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|装甲 =
|搭載機 = 計画 [[九五式水上偵察機]]常用x24機、補用x4機<br/>呉式二号五型[[カタパルト|射出機]]x4基<ref name="写真日本の軍艦第4巻p164">[[#写真日本の軍艦第4巻]]p.164</ref><br/>リフト（7x11.2m）
|搭載艇 = 11m[[装載艇|内火艇]]x2隻、（推定）12m内火ランチx2隻、8m発動機付ランチx2隻、9m救命艇x2隻、（推定）6m通船x1隻<ref group="注釈">[[#海軍艦艇公式図面集]]pp.112-115、
|C4I = <!--戦術情報処理装置やデータ・リンク装置など-->
|レーダー =
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'''航空母艦改装後については「[[千歳型航空母艦]]」を参照。'''
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=== 水上機母艦 ===▼
[[1933年]]、後に甲標的となる対潜爆撃標的（以後は甲標的と表記）搭載艦を設計していたが、以下の点を考慮することになった<ref name="海軍造船技術概要p747">[[#海軍造船技術概要]]p.747</ref>。▼
* 兼水上機母艦▼
* 兼高速給油艦▼
* 必要により[[艦上機]]の帰着[[甲板]]を設置できること▼
* 必要により航空母艦に改造できること▼
甲標的は[[軍事機密|軍機]]扱いであったので、平時の艦種は水上機母艦とした<ref name="海軍造船技術概要p747" />。▼
軍令部の要求は<ref name="海軍造船技術概要p747" />▼
* 基準排水量：8,000英トン▼
* 速力：20ノット▼
* 航続距離：8,000海里/16ノット▼
* 兵装：[[四十口径八九式十二糎七高角砲|12.7cm連装高角砲]]x2基4門、[[九六式二十五粍高角機銃|25mm連装機銃]]x6基12丁▼
* 搭載機：[[八試水上偵察機|八試水偵]]x24機（連続射出可能なこと）▼
* 搭載物資：補給用重油x5,000トン、甲標的x12機（この場合、水偵は減少しても良い）▼
[[ロンドン海軍軍縮条約]]により速力は20ノットに抑えられていた。水上機母艦もしくは高速給油艦としては20ノットで十分と考えられたが、甲標的母艦、また、空母改造の際は30ノットが必要とされた<ref name="海軍造船技術概要pp747-748">[[#海軍造船技術概要]]pp.747-748</ref>。▼
1934年3月12日に水雷艇が転覆する[[友鶴事件]]が発生し、[[復原性]]を考慮した結果、最終的には速力29ノット、補給用重油は大きく減じ1,600トンとしてまとめられた<ref name="海軍造船技術概要p748">[[#海軍造船技術概要]]p.748</ref>。空母への改造は格納庫の設置、[[バルジ]]装着、[[煙突]]の処理などの大改造となるため、[[エンジン|主機]]の選定で考慮したのみでその計画は後日とされた<ref name="海軍造船技術概要p753">[[#海軍造船技術概要]]p.753</ref>。▼
[[1934年]]、第二次海軍軍備補充計画（通称[[マル2計画]]）で千歳型水上機母艦2隻の建造は決定された。それまでの水上機母艦は他艦種からの改装艦で賄われており、本艦型が日本海軍史上初の新造水上機母艦である。千歳型は単なる水上機母艦ではなく、[[甲標的]]が実用化された時にその母艦として改装するという特殊な目的を持った艦であった。本艦型2隻の他、マル2計画で建造の「[[瑞穂 (水上機母艦)|瑞穂]]」<ref name="写真日本の軍艦第4巻p163">[[#写真日本の軍艦第4巻]]p.163</ref>、[[マル3計画]]で当初は[[敷設艦|高速敷設艦]]とされた「[[日進 (水上機母艦)|日進]]」は何れも同じ目的であった<ref name="写真日本の軍艦第4巻p165">[[#写真日本の軍艦第4巻]]p.165</ref>。▼
