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|名称 = 馬力(仏馬力)
|英字 = {{lang|en|horsepower}}
|記号 = PS, ps(PS(仏馬力)<br />HP, hp, ㏋(英馬力)
|単位系 = [[メートル法]][[重量単位系]](仏馬力)<br />[[ヤードポンド法]]重量単位系(英馬力)
|物理量 = [[仕事率]]、[[工率]]
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|画像 = [[File:Horse....Carriage....Cell Phone? (1035544976).jpg|250px|荷役馬]]<br />荷役馬。当初の1馬力。
}}
'''馬力'''(ばりき)は[[仕事率]]、[[工率]]の[[物理単位|単位]]である。名前の通り、元々は[[ウマ|馬]]一頭が発揮する仕事率を1馬力と定めたものであった。今日では、[[ヤード・ポンド法]]に基づく'''英馬力'''、[[メートル法]]に基づく'''仏馬力'''を始めとして、馬力の定義はいくつかある。[[国際単位系]] (SI) における仕事率、工率の単位は[[ワット]] (W) であり、馬力は[[SI併用単位|併用単位]]にもなっていない。
 
'''馬力'''(ばりき)は[[仕事率]]、[[工率]]の[[物理単位|単位]]である。名前の通り、元々は[[ウマ|馬]]一頭が発揮する仕事率を1馬力と定めたものであった。今日では、[[ヤード・ポンド法]]に基づく'''英馬力'''、[[メートル法]]に基づく'''仏馬力'''を始めとして、馬力の定義はいくつかある。[[国際単位系]] (SI) における仕事率、工率日本単位計量法で[[ワット]] (W) であり'''仏馬力は[[SI併用単位|併用単位]]'''を特例的もなっ当分の間のみ認めており、 正確に 735.5 ワットと定義していない
1馬力は[[輓馬]](荷を引く馬)が継続的に荷を引っ張る際の仕事率を基準にしており、単純に「馬の最高出力=1馬力」を表すわけではない<ref name="koudan">講談社1983年刊『大辞典』1,275頁</ref>。全力で加速している[[サラブレッド]]は、実際には数十馬力もの脚力を出しており、人間でも100メートル走などにおける瞬間的な最大出力では1馬力程度の力を出すことができる。
 
[[国際単位系]] (SI) における仕事率、工率の単位は[[ワット]] (W) であり、馬力は[[SI併用単位|併用単位]]にもなっていない。
 
== 由来 ==
名前の通り、元々は[[ウマ|馬]]一頭が発揮する仕事率を1馬力と定めたものであった。1馬力は[[輓馬]](荷を引く馬)が継続的に荷を引っ張る際の仕事率を基準にしており、単純に「馬の最高出力=1馬力」を表すわけではない<ref name="koudan">講談社1983年刊『大辞典』1,275頁</ref>。全力で加速している[[サラブレッド]]は、実際には数十馬力もの脚力を出しており、人間でも100メートル走などにおける瞬間的な最大出力では1馬力程度の力を出すことができる。
 
== 英馬力 ==
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== 仏馬力 ==
 
仏馬力は、メートル法([[重力単位系]])に基づいて、英馬力の値に近づけながらも可能な限り簡素な数値によって定義したものである。メートル法がフランス発祥であることから仏馬力と呼ばれる。その定義は、「1秒間につき75[[重量キログラム]] (kgf) の重量を1[[メートル]]動かすときの仕事率」(75 kgf&middot;m/s) となる。ワットで表すと、1仏馬力は 735.498 75 ワットである。ただし、日本の計量法では、1仏馬力= (正確に)735.5 ワットである(計量単位令第11条第2項)。
 
こういう数値になった経緯は、英馬力から仏馬力を決めたことにある。ft&middot;lbf ≒ 0.013 8255であり、550フィート・重量ポンド/秒が1英馬力である。それをメートル法に換算すると 550 lbf&middot;ft/s ≒ 76.040 225 kgf&middot;m/sとなる。この数字をもとに、きりのいい 75 kgf&middot;m/s がフランス馬力とされた。
 
このため英馬力と仏馬力は等しくなく(英馬力>仏馬力)、1 仏馬力 (PS) = 約 0.986 32 英馬力 (HP) である。
 
=== 記号 ===
{|class="wikitable" align="right"
|-
!言語 !! 呼称 !! 記号
|-
|{{Flagicon|JPN}}[[日本語]] || {{lang|jp|馬力}} || rowspan="2"| PS<ref>[http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=404M50000400080#96 計量単位規則 別表第7]</ref>
|-
|{{Flagicon|DEU}}[[ドイツ語]] || {{lang|de|Pferdestärke}}
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|{{Flagicon|NLD}}[[オランダ語]] || {{lang|nl|paardenkracht}} || pk
|}
仏馬力は、メートル法([[重力単位系]])に基づいて、英馬力の値に近づけながらも可能な限り簡素な数値によって定義したものである。メートル法がフランス発祥であることから仏馬力と呼ばれる。その定義は、「1秒間につき75[[重量キログラム]] (kgf) の重量を1[[メートル]]動かすときの仕事率」(75 kgf&middot;m/s) となる。ワットで表すと、1仏馬力は 735.498 75 ワットである。ただし、日本の計量法では、1仏馬力= (正確に)735.5 ワットである(計量単位令第11条第2項)。
 
記号は、[[ドイツ語]]のPferdestärke(馬の力)の頭文字の、PS または ps がヨーロッパで使われるほか、表のような各国固有の記号も使われる。
こういう数値になった経緯は、英馬力から仏馬力を決めたことにある。ft&middot;lbf ≒ 0.013 8255であり、550フィート・重量ポンド/秒が1英馬力である。それをメートル法に換算すると 550 lbf&middot;ft/s ≒ 76.040 225 kgf&middot;m/sとなる。この数字をもとに、きりのいい 75 kgf&middot;m/s がフランス馬力とされた。
 
