]](2005年)
* [[ホメロスオデュッセイア]][[イリルゴナウティカ]](上)[[松平千秋]]・[[岡道男]]訳、[[岩波文庫講談社]](1992(1982年)
 
* [[高津春繁]]『ギリシア・ローマ神話辞典』、[[岩波書店]](1960年)
=== 二次資料 ===
* [[高津春繁]]『ギリシア・ローマ神話辞典』[[岩波書店]](1960年)
 
== 関連項目 ==