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{{国際化|date=2016年10月|領域=日本}}
[[ファイル:Shoshazan Ropeway.jpg|thumb|250px| [[書写山ロープウェイ]](書写駅)([[姫路市]])。複線交走式の普通索道]]
[[ファイル:MountTsukuba-Ropeway-aerial lift-Japan-March5-2015.ogv|thumb|250px|(動画) [[筑波山]]のロープウェイ]]
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== 概要 ==
[[ファイル:剣山登山リフト.JPG|thumb|right|[[剣山]]登山リフト([[美馬市]])。単線固定循環式の特殊索道(リフト)]]
架空されたワイヤロープに人や荷物などを載せるための搬器を懸垂させて輸送を行う<ref name="iatss-review">{{Cite web |author=千島美智男 |url=http://www.iatss.or.jp/common/pdf/publication/iatss-review/27-2-11.pdf |title=ロープウェイの安全技術 |publisher= 国際交通安全学会|accessdate=2017-12-17}}</ref>。
[[地形]]の影響を受けず、急斜面にも強いことから、主に[[山岳]]における輸送に用いられる。[[鉄道駅|駅]]と駅の間に、ロープを支えるための複数の[[車輪]]のついた支柱があるのが一般的である。[[観光地]]や[[スキー場]]などにおける人員輸送のほかにも、[[建設業]]や[[林業]]などにおける資材や[[製品]]の輸送など、各種産業分野でも幅広く利用される。[[山小屋]]や山奥の[[温泉]]旅館など、[[自動車]]が走行できる道路が通じていない場所へ物資輸送専用の索道が作られている例もある。
 
[[地形]]の影響を受けにくく、急勾配や急斜面にも強いほか、谷などの横断も比較的容易である<ref name="iatss-review" />。同様の地形での建設コストを他の交通システムと比較してもコストを低廉に抑えることができる<ref name="iatss-review" />。そのため山間部の[[観光地]]や[[スキー場]]など主に[[山岳]]における輸送に用いられる<ref name="iatss-review" />。
 
[[地形]]の影響を受けず、急斜面にも強いことから、主に[[山岳]]における輸送に用いられる。[[鉄道駅|駅]]と駅の間に、ロープを支えるための複数の[[車輪]]のついた支柱があるのが一般的である。[[観光地]]や[[スキー場]]などにおける人員輸送のほかにも、[[建設業]]や[[林業]]などにおける資材や[[製品]]の輸送など、各種産業分野でも幅広く利用される。[[山小屋]]や山奥の[[温泉]]旅館など、[[自動車]]が走行できる道路が通じていない場所へ物資輸送専用の索道が作られている例もある。
 
1990年代以降新しい形態のロープウェイ、複式単線 (DLM) [[フニテル]]が世界中で普及し始め、2000年頃から日本でも[[箱根山|箱根]]、[[谷川岳]]、[[蔵王連峰|蔵王]]等で旧来のロープウェイが置き換えられ、運行されている。
 
== 構成 ==
== 日本における索道 ==
架空されたワイヤロープに懸垂させた搬器をロープによって駆動して運行する<ref name="iatss-review" />。
日本の索道規則([[1947年|昭和22年]]運輸省令第34号、現在は廃止、後述)では「架空した索条に搬器をつるして運送する設備をいう」とされた。
 
=== 各部の名称 ===
日本の索道規則([[1947年|昭和22年]]運輸省令第34号、現在は1987年廃止、後述)では「架空した索条に搬器をつるして運送する設備をいう」とされた。
 
'''索条'''(さくじょう)とは空中に渡したロープのことで、'''搬器'''(はんき)とは吊り下げられている輸送機器のことである。索条は搬器を支持するための'''支索'''(しさく)、搬器を牽引するための'''曳索'''(えいさく)<ref name="eisaku">“曳”は[[常用漢字]]でないため「えい索」「支えい索」と表記されることもある。</ref>、搬器を支持しながら牽引する'''支曳索'''(しえいさく)<ref name="eisaku"/>に分類される(方式により異なる。後述)。搬器は箱型やかご型のもの、椅子型になっていて乗客が直接座るものがある。箱型やかご型の搬器は通俗的に「ゴンドラ」とも呼ばれる。
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支索は通常の鉄道やケーブルカーにおける[[軌条]]、曳索は[[ケーブルカー]]における鋼索、搬器は[[鉄道車両|車両]]に相当する。
 