当初計画では第1状態は水上機母艦として[[水上機]]24機を搭載。[[補給艦|給油艦]]として[[重油]]2,750トンを他艦に[[補給]]可能。速力は29[[ノット]]であった。第2状態は甲標的12隻を搭載。水上機は12機、補給用重油は1,000トンとした状態だった。両艦とも第1状態で竣工。[[1938年|昭和13年]]、「千歳」「千代田」の2艦は竣工。水上機母艦として中国方面へ支援に出勤した。▼
[[1940年]]-[[1941年]]にかけ、千代田は第2状態である[[甲標的]]母艦に改装された<ref name="日本航空母艦史p125下">[[#日本航空母艦史]]p.125下の写真とその解説</ref>。「千歳」も同様の改装を施す予定だったが、結局改装されなかった<ref name="写真日本の軍艦第4巻p164">[[#写真日本の軍艦第4巻]]p.164</ref>。これは[[1942年|昭和17年]]の写真からも、その行動からも明らかである<ref name="写真日本の軍艦第4巻p165" />。▼
1941年12月、[[太平洋戦争]]が開始。開戦時の段階では航空母艦改装は考慮されておらず<ref name="日本の航空母艦パーフェクトガイドp120">[[#日本の航空母艦パーフェクトガイド]]p.120。1939年時の『戦時艦船飛行機搭載標準』（日本海軍の艦載機の搭載予定リスト）には、[[新田丸級貨客船|新田丸級]]、[[橿原丸級貨客船|橿原丸級]]、[[龍鳳 (空母)|大鯨]]などは航空母艦改装前ながら、空母として扱われているが、千歳、千代田の両艦は水上機母艦のままである</ref>、[[1939年|昭和14年]]時には新開発の「[[十二試二座水上偵察機]]」を1隻当たり18機を搭載する計画があった<ref name="日本の航空母艦パーフェクトガイドp120" />。他の水上機母艦、[[重巡洋艦]]搭載の機と合わせて計84機の水上[[爆撃機]]隊を編成し、水上機母艦のままで攻撃空母として使用される予定だったのではないかとする推定もある<ref name="日本の航空母艦パーフェクトガイドp121">[[#日本の航空母艦パーフェクトガイド]]p.121</ref>。開戦後は千歳は引き続き水上機母艦として運用、千代田は甲標的母艦としてその運搬などに当たった。▼
1942年6月、2隻ともミッドウェー攻略作戦に参加する予定であったが、[[ミッドウェー海戦]]の敗北を受けて中止になった。[[ミッドウェー海戦]]で日本は正規空母4隻を失ったため、「[[あるぜんちな丸#初代|あるぜんちな丸]]」「[[ぶらじる丸#ぶら志゛る丸|ぶらじる丸]]」「[[神鷹 (空母)|シャルンホルスト号]]」らとともに、千歳型水上機母艦2隻も空母改装予定艦となり、[[1942年]]末から工事に入った<ref name="日本の航空母艦パーフェクトガイドp121" />。1943年末には完成した。▼
▲== 水上機母艦 ==
=== 船体 ===▼
船体は平甲板型で<ref name="日本航空母艦史p123上">[[#日本航空母艦史]]p.123上の写真とその解説</ref>、乾舷が高く直線的な船体をしている<ref name="写真日本の軍艦第4巻p139上">[[#写真日本の軍艦第4巻]]p.139上の写真解説</ref>。また、復原性確保のためバルジを装着した<ref name="日本航空母艦史p123下">[[#日本航空母艦史]]p.123下の写真とその解説</ref>。
2隻とも[[呉海軍工廠]]の建造艦で、両者に外見上の違いはほとんど無い<ref name="日本航空母艦史p124中">[[#日本航空母艦史]]p.124中の写真解説</ref>。わずかに蒸気捨管の配置や舷窓配置に違いが見られるだけという<ref name="日本航空母艦史p124中" />。ただ、構造上、「千代田」は[[第四艦隊事件]]の教訓により上甲板が補強され、上甲板には厚[[鋼板]]が用いられた<ref name="海軍造船技術概要p754">[[#海軍造船技術概要]]p.754</ref>。
