「アメリカ国立公文書記録管理局」の版間の差分

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比較的[[情報公開]]が進んでおり、情報公開を望む市民団体の活動も活発であるアメリカ合衆国であっても、ことNARA所蔵の政府情報は、無料で万人に閲覧され、近年はインターネットで世界中の人間が入手可能であることから、国家の安全や個人のプライバシーを考えて公開には慎重になっている。特に911同時多発テロ後はその傾向が強くなっている。
 
NARA[[公開審査]]部門の法務顧問ゲーリー・スターンによると<sub><ref>[http://www.archives.go.jp/eventpublication/pdfarchives/acv_23_4wp-content/uploads/2015/03/acv_23_p01.pdf 公文書記録の開示及び利用審査 P.8-9]</ref></sub>、NARAでは国民の知る権利と個人のプライバシーのバランスを常に考えている。既に死亡した人間であっても遺族のことを考えて一部公開を控えることもある。また特定できる人物に対して悪口、苦情、品格を落とす下世話な事柄などが含まれている資料も公開を控えている。NARAではテロの脅威がある現在、作成からたとえ何十年経った資料であっても、原子力発電所・ダム・橋・ビルなどの設計書や、兵器開発の研究書類や開発研究者リスト、また9/11調査委員会の資料などは要注意の書類で、簡単に公開すべきでないとしている。一つ一つを見れば公開しても問題がないように思える資料も、大量に収集して組み立てれば容易に全体像が推測できることがある。[[トム・クランシー]]が書く小説の軍事戦略やテクノロジーが非常にリアルであるのは、「情報は探せばある。非公開のものも、公開されているものを分析して点をつないでいけば浮かび上がってくる」からだ、と本人も公言している<sub><ref>[[q:en:Tom_Clancy|ウィキトーク英語版 トム・クランシー]]</ref></sub>。
 
物理的な理由で非公開になることもある。NARAは慢性的な人手不足で膨大な資料を扱っているため、たとえば複写して国家情報やプライバシー侵害部分のみをいちいち塗りつぶして公開するというような手間はかけていられないため、問題のある箇所があれば文書全体を機密扱いにしてしまうこともある。電子的に塗りつぶすことも技術的には可能だが、ハッキングされる恐れを考えると電子マーキングに踏み切れないという<sub><ref>[http://www.archives.go.jp/eventpublication/pdfarchives/acv_23_4wp-content/uploads/2015/03/acv_23_p01.pdf 公文書記録の開示及び利用審査 P.16]</ref></sub>。
 
NARAは議会や大統領からの要請があれば、特定の資料を最優先して公開に向けた審査をしなければならない。例えば[[1992年]]にはハリウッド映画『[[JFK (映画)|JFK]]』のためにわざわざ議会が「ケネディ大統領暗殺記録収集法」法令を作り、迅速に資料収集・機密あるいは公開扱いを決定してNARAに保管することを命じた。[[2000年]]には「日本帝国政府記録公開法」に従って機密審査を行い目録やガイドも発行されている。しかし情報公開を急ぐあまり、NARA所蔵資料全体から見た各資料の関連付けや、シリーズとしての系統的な整理がきちんと行えないまま公開することになり、NARAのアーキビスト達にとって不本意な状態となっている<sub><ref>[http://www.archives.go.jp/eventpublication/pdfarchives/acv_23_4wp-content/uploads/2015/03/acv_23_p01.pdf 公文書記録の開示及び利用審査 p.11-12]</ref></sub>。
 
=== 電子記録の保存 ===