=== 搬器の種類 ===
[[旅客]]輸送用の索道は、日本では以前は索道規則<ref>前身は索道事業規則([{{NDLDC|2956666/1}} 「逓信省令第36号」『官報』1927年9月3日])。1926年(大正15年) 紀伊自動車が旅客索道の認可申請を行なった時点では根拠法令が存在せず、貨物索道の拡大解釈という形で三重県の認可によって営業を開始した。 </ref>が根拠法令だったが、現在は[[鉄道]]と同様に[[鉄道事業法]]にもとづいて運営が行われる。同法では「索道事業」を「他人の需要に応じ、索道による旅客又は貨物の運送を行う事業」と定義している。「索道事業」は、原則として[[国土交通大臣]]の[[許可]]が必要としている(例外は、専ら[[貨物]]を運送するものや、国が経営する索道のとき)。こうして同法で「鉄道事業」ではなく「索道事業」に分類されることから、「鉄道事業」に分類されている[[トロリーバス]]や[[モノレール]]などと異なり、鉄道として扱われることはほとんどない。ただし、図鑑などには鉄道として掲載されることもある。単にロープウェイというと、支索と曳索が分かれている複線で、人や貨物を載せる搬器にも車輪がついているものを指す。搬器に車輪が備わっておらず単線自動循環式のものは一般的に「ゴンドラリフト(単にゴンドラとも)」と呼ばれる。
; ロープウェイ
: 観光地に多く使われている。ドアの付いた密閉式の搬器であることが多いが、窓が開閉可能なものもある。
; ゴンドラリフト
: 1つの搬器で搬送できる人数が4人から12人と効率的で、かつ乗客数に応じて搬器の数を調整できるが、設置に高い経費がかかる。スキー場に設置されていることが多い。山岳地帯以外での設置例は博覧会での会場内輸送機関(1970年の[[日本万国博覧会]]、1990年の[[国際花と緑の博覧会]]等)や、[[東京ディズニーランド]]での「スカイウェイ」がある。
; チェアリフト
: 最もよく使われている搬器。一基あたり1人~6人を搬送できる。搬器の前方で待機し、搬器に直接着座する。スキー場や観光地など、さまざまな場所で利用されている。
 
== 分類 ==
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ほとんどの索道で[[電動機]]を動力源としており、その電動機は始点駅または終点駅のどちらかに設置されているものがほとんどである。なお、停電時は使用できないため、[[ディーゼルエンジン]]などの非常用発動機が装備されている。構造上、搬器は動力を持たず、電力供給も受けないことが多い。
 
== 各国での利用 ==
=== 日本の鉄道事業法施行規則による分類 ===
=== 日本 ===
{{Main|日本の索道}}
日本は世界有数のロープウェイの基数を有しており、多くは山間部で使用されているほか、都市交通としても導入が検討されている<ref name="iatss-review" />。
 
日本国内では2002年現在、公共輸送システムとして約3,000基が設置されており、年間5億6,000万人余りの旅客を輸送している<ref name="iatss-review" />。
 
[[旅客]]輸送用の索道は、日本では以前は索道規則<ref>前身は索道事業規則([{{NDLDC|2956666/1}} 「逓信省令第36号」『官報』1927年9月3日])。1926年(大正15年) 紀伊自動車が旅客索道の認可申請を行なった時点では根拠法令が存在せず、貨物索道の拡大解釈という形で三重県の認可によって営業を開始した。 </ref>が根拠法令だったが、現在1987年に廃止され、以後は[[鉄道]]と同様に[[鉄道事業法]]にもとづいて運営が行われる。同法では「索道事業」を「他人の需要に応じ、索道による旅客又は貨物の運送を行う事業」と定義している。「索道事業」は、原則として[[国土交通大臣]]の[[許可]]が必要としている(例外は、専ら[[貨物]]を運送するものや、国が経営する索道のとき)。こうして同法で「鉄道事業」ではなく「索道事業」に分類されることから、「鉄道事業」に分類されている[[トロリーバス]]や[[モノレール]]などと異なり、鉄道として扱われることはほとんどない。ただし、図鑑などには鉄道として掲載されることもある。単にロープウェイというと、支索と曳索が分かれている複線で、人や貨物を載せる搬器にも車輪がついているものを指す。搬器に車輪が備わっておらず単線自動循環式のものは一般的に「ゴンドラリフト(単にゴンドラとも)」と呼ばれる。
 
