「コタマガイ」の版間の差分

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|科=[[マルスダレガイ科]] {{sname||Veneridae}}
|属= {{snamei|Macridiscus}}
|種='''コタマガイ''' {{snamei|M. aequilateramelanaegis}}
|学名={{snamei|Macridiscus aequilateramelanaegis}}<br/>({{auy|Römer|1860}})<ref name=Romer,1860/>
|和名=コタマガイ
}}
 
'''コタマガイ''' (小玉貝、学名 {{snamei|Macridiscus aequilateramelanaegis}})<ref name=Kong&al.,2012/>、[[二枚貝綱]][[マルスダレガイ科]]に分類される[[二枚貝]]の1種である。
 
西太平洋[[極東]]アジア沿岸[[下部間帯]]から水深60m50m程度の砂底に分布する。殻長70mm程度なる比較的大型の貝。広く食用とされる。
 
== 特徴分布 ==
*日本([[北海道]] - [[九州]])
側面からは[[ハマグリ]]に似た形状であるが、貝が全体に薄く前後に長い。後端はやや切断状、腹縁は厚く、やや張り出しつつ中央付近側面からやや直線状となる。また[[ハマグリ]]に似て、多様な模様、斑紋を持つが、調理等のため加熱したり、古くなった標本などは褐色となる。
*[[朝鮮半島]]
*中国北部([[遼寧省]] - [[江蘇省]])<ref name=Kong&al.,2012/>
 
== 分布形態 ==
近縁種の[[オキアサリ]] {{snamei|Gomphina (Macridiscus) semicancellata}} とは遺伝的に近似しているため、自然環境化で[[雑種]]化することがある<ref>{{Cite journal|和書 |author=田中彌太郎 |date=1979-04-30 |title=出雲砂浜域に発生したコタマガイとオキアサリの中間形について |journal=貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacolog |volume=38 |issue=1 |pages=61-65 |publisher=日本貝類学会 |naid=110004764275 |issn=00423580 }}</ref>。
殻長72mmほど<ref name=Matsukuma,2017/>。側面からは[[ハマグリ]]に似た形状であるが、貝が全体に薄く前後に長い。後端はやや切断状、腹縁は厚く、やや張り出しつつ中央付近側面からやや直線状となる。また殻長後方に弱い放射細肋がある。細かい[[網代模様]]と3本の黒褐色の放射彩があるのが基本<ref name=Matsukuma,2017/>だが、[[アサリ]]や[[ハマグリ]]に似て、多様どと同に個体ごとに色合いや斑紋を持つ異なる。生時には赤みのない黒っぽい色や灰色がかった個体も、調理等のため加熱したり、古くなった標本などは褐色となる。
 
同所的に生息することもある同属の[[オキアサリ]]とよく似ているが、大型個体では殻の輪郭が他の2種が亜三角形なのに対し、コタマガイは卵形に近づくため区別は比較的容易である。一方、殻長1cm-4cm程度の幼貝では両種は酷似するが、幼貝については以下の3形質(それぞれは絶対ではない)の組み合わせで区別可能であるという<ref name=Kong&al.,2012/>。
== 分布 ==
*殻内面の色:コタマガイは通常白い。オキアサリは通常黄色味を帯びる。
西太平洋の潮下部から水深40~60m程度の砂泥底に生息する。
*前背縁:コタマガイは通常僅かに弧抉する(弧状に抉れる)。オキアサリは通常直線的か僅かに弧膨する。
*後背縁の稜:コタマガイは通常稜がない。オキアサリは通常明瞭な稜がある。
また、3mm以下のものではオキアサリには殻頂部に明瞭な放射彫刻があることで区別されるとも言うが、両種は自然環境下で[[雑種]]化することがあるとも言われる<ref name=Tnaka,1979/>。
 
== 生態 ==
日本では東北地方以南に分布する。
[[潮間帯]]から水深50mにかけての砂底に生息する。砂中に潜って生活する埋在性[[ベントス]]で、伸ばした水管から水中のプランクトンなどを取り込んで餌とする[[濾過食]]者である<ref name=Matsukuma,2017/>。
 