このため英馬力と仏馬力は等しくなく(英馬力>仏馬力)、1 仏馬力 (PS) = 約 0.986 32 英馬力 (HP) である。
 
== 日本における馬力の位置づけ ==
記号は、[[ドイツ語]]のPferdestärke(馬の力)の頭文字の、PS または ps がヨーロッパで使われるほか、表のような各国固有の記号も使われる。日本では、計量単位規則第2条第2項第2号と別表第7により馬力(仏馬力)の記号は大文字の「PS」のみが使用できる<ref>[http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H04/H04F03801000080.html 計量単位規則 (平成4年11月30日通商産業省令第80号)]</ref>。
=== 計量法(現行) ===
{{-}}
1999年施行の新[[計量法]]では日本馬力は廃止され、仏馬力のみを暫定的に採用した。すなわり[[計量法]]附則第6条と[[計量単位令]]第11条は、「仏馬力は、[[内燃機関]]に関する[[取引]]又は[[証明]]その他の[[政令]]で定める取引又は証明(=[[外燃機関]]に関する取引又は証明)に用いる場合にあっては、当分の間、[[仕事率|工率]]の[[法定計量単位]]とみなす。」とし<ref>[http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=404AC0000000051#1028 計量法 附則6条] 第六条 仏馬力は、内燃機関に関する取引又は証明その他の政令で定める取引又は証明に用いる場合にあっては、当分の間、工率の法定計量単位とみなす。 2 仏馬力の定義は、政令で定める。</ref>、計量単位令第11条第2項は、1仏馬力 = (正確に)735.5ワットと定義している<ref>[http://lawelaws.e-gov.go.jp/cgi-binsearch/idxselect.cgielawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?IDX_OPTlawId=1&H_NAME=%8c%76%97%ca%92%404CO0000000357#50%88%ca%97%df&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=H04SE357&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1 計量単位令 (平成4年11月18日政令第357号)] 第11条] 第2項 法附則第六条第二項の政令で定める仏馬力の定義は、ワットの七百三十五・五倍とする。</ref>。
 
これは、新計量法がSIを全面的に導入するために制定されたものであり、本来であればSI組立単位であるワットを使うべきであるが、馬力がいまだに広く使われており、これを廃止すると混乱を招くために移行措置として当分の間、暫定的に使用を認めているものである。今日でも、[[レシプロエンジン]]の出力表示にはキロワット (kW) とともに馬力(仏馬力)が併記されることがある。
== 日本における馬力の位置づけ ==
日本の旧計量法では、1馬力は英馬力とも仏馬力とも違い、仏馬力をベースに重力加速度を(正確に)10m/s<sup>2</sup>として計算した750ワットとしていた。これを'''日本馬力'''と呼んでいたことがある。
 
特に[[自動車]]用エンジンについては、キロワット (kW)表示は新計量法導入から15年以上経過した現在においても、個人ユーザーから事業者レベルに至るまでほとんど浸透しておらず、カタログにはkWを主として、依然としてPSが併記されている。これにはkW表記よりもPS表記のほうが見かけ上の数値が大きいことも影響していると考えられる{{要出典|date=2016年4月}}。
1999年施行の新[[計量法]]では日本馬力は廃止され、仏馬力のみを採用した。[[計量法]]附則第6条と[[計量単位令]]第11条は、「仏馬力は、[[内燃機関]]に関する[[取引]]又は[[証明]]その他の[[政令]]で定める取引又は証明(=[[外燃機関]]に関する取引又は証明)に用いる場合にあっては、当分の間、[[仕事率|工率]]の[[法定計量単位]]とみなす。」とし、計量単位令第11条第2項は、1仏馬力 = (正確に)735.5ワットと定義している<ref>[http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%8c%76%97%ca%92%50%88%ca%97%df&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=H04SE357&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1 計量単位令 (平成4年11月18日政令第357号)]第11条第2項 「法附則第六条第二項の政令で定める仏馬力の定義は、ワットの七百三十五・五倍とする。」</ref>。
 
=== 記号 ===
これは、新計量法がSIを全面的に導入するために制定されたものであり、本来であればSI組立単位であるワットを使うべきであるが、馬力がいまだに広く使われており、これを廃止すると混乱を招くために移行措置として使用を認めているものである。今日でも、[[レシプロエンジン]]の出力表示にはキロワット (kW) とともに馬力(仏馬力)が併記されることがある。
日本における仏馬力の単位記号は、PS である<ref>[http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=404M50000400080#96 計量単位規則 別表第7] 第2条第2項第2号による。</ref>。小文字の ps は用いることができない。
 
=== 過去の経緯 ===
特に[[自動車]]用エンジンについては、キロワット (kW)表示は新計量法導入から15年以上経過した現在においても、個人ユーザーから事業者レベルに至るまでほとんど浸透しておらず、カタログにはkWを主として、依然としてPSが併記されている。これにはkW表記よりもPS表記のほうが見かけ上の数値が大きいことも影響していると考えられる{{要出典|date=2016年4月}}。
日本の旧計量法では、1馬力は英馬力とも仏馬力とも違い、仏馬力をベースに重力加速度を(正確に)10m/s<sup>2</sup>として計算した750ワットとしていた。これを'''日本馬力'''と呼んでいたことがある。日本馬力は1999年施行の計量法で廃止された
 
== 業務用エアコンにおける馬力 ==