日本において索道は鉄道事業法施行規則第47条により「普通索道」と「特殊索道」に分類されている。
* '''普通索道'''とは「扉を有する閉鎖式の搬器を使用して旅客又は旅客及び貨物を運送する索道をいう」とされ、ロープウェイやゴンドラリフトがこれに相当する。
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* 丙種特殊索道とは滑走式の索道(Tバーリフト・ロープトゥ・Jバーリフト・プラッターリフト等)である。
 
=== 搬器米国 ===
ニューヨークでは都市交通に通勤用・通学用のロープウェイが存在する<ref name="iatss-review" />。
; ロープウェイ
: 観光地に多く使われている。ドアの付いた密閉式の搬器であることが多いが、窓が開閉可能なものもある。
; ゴンドラリフト
: 1つの搬器で搬送できる人数が4人から12人と効率的で、かつ乗客数に応じて搬器の数を調整できるが、設置に高い経費がかかる。スキー場に設置されていることが多い。山岳地帯以外での設置例は博覧会での会場内輸送機関(1970年の[[日本万国博覧会]]、1990年の[[国際花と緑の博覧会]]等)や、[[東京ディズニーランド]]での「スカイウェイ」がある。
; チェアリフト
: 最もよく使われている搬器。一基あたり1人~6人を搬送できる。搬器の前方で待機し、搬器に直接着座する。スキー場や観光地など、さまざまな場所で利用されている。
 
== 野猿・吊舟 ==
[[ファイル:Yaenn totsugawa.jpg|150px|thumb|十津川村・野猿]]
[[ファイル:川浦の吊船.jpg|220px|thumb|徳島県・吊舟]]
[[ファイル:Tokushima Miyoshi Okuiya Yaen 2.JPG|220px|thumb|奥祖谷二重[[かずら橋]]公園の野猿]]
; 野猿
: '''野猿'''(やえん)は、[[川]]を越えるなどの目的で設置された人力の索道である。川の両岸にワイヤロープを渡し、このロープに「屋形」と呼ばれる車体(ゴンドラ)をつり下げる(このロープが支索の役割を果たし、屋形が搬器に相当する)。利用者は屋形に乗り、別に渡されたロープ(このロープが曳索の役割を果たす)をたぐることで屋形を前進させる。この様子が[[サル|猿]]に似ていることから「野猿」と呼ばれる。現在は[[奈良県]][[十津川村]]で見られるが、既に実用の交通手段としては使われていない<ref>[http://www.totsukawa-nara.ed.jp/bridge/guide/around/ar_e28.htm 十津川探検 ~十津川巡り~「野猿」] 十津川かけはしネット(十津川村教育委員会)</ref>。同様の方法で山林から木材を搬出する索道では「'''矢遠'''」の表記が用いられることがある。
; 吊舟
: かつては[[徳島県]][[那賀郡]][[相生町]]など(現[[那賀町]])に「'''吊舟'''(つりふね)」と称する人力の索道がいくつかあった。当初は野猿と同様のものであったが、戦後に鉄製の搬器で[[自転車]]のように[[サドル (自転車)|サドル]]と[[ペダル]]を備え足で操作することによって進むものが現われた。観光施設などではなく、最後まで[[市町村道|町道]]にも指定された生活の足であった。[[橋]]の整備により次第に数を減らし、末期は川浦地区と[[一般国道|国道]]を結ぶ「川浦の吊舟」のみが残されていたが、[[1999年]]に橋の整備により廃止、撤去された<ref>{{PDF|
{{Wayback |url=http://www.skr.mlit.go.jp/nakagawa/nakagawa_ryuuiki_dayori/no_11/vol_11%20omote.pdf |title=那賀川倶楽部2007年11月号 |date=20120113155053}}}} 四国地方整備局那賀川河川事務所</ref>。
 