== 利用 分類==
;原記載
美味であり、広く食用とされる。[[ハマグリ]]とよく似ているため、かつてハマグリの類似品として流通したことがある。<ref>{{Cite journal|和書 |author= |date=1977-12-15 |url=http://ci.nii.ac.jp/els/contents?id=ART0007498105&type=pdf&host=cinii&lang=jp|foramat=PDF|title=安い"ハマグリ"大もて実は親類コタマガイ |journal=ちりぼたん:日本貝類学会研究連絡誌 |volume=9 |issue=1 |page=18 |publisher=日本貝類学会 |naid= |issn=05779316 }}</ref>
*{{snamei|Venus (Gomphina) melanaegis}} {{auy|Römer|1860}}.<ref name=Romer,1860/> ''Malakozoologische Blätter'' vol. 7, [https://biodiversitylibrary.org/page/15919716 p.157-158].
*タイプ産地:不明
;異名<ref name=Kong&al.,2012/>
*{{snamei|Venus aequilatera}}—Sowerby II, 1853 (not Sowerby, 1825).
*{{snamei|Venus (Gomphina) melanaegis}} Römer, 1860
*{{snamei|Gomphina melanaegis}} (Römer, 1860)
*{{snamei|Gomphina (Macridiscus) melanaegis}} (Römer, 1860)
*{{snamei|Gomphina aequilatera}} (not Sowerby, 1825)
*{{snamei|Gomphina (Macridiscus) veneriformis melanaegis}} (Römer, 1860)
*{{snamei|Gomphina (Macridiscus ) veneriformis}} (not Lamarck, 1818)
;属
20世紀中はフキアゲアサリ属 {{snamei||Gomphina}}や、その亜属としての {{snamei||Macridiscus}} (”オキアサリ亜属”)に分類されていたが、遺伝子解析の結果などから {{snamei|Gomphina}} と {{snamei|Macridiscus}} とは亜科レベルで異なることが判明し、両者は殻の構造なども異なることから {{snamei||Macridiscus}} は {{snamei||Gomphina}} とは直接の類縁のない太平洋西部に固有の独立の属とされるようになった<ref name=Kong&al.,2012/>。
;同属種
{{snamei||Macridiscus}} の種は互いによく似ているため、21世紀初頭まではコタマガイとオキアサリの2種とされたり、全てが同一種とされたりしたが、遺伝子解析や詳細な形態研究の結果から2018年現在は下記の3種に分けられている。
*コタマガイ {{snamei|Macridiscus melanaegis}} (Römer, 1860) 本項
:日本(北海道-九州)、朝鮮半島、中国北部(遼寧省 - 江蘇省)に分布。オキアサリと混生することがある。
*[[オキアサリ]] {{snamei||Macridiscus multifarius}} Kong, Matsukuma & Lutaenko, 2012
:ロシア極東[[ピョートル大帝湾]]、日本([[新潟県]]/[[房総半島]]以南)、朝鮮半島、中国北部(遼寧省 - 江蘇省)に分布。コタマガイと混生することがある。
*{{snamei||Macridiscus semicancellata}} (Koch in Philippi, 1843)
:[[台湾]]、中国南部、[[ベトナム]]に分布。{{snamei|Macridiscus}} のタイプ種だが、オキアサリと混同されていたため、本種をタイプとする本属にも「オキアサリ(亜)属」の和名が与えられた。またコタマガイも含め全てが同一種の種内変異であるとの見解もあったが、21世紀になり別種とされるようになった。コタマガイやオキアサリよりも套線湾入が大きく深いこと、分布域が南方に離れていて重ならないことなどから区別される<ref name=Lutaenko,2010/><ref name=Kong&al.,2012/>。
 