艦上機の帰着甲板として長さ100m、幅20mが最小限の大きさとして要求された<ref name="海軍造船技術概要p752">[[#海軍造船技術概要]]p.752</ref>。構造物の設計研究のために実際に作ってみることにしたが<ref name="写真日本の軍艦第4巻p163" />、復原性の観点から長さを40m弱とし、甲板上に[[九六式二十五粍高角機銃|25mm機銃]]、[[サーチライト|探照燈]]などを搭載して機銃甲板と称した<ref name="日本航空母艦史p125中" />。後述するように、帰着甲板の下に[[甲標的]]積み込み用ハッチが設けられたため、帰着甲板は甲標的積み込みに必要な高さとされた<ref name="海軍造船技術概要p752" />。▼
=== 搭載機 ===▼
対空兵装は以下の通り。[[主砲]]として
[[九五式水上偵察機]]24機、同補用4機を搭載する計画だった<ref name="海軍造船技術概要pp761-762" />。甲板には運搬軌条3条が前後に走っており、後部[[カタパルト|射出機]]の内側には艦内の格納庫から水偵を上げるリフトが装備された<ref name="写真日本の軍艦第4巻p163" />。連続射出可能とするため、上甲板の駐機スペースを広く取り、射出機4基を備えて30分間で連続射出可能とされた<ref name="海軍造船技術概要p751">[[#海軍造船技術概要]]p.751</ref>。ただし、上甲板に並べられる水偵は20機程度で24機を並べるためには艦を更に大きくする必要があったため、断念された<ref name="海軍造船技術概要p751" />。
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実際の運用では[[1938年]]10月時に「千歳」は8機を搭載<ref>[[#日本航空母艦史]]p.124上写真の解説</ref>、中国進出時の「[[千代田 (空母)|千代田]]」は9機を搭載といわれる<ref name="写真日本の軍艦第4巻p142上">[[#写真日本の軍艦第4巻]]p.142上の写真解説</ref>。機種としては九五式水上偵察機以外では、千歳の公試時の写真では[[九四式水上偵察機|九四式一号水上偵察機]]を搭載<ref name="写真日本の軍艦第4巻p130上">[[#写真日本の軍艦第4巻]]p.130上の写真及び解説</ref>、[[1940年]]頃の千代田は九四式二号水上偵察機の搭載も確認される<ref name="日本航空母艦史p125中"/>。また、[[ミッドウェー海戦]]の頃の千歳の写真では[[零式観測機]]と[[零式水上偵察機]]を搭載している<ref name="写真日本の軍艦第4巻p135下">[[#写真日本の軍艦第4巻]]p.135下の写真及び解説</ref>。
▲艦上機の帰着甲板として長さ100m、幅20mが最小限の大きさとして要求された<ref name="海軍造船技術概要p752">[[#海軍造船技術概要]]p.752</ref>。構造物の設計研究のために実際に作ってみることにしたが<ref name="写真日本の軍艦第4巻p163" />、復原性の観点から長さを40m弱とし、甲板上に[[九六式二十五粍高角機銃|25mm機銃]]、[[サーチライト|探照燈]]などを搭載して機銃甲板と称した<ref name="日本航空母艦史p125中" />。後述するように、帰着甲板の下に[[甲標的]]積み込み用ハッチが設けられたため、帰着甲板は甲標的積み込みに必要な高さとされた<ref name="海軍造船技術概要p752" />。
