「ストラット式サスペンション」の版間の差分

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{{出典の明記|date=2017年12月}}
[[Image:Mcpherson strut.jpg|thumb|220px|right|模式図]]
'''ストラット式サスペンション'''とは、[[サスペンション]]方式の一種で、[[テレスコピック]][[ショックアブソーバー]]自体を懸架装置とし、それに[[ばね]]と車輪を取り付けた構造のもの。考案者のアール・マクファーソンにちなんで'''マクファーソン・ストラット''' (MacPherson Strut) 式とも呼ばれる。
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マクファーソンはこの簡略なサスペンションを考案した当時、[[ゼネラルモーターズ]] (GM) のために働いていたが、GMでは既に実績のある[[ダブルウィッシュボーン式サスペンション|ダブル・ウィッシュボーン]]式独立懸架に信頼を置いて、マクファーソンの提案を顧みなかった。これには、初期の独立懸架方式の一つである[[独立懸架#その他の古典的方式|デュボネ独立懸架]]を「小型車向きな方式」と判断して1934年型シボレーの前輪に採用した結果、大失敗に終わったという苦い経験が影響していたともいわれる。
 
GMの冷淡さに不満を抱いたマクファーソンは、GMを去り、競合メーカーの[[フォード・モーター|フォード]]にこのアイデアを持ちこんだ。フォードもこの新方式をアメリカ本国の大型車に使うことには躊躇したようであるが<ref group="注釈">フォード車の設計は非常に保守的で、独立懸架採用の最初は1948年発売の1949年式モデルにおけるウィッシュボーン式であり、これはアメリカでも最も遅れた採用であった。</ref>、コンパクトな構造が小型車に適していると判断され、子会社である[[イギリス]]のブリティッシュ・フォードの新型車にこれを導入することにした。
 
モダンで機能的なフラッシュサイドボディと新型エンジンに加え、前輪独立懸架にマクファーソン・ストラットを採用したブリティッシュ・フォードの1500cc[[セダン|サルーン]]「[[:en:Ford Consul|コンサル]]」が発表されたのは、1950年である。保守性の強い英国製サルーンの中では革命的だったコンサルのメカニズムの中でも、その簡潔でコンパクトな前輪独立懸架は、ウィッシュボーン式独立懸架が大勢を占めていた1950年代初頭の自動車界に大きなインパクトを与えた。フォードは続いてブリティッシュ・フォードのほか、ドイツ・フォードやフォード・フランスの新型車にもこの方式を導入し、その後1961年からはアメリカ本国の最高級大型車[[リンカーン (自動車) |リンカーン・コンチネンタル]]にもストラット式懸架を採用している。
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:: A形のロワアームを持つが、頂点側が車両側・底辺側がホイール側となっており、前後方向の規制に別途リンクが追加されている。
*チャップマン式
:: [[:en:Chapman strut|チャップマン・ストラット]]とも呼ばれる駆動輪用の懸架装置で、[[ロータス・カーズ]]の創始者[[コーリン・チャップマン]]が元来[[:en:Lotus Twelve|レーシングカー]]用に考案したものである。ロードカーでの採用は初代[[ロータス・エリート]]のみとなっており<ref group="注釈">今日大きく誤解されているが、初代[[ロータス・エラン]]の後輪は駆動シャフトの長さ変化が発生するマクファーソン・ストラット、初代[[ロータス・ヨーロッパ]]の後輪懸架装置は、駆動シャフトをアッパーリンクとするダブル・ウィッシュボーンである。</ref>、他社は勿論ロータス社自身にしてみても特異な後輪懸架装置である。<br/>左右方向のホイールロケーションを固定長[[ドライブシャフト]]で兼用し、前後方向と操舵方向のロケーションを変形A型の[[トレーリングリンク]]1本で行う構成で、車体側のピックアップポイントはストラットトップとA型リンクの頂点の2点のみとなり、マクファーソン・ストラットより更に簡略化されている。機構学的にはマクファーソン・ストラットに準じるが、チャップマン式では[[ロール・センタ]]が一般的なマクファーソン・ストラットより高い位置に来ることにより高いロール剛性が得られ、ロータス社ではローリング運動抑制のための[[スタビライザー (自動車部品)|スタビライザ]]を廃止している。これらのことからチャップマン式には、通常のマクファーソン・ストラットを駆動輪に用いた場合以上の部品点数削減と軽量化の効果がある。またこの方式では駆動シャフトにスライディングスプラインを持たないため、強い駆動・制動トルクがかかっている状況では、駆動シャフトにスライディングスプラインが必須となる同時代の駆動輪用マクファーソン・ストラット、ダブル・ウィッシュボーン等よりなめらかな上下動が得られるというメリットもある。
 
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=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
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== 関連項目 ==