=== 調理例人との関係 ===
===食用===
* 酒蒸し
美味であり、広く食用とされる。1970年代半ばに茨城県や千葉県で大発生した際には、外見が一見[[ハマグリ]]類に似ているため「ハマグリ」として流通し、[[ちり紙交換]]からの転身組を含めた”ゲリラ業者”による移動販売のハマグリ売りが増えたとする新聞記事がある<ref name=Asahi-Chiribotan,1976/>。この記事によれば当時の”ハマグリ”([[チョウセンハマグリ]])が1kg当たり800円であったのに対し、移動販売のコタマガイは1kg当たり250円から300円程度で売られていたという。
===調理例===
* ;酒蒸し
[[File:Sake steamed Gomphina melanegis.jpg|thumb|200px]]
; *材料: コタマガイ(中型)10個、[[日本酒]] 100ml、塩少々
; *調理方法: 貝はよく洗って鍋に入れ、日本酒と少々の塩をふりかけてふたをする。鍋をコンロに乗せて加熱。火は中火で、加熱時間は5分程度。皿に盛って供する。[[ネギ|白髪ネギ]]や[[ミツバ]]、[[ニンニク]]のみじん切りなどを乗せても良い。また、香り付けに軽く醤油をかけても良いが、貝自体に塩味があるため塩辛くなりすぎないように分量に注意する必要がある。
 
===民俗===
四国地方には小袖貝伝説があり、本種は小袖貝と呼ばれる。
 
== 参考文献 ==
* 『学研生物図鑑 貝II:二枚貝・陸貝・イカ・タコほか』 波部忠重、改訂版、学習研究社、1990年3月- ISBN 9784051038557。
 
== 脚注 出典==
<div class= "references-small">
{{脚注ヘルプ}}
{{reflist|refs=
<references />
<ref name=Asahi-Chiribotan,1976>
美味であり、広く食用とされる。[[ハマグリ]]とよく似ているため、かつてハマグリの類似品として流通したことがある。<ref>{{Cite journal|和書 |author=無記名 |date=19771976-122-1520 |url=http://ci.nii.ac.jp/els/contents?id=ART0007498105&type=pdf&host=cinii&lang=jp|foramat=PDF|title=安い"ハマグリ"大もて 実は親類コタマガイ(朝日新聞1975年11月5日付記事の要約紹介) |journal=ちりぼたん: 日本貝類学会研究連絡誌 |volume=9 |issue=1 |page=18 |publisher=日本貝類学会 |naid= |issn=05779316 }}</ref>
 
<ref name=Kong&al.,2012>
{{cite journal |author=Kong, L. |author2=Matsukuma, A. |author3=Hayashi, I. |author4=Takada, Y. |author5=Li, Qi |date=2012 |title=Taxonomy of ''Macridiscus'' species (Bivalvia:Veneridae) from the western Pacific: insight based on molecular evidence, with description of a new species |journal=Journal of Molluscan Studies |voume=78 |issue= |pages=1-11 |doi=10.1093/mollus/eyr024}}</ref>
 
<ref name=Lutaenko,2010>
{{cite journal |author=Lutaenko, K.A. |date=2001 |title=Taxonomic review of the species of ''Gomphina'' (Macridiscus) (Bivalvia: Veneridae) from the Western Pacific Ocean |journal=Phuket Marine Biological Center Special Publication |volume=25|pgaes=465–486}}</ref>
 
<ref name=Matsukuma,2017>
{{Cite book |author =[[松隈明彦]] |year=2017 |title =''マルスダレガイ科 (p.581-589 [pls.537-545], 1241-1250) in [[奥谷喬司]](編著) 日本近海産貝類図鑑 第二版''|publisher =[[東海大学出版会|東海大学出版部]] |pages =1375 ('''p.687 [pl.543 fig.5], 1248''') |isbn =978-4486019848 }}</ref>
 
<ref name=Romer,1860>
{{cite journal |author=Römer Eduard |title=Beschreibung neuer Venus-Arten |journal=Malakozoologische Blätter |date=1860 |volume=7 |issue= ||pages=148-165}}</ref>
 
<ref name=Tnaka,1979>
近縁種の[[オキアサリ]] {{snamei|Gomphina (Macridiscus) semicancellata}} とは遺伝的に近似しているため、自然環境化で[[雑種]]化することがある<ref>{{Cite journal|和書 |author=田中彌太郎 |date=1979-04-30 |title=出雲砂浜域に発生したコタマガイとオキアサリの中間形について |journal=貝類学雑誌 Venus : the Japanese journal of malacolog |volume=38 |issue=1 |pages=61-65 |publisher=日本貝類学会 |naid=110004764275 |issn=00423580 }}</ref>
}}
 
{{DEFAULTSORT:こたまかい}}
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