▲[[主砲]]としては[[四十口径八九式十二糎七高角砲|12.7cm連装高角砲]]2基を[[船首|艦首]]に背負式に搭載した<ref name="写真日本の軍艦第4巻p129">[[#写真日本の軍艦第4巻]]p.129の写真</ref>。[[対空砲|対空]][[機関砲|機銃]]は計画通り[[九六式二十五粍高角機銃|25mm連装機銃]]6基を搭載。[[艦橋]]の前方に1基、左右に1基ずつ、残り3基は帰着甲板（機銃甲板）の後方に装備した<ref name="写真日本の軍艦第4巻p163艦型図">[[#写真日本の軍艦第4巻]]p.163の艦型図</ref>。
▲=== 機関 ===
千歳型は、上記のように高速給油艦の任務も考慮されていたことから、自艦の燃料消費を抑えて補給用重油の搭載量を増す必要があった<ref name="海軍造船技術概要p753" />。また、甲標的母艦としては速力29ノットが要求されたため、主機は[[ディーゼルエンジン|ディーゼル]]と[[ガスタービンエンジン|タービン]]の併用が採用された<ref name="海軍造船技術概要p753" />。全力運転での出力56,800[[馬力]]のうちタービンは1基22,000馬力、ディーゼルは1基6,400馬力を受け持ち、[[流体継手|フルカン・ギア]]で接続した<ref name="海軍造船技術概要pp1685-1686" />。
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ボイラー用の[[煙突]]は艦内で前方に曲げ、前部[[マスト]]の直後に設置した<ref name="公式図-艦内側面">[[#海軍艦艇公式図面集]]pp.112-113下、『18、 水上機母艦・千代田 昭和14年 艦内側面』</ref>。缶室（ボイラー室）直上の上[[甲板]]は搭載機用のスペースとなっている<ref name="公式図-艦内側面" />。一方、ディーゼルの排気筒は帰着甲板の後部支柱まで導いた<ref name="写真日本の軍艦第4巻p130下">[[#写真日本の軍艦第4巻]]p.130下の写真、及び同p.131の写真解説</ref>。
=== 甲標的母艦 ===
改装後の差異は以下の通り。総重量約42トンの甲標的を搭載するため、帰着甲板の支柱部分を使い片舷40トンと20トンのクレーンを1基ずつ設置して1組とし、両舷より搭載できるようにした<ref name="海軍造船技術概要p749">[[#海軍造船技術概要]]p.749</ref>。平時にはこのクレーンは[[装載艇|艦載艇]]揚収用に使用した<ref name="海軍造船技術概要p751" />。また、帰着甲板下の上甲板に甲標的が搭載できる大きさの艙口（ハッチ）を設け艦内に収容、艙口にはマカンキン式に近い蓋を設けた<ref name="海軍造船技術概要p749" />。艦内の格納庫の艦尾部分には進水口は設けられなかったが、甲標的母艦に改造した際には容易に改造できるよう考慮された<ref name="海軍造船技術概要p751" />。<!-- 艦尾の平面形状もそれを考慮して平坦部のある形状になっている。-->甲標的の取り扱いを考えると格納庫の甲板高さは水面近くが良いが、格納庫への浸水防止も考慮して、水面上約1mとした<ref name="海軍造船技術概要p750">[[#海軍造船技術概要]]p.750</ref>。また、万が一に格納庫に浸水した際もGM値が適正な値になるよう考慮された<ref name="海軍造船技術概要p750" />。▼
▲総重量約42トンの甲標的を搭載するため、帰着甲板の支柱部分を使い片舷40トンと20トンのクレーンを1基ずつ設置して1組とし、両舷より搭載できるようにした<ref name="海軍造船技術概要p749">[[#海軍造船技術概要]]p.749</ref>。平時にはこのクレーンは[[装載艇|艦載艇]]揚収用に使用した<ref name="海軍造船技術概要p751" />。また、帰着甲板下の上甲板に甲標的が搭載できる大きさの艙口（ハッチ）を設け艦内に収容、艙口にはマカンキン式に近い蓋を設けた<ref name="海軍造船技術概要p749" />。艦内の格納庫の艦尾部分には進水口は設けられなかったが、甲標的母艦に改造した際には容易に改造できるよう考慮された<ref name="海軍造船技術概要p751" />。<!-- 艦尾の平面形状もそれを考慮して平坦部のある形状になっている。-->甲標的の取り扱いを考えると格納庫の甲板高さは水面近くが良いが、格納庫への浸水防止も考慮して、水面上約1mとした<ref name="海軍造船技術概要p750">[[#海軍造船技術概要]]p.750</ref>。また、万が一に格納庫に浸水した際もGM値が適正な値になるよう考慮された<ref name="海軍造船技術概要p750" />。
