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== 概要 ==
アトゥムは原初の水「[[ヌン]]」より自らを誕生させ、他の神々を生み出した偉大な造物主である。[[ケプリ]]やラーといった他の太陽神の姿に次々と変じながら昼と夜を旅して[[ドゥアト|冥界]]の悪しき蛇[[アポピス]]と戦うとされた
 
アトゥムは、古代エジプト人たちが最も原初に近い生物として認識していた「蛇」の姿をして誕生した。死を運ぶ忌まわしき存在であり、強力な力を持つ畏怖すべき存在であると同時に脱皮によって無限に死と再生を繰り返す、生命を象徴する存在でもあった。アトゥムは、世界が破滅を迎えヌンの中に帰っていく時、再びの姿をとるとされる。この時、アトゥムを目覚めさせるのが[[トート]]の役目である。
 
基本的には人間の姿をしており、二重王冠を被り、[[アンク]]とウァス杖を手にした姿で描かれる。
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最初の独り神であったため[[自慰]]によって[[大気]]の神[[シュー (エジプト神話)|シュー]]と[[湿気]]の[[女神]][[テフヌト]]を生み、さらにこの2神から大地の神[[ゲブ]]と天空の[[女神]][[ヌト]]が生まれ天地が創造されたとされる。
 
独力で他の神々を生み出したため[[両性具有の存在]]とされる。後年、アトゥムの妻となる存在が与えられたが、この妻「イウサーアス」もしくは「ヘテベト」は、アトゥムと完全に切り離された存在ではなく、アトゥムの身体の一部にして女性的な部分、即ちアトゥムの手」を象徴し、アトゥム「手」一部に神格を与えた存在とされる。
 
また、こうした神話の一方で、アトゥムは「朝、[[ファラオ]]太陽」魂が神になるのを助ける存在として世界を照らす神であると信じ崇められていた。そのため、後には[[太陽神]][[ラー]]と[[習合]]して「'''ラー・アトゥム'''」は、冥界を旅する魂を守る神なっされた。
 
== 信仰 ==
アトゥムは、[[ケプリ]]やラーといった他の太陽神の姿に次々と変じながら、昼と夜を旅して、悪しき蛇「[[アポピス]]」と戦うとされた。
アトゥム信仰は[[下エジプト]]第13ノモスの州都ヘリオポリスで起こったとされる。その成立年代ははっきりしないが、おそらくヘリオポリスが都市としての役割を果たすようになった頃には、既に創造神として崇められていた。他にも[[上エジプト]]第2ノモスの[[エドフ]]など、ナイル川西岸の都市やナイル川下流のデルタ地帯のいくつかの都市で信仰されていた。
 
ヘリオポリスには、太陽神であるアトゥムを象徴する[[ベンベン]]石があり信仰の対象となっていた。アトゥムは、この石の上に立ち世界を照らしたとされる。しかし後にこの石は、ラーや[[アメン]]を象徴することになった。
アトゥム信仰は[[下エジプト]]第13ノモスの州都「ヘリオポリス」で起こったとされる。その成立年代ははっきりしないが、おそらくヘリオポリスが都市としての役割を果たすようになった頃には、既に創造神として崇められていた。他にも[[上エジプト]]第2ノモスの「[[エドフ]]」など、ナイル川西岸の都市や、ナイル川下流のデルタ地帯のいくつかの都市で、信仰されていた。
 
ヘリオポリスにアトゥム信仰は、あらゆる太陽神であるアトゥムを象徴する[[ベンベン]]石があり、信仰の対象とな根底にあていもののアトゥムはこ独自石の上に立ち、世界を照らしたとさ祭礼が行われる。しかし、後にの石、ラーや[[アメン]]を象徴することにった。
 
== ラーとの習合 ==
アトゥム信仰はあらゆる太陽神信仰の根底にあったものの、アトゥム独自の祭礼が行われることはなかった。
アトゥムは、「朝の太陽」として世界を照らす神であるとも信じられていた。そのため後に[[太陽神]][[ラー]]と[[習合]]して「'''ラー・アトゥム'''」となった。
 
これによりラーは、ヘリオポリス神話の最も重要な神と見做されるようになった。中王朝時代になるとアメンがラーと習合することでアトゥムとも同一視されるようになった。
アトゥムは[[ファラオ]]の魂が神になるのを助ける存在としても崇められていた。そのため、後年、アトゥムは冥界を旅する魂を守る神とされた。
 
== 出典 ==