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'''偶然性の音楽'''(ぐうぜんせいのおんがく、英語: aleatoric music, aleatory music, chance music)は、アメリカの作曲家[[ジョン・ケージ]]が1950年代初頭に創始した[[現代音楽]]の潮流である。alea は[[ラテン語]]でサイコロを意味する。
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==歴史==
===前史===
偶然性の音楽そのものは現代音楽に特有の概念ではない。18世紀にはサイコロを使って作曲するための楽譜がいくつも出版されていたという(土田英三郎「骰子音楽と結合術の伝統」)。[[ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト|モーツァルト]]の「[[音楽のサイコロ遊び]]」が彼の独自性や、(現代音楽につながるような)先駆性を指摘するために引き合いに出されることがあるが、これはモーツァルト以外のこの手の曲が忘れられたためである。[[チャールズ・アイヴズ]]は、「[[ピアノソナタ第1番 (アイヴズ)|ピアノ・ソナタ第1番]]」において偶然性を取り入れている。
 
===ケージの偶然性===
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==管理された偶然性==
 
偶然性の概念は、本来はその対極にあるともいえる[[セリエル音楽|セリー音楽]]にも影響を与えた。セリー音楽の代表的作曲家[[ピエール・ブーレーズ|ブーレーズ]]の「ピアノソナタ第3番」などにその実例が見られる。ブーレーズの場合は曲の細部については偶然によって異なるパターンの演奏が行われ得るが、曲全体の構造や意図は作曲者によってコントロールされているため、「'''管理された偶然性'''」(かんりされたぐうぜんせい、aléatorique controllée(仏語))と呼ばれることがある。
 
ポーランドでは[[ヴィトルド・ルトスワフスキ|ルトスワフスキ]]がこのケージの偶然性に触発されて作風を転換し、オーケストラなどの合奏における奏者ごとに異なるテンポや繰り返しを指定することで、音響における混沌とした効果を得られるアド・リビトゥム手法を取り入れ、終生これを用いた。この手法は[[武満徹]]の[[1960年代]]の管弦楽作品にも影響を与え、前衛の時代には多くの作曲家によって部分的ないし全体的に広く用いられていた。しかし、前衛の最盛期をややすぎた頃からはこのテイストが西洋音楽の伝統と根本的に異なる点が[[ジャン=ピエール・ゲゼック]]などの作曲家によって指摘され、現在ではこの技法を全面的に用いる例はほとんどない。
 
== 参考文献 ==