艦内の水偵用格納庫を改造し、[[甲標的]]移動用に軌条4組に3隻ずつ並べ計12隻を搭載、電動[[ウインチ]]で移動させ、艦尾に設けた2個のトンネルを通り甲標的を発進させた<ref name="高橋治夫1989">高橋治夫「千歳型の特殊潜航艇発進設備」[[#写真日本の軍艦第4巻]]pp.138-139</ref>。速力20ノットとして甲標的を100秒間隔で発進、1回につき6隻を発進させ、計2回で12隻全部を発進させる予定だった<ref name="高橋治夫1989" />。2回に分けたのは外側の軌条は直接開口に繋がっておらず、内側の6隻が発進した後に外側の甲標的を内側に移動させる必要があるからである<ref name="高橋治夫1989" />。また、[[艦橋]]トップに甲標的[[指揮 (軍事)|指揮]]塔を設けた<ref name="日本航空母艦史p125下" />。搭載機は12機とし、[[カタパルト|射出機]]も2基に減らされ、リフトは使用されなかった<ref name="海軍造船技術概要pp761-762" />。
改装時に変更された要目
* 排水量：基準不明、公試12,350トン、満載13,000トン<ref name="海軍造船技術概要pp761-762" />
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* 甲標的：12基<ref name="海軍造船技術概要pp761-762" />
* 補給用重油：1,000トン<ref name="海軍造船技術概要pp761-762" />
▲[[1933年]]、後に甲標的となる対潜爆撃標的（以後は甲標的と表記）搭載艦を設計していたが、以下の点を考慮することになった<ref name="海軍造船技術概要p747">[[#海軍造船技術概要]]p.747</ref>。
▲* 兼水上機母艦
▲* 兼高速給油艦
▲* 必要により[[艦上機]]の帰着[[甲板]]を設置できること
▲* 必要により航空母艦に改造できること
▲甲標的は[[軍事機密|軍機]]扱いであったので、平時の艦種は水上機母艦とした<ref name="海軍造船技術概要p747" />。
▲軍令部の要求は<ref name="海軍造船技術概要p747" />
▲* 基準排水量：8,000英トン
▲* 速力：20ノット
▲* 航続距離：8,000海里/16ノット
▲* 兵装：[[四十口径八九式十二糎七高角砲|12.7cm連装高角砲]]x2基4門、[[九六式二十五粍高角機銃|25mm連装機銃]]x6基12丁
▲* 搭載機：[[八試水上偵察機|八試水偵]]x24機（連続射出可能なこと）
▲* 搭載物資：補給用重油x5,000トン、甲標的x12機（この場合、水偵は減少しても良い）
▲[[ロンドン海軍軍縮条約]]により速力は20ノットに抑えられていた。水上機母艦もしくは高速給油艦としては20ノットで十分と考えられたが、甲標的母艦、また、空母改造の際は30ノットが必要とされた<ref name="海軍造船技術概要pp747-748">[[#海軍造船技術概要]]pp.747-748</ref>。
▲1934年3月12日に水雷艇が転覆する[[友鶴事件]]が発生し、[[復原性]]を考慮した結果、最終的には速力29ノット、補給用重油は大きく減じ1,600トンとしてまとめられた<ref name="海軍造船技術概要p748">[[#海軍造船技術概要]]p.748</ref>。空母への改造は格納庫の設置、[[バルジ]]装着、[[煙突]]の処理などの大改造となるため、[[エンジン|主機]]の選定で考慮したのみでその計画は後日とされた<ref name="海軍造船技術概要p753">[[#海軍造船技術概要]]p.753</ref>。