== ロープモノレール ==
* 搬器自体に動力([[ディーゼル機関]]など)を備え、これによって[[油圧モーター]]を作動させ、支索上を自走する方式。
: 日本においては、[[高知市]]の[[五台山 (高知市)|五台山]]で[[1969年]]から[[1978年]]にかけて、山麓から山頂の展望台まで、『[[五台山ロープモノレール]]』が運行されていた<ref>[http://www.8beat.com/ropeway/godaisan.htm 失われたロープウェイ 五台山ロープモノレール]</ref>。
 
== ギャラリー ==
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* CTEC - 世界的ロープウェイメーカー<ref>[http://www.doppelmayrctec.com/ Doppelmayr CTEC]</ref>
* SA/Corp - 搬機メーカー<ref>[http://www.cwa.ch/ CWA-Constructions SA/Corp]</ref>
 
== 野猿・吊舟 ==
[[ファイル:Yaenn totsugawa.jpg|150px|thumb|十津川村・野猿]]
[[ファイル:川浦の吊船.jpg|220px|thumb|徳島県・吊舟]]
[[ファイル:Tokushima Miyoshi Okuiya Yaen 2.JPG|220px|thumb|奥祖谷二重[[かずら橋]]公園の野猿]]
; 野猿
: '''野猿'''(やえん)は、[[川]]を越えるなどの目的で設置された人力の索道である。川の両岸にワイヤロープを渡し、このロープに「屋形」と呼ばれる車体(ゴンドラ)をつり下げる(このロープが支索の役割を果たし、屋形が搬器に相当する)。利用者は屋形に乗り、別に渡されたロープ(このロープが曳索の役割を果たす)をたぐることで屋形を前進させる。この様子が[[サル|猿]]に似ていることから「野猿」と呼ばれる。現在は[[奈良県]][[十津川村]]で見られるが、既に実用の交通手段としては使われていない<ref>[http://www.totsukawa-nara.ed.jp/bridge/guide/around/ar_e28.htm 十津川探検 ~十津川巡り~「野猿」] 十津川かけはしネット(十津川村教育委員会)</ref>。同様の方法で山林から木材を搬出する索道では「'''矢遠'''」の表記が用いられることがある。
; 吊舟
: かつては[[徳島県]][[那賀郡]][[相生町]]など(現[[那賀町]])に「'''吊舟'''(つりふね)」と称する人力の索道がいくつかあった。当初は野猿と同様のものであったが、戦後に鉄製の搬器で[[自転車]]のように[[サドル (自転車)|サドル]]と[[ペダル]]を備え足で操作することによって進むものが現われた。観光施設などではなく、最後まで[[市町村道|町道]]にも指定された生活の足であった。[[橋]]の整備により次第に数を減らし、末期は川浦地区と[[一般国道|国道]]を結ぶ「川浦の吊舟」のみが残されていたが、[[1999年]]に橋の整備により廃止、撤去された<ref>{{PDF|
{{Wayback |url=http://www.skr.mlit.go.jp/nakagawa/nakagawa_ryuuiki_dayori/no_11/vol_11%20omote.pdf |title=那賀川倶楽部2007年11月号 |date=20120113155053}}}} 四国地方整備局那賀川河川事務所</ref>。
 
== ロープモノレール ==
* 搬器自体に動力([[ディーゼル機関]]など)を備え、これによって[[油圧モーター]]を作動させ、支索上を自走する方式。
: 日本においては、[[高知市]]の[[五台山 (高知市)|五台山]]で[[1969年]]から[[1978年]]にかけて、山麓から山頂の展望台まで、『[[五台山ロープモノレール]]』が運行されていた<ref>[http://www.8beat.com/ropeway/godaisan.htm 失われたロープウェイ 五台山ロープモノレール]</ref>。
 
== 脚注 ==