「高揚力装置」の版間の差分

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黎明期の飛行機は現在から見れば低速であったが、巡航中において主翼を最適な[[翼面荷重]]にすることにより、徐々に速度性能が向上し、高速で巡航できるようになった。だが一方で、主翼の翼面積が小さくなってしまい、翼面積を変えない限り、離着陸速度と滑走距離が増大する問題が発生する。離着陸時において飛行機は可能な限り低速である事が求められるため、巡航時と離着陸時の速度性能のギャップが目立つようになった。飛行機の主翼に発生する揚力は速度の2乗に比例するため、低速性能を重視すれば高速時の揚力が過剰になり、高速性能を重視すれば低速時の揚力が不足する。普通は飛行機は[[迎角]]を調整する事によって揚力を適切に保つが、迎角を大きく取ると今度は[[失速]]に陥るため、迎角の調整という方法には限界があった。
 
そのため、高速性能と低速性能を両立させるため、主翼自体は高速向きのものとし、離着陸時での低速においては不足する揚力を補うため、主翼の最大揚力係数を増す装置が'''高揚力装置'''である。高揚力装置は以下のような方法を用いて揚力を増大させる。
 
* [[翼型#用語|キャンバー]](翼の湾曲)を増やす
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* 剥離を抑え、失速を遅らせる
** より大きな迎角を取れば揚力も大きくなるが、失速という問題が生じる。そのため失速を防止する機構を付加する事で、低速時により大きな迎角を取る事を可能にする([[翼型]]や[[翼平面形]]の工夫で大迎角時に失速しにくくなる手法も存在するが、'''高揚力装置'''とは関係無い。あくまで機械的な動作を伴うものが'''高揚力装置'''と呼ばれる)。
 
かつてはパイロットが計器を見ながら手動で操作していたが、[[アビオニクス]]の高度化によりフライト・コントロール・システムと連動することで、最適な設定値を表示したり操作自体を自動化した機種もある。
 
== フラップ ==
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:; 自動スラット: 小さい迎角ではスラットは空気力によって主翼前縁表面に密着し、大迎角では翼前縁の負圧によって(補助スプリングを付ける場合あり)展開する。中迎角時に浮動し空気抵抗を増やすことから、今日ではあまり用いられない。[[ハンドレページ]]の特許であるため『ハンドレページ・スラット』とも呼ばれる。
:; 固定スラット: スラットが常時展開している方式。低速の機体に用いられる。
:; 手動スラット: 操縦者の操作により制御される。ジェット旅客機などに一般的に用いられている。フライト・コントロール・システムと連動し、では半自動化された機種もあるが多い
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; ドループ前縁