▲[[1934年]]、第二次海軍軍備補充計画（通称[[マル2計画]]）で千歳型水上機母艦2隻の建造は決定された。それまでの水上機母艦は他艦種からの改装艦で賄われており、本艦型が日本海軍史上初の新造水上機母艦である。千歳型は単なる水上機母艦ではなく、[[甲標的]]が実用化された時にその母艦として改装するという特殊な目的を持った艦であった。本艦型2隻の他、マル2計画で建造の「[[瑞穂 (水上機母艦)|瑞穂]]」<ref name="写真日本の軍艦第4巻p163">[[#写真日本の軍艦第4巻]]p.163</ref>、[[マル3計画]]で当初は[[敷設艦|高速敷設艦]]とされた「[[日進 (水上機母艦)|日進]]」は何れも同じ目的であった<ref name="写真日本の軍艦第4巻p165">[[#写真日本の軍艦第4巻]]p.165</ref>。
▲当初計画では第1状態は水上機母艦として[[水上機]]24機を搭載。[[補給艦|給油艦]]として[[重油]]2,750トンを他艦に[[補給]]可能。速力は29[[ノット]]であった。第2状態は甲標的12隻を搭載。水上機は12機、補給用重油は1,000トンとした状態だった。両艦とも第1状態で竣工。[[1938年|昭和13年]]、「千歳」「千代田」の2艦は竣工。水上機母艦として中国方面へ支援に出勤した。
▲[[1940年]]-[[1941年]]にかけ、千代田は第2状態である[[甲標的]]母艦に改装された<ref name="日本航空母艦史p125下">[[#日本航空母艦史]]p.125下の写真とその解説</ref>。「千歳」も同様の改装を施す予定だったが、結局改装されなかった<ref name="写真日本の軍艦第4巻p164">[[#写真日本の軍艦第4巻]]p.164</ref>。これは[[1942年|昭和17年]]の写真からも、その行動からも明らかである<ref name="写真日本の軍艦第4巻p165" />。
▲1941年12月、[[太平洋戦争]]が開始。開戦時の段階では航空母艦改装は考慮されておらず<ref name="日本の航空母艦パーフェクトガイドp120">[[#日本の航空母艦パーフェクトガイド]]p.120。1939年時の『戦時艦船飛行機搭載標準』（日本海軍の艦載機の搭載予定リスト）には、[[新田丸級貨客船|新田丸級]]、[[橿原丸級貨客船|橿原丸級]]、[[龍鳳 (空母)|大鯨]]などは航空母艦改装前ながら、空母として扱われているが、千歳、千代田の両艦は水上機母艦のままである</ref>、[[1939年|昭和14年]]時には新開発の「[[十二試二座水上偵察機]]」を1隻当たり18機を搭載する計画があった<ref name="日本の航空母艦パーフェクトガイドp120" />。他の水上機母艦、[[重巡洋艦]]搭載の機と合わせて計84機の水上[[爆撃機]]隊を編成し、水上機母艦のままで攻撃空母として使用される予定だったのではないかとする推定もある<ref name="日本の航空母艦パーフェクトガイドp121">[[#日本の航空母艦パーフェクトガイド]]p.121</ref>。開戦後は千歳は引き続き水上機母艦として運用、千代田は甲標的母艦としてその運搬などに当たった。
▲1942年6月、2隻ともミッドウェー攻略作戦に参加する予定であったが、[[ミッドウェー海戦]]の敗北を受けて中止になった。[[ミッドウェー海戦]]で日本は正規空母4隻を失ったため、「[[あるぜんちな丸#初代|あるぜんちな丸]]」「[[ぶらじる丸#ぶら志゛る丸|ぶらじる丸]]」「[[神鷹 (空母)|シャルンホルスト号]]」らとともに、千歳型水上機母艦2隻も空母改装予定艦となり、[[1942年]]末から工事に入った<ref name="日本の航空母艦パーフェクトガイドp121" />。1943年末には完成した。
== 同型艦 ==
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