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{{出典の明記|date=2011年12月24日 (土) 16:40 (UTC)}}
[[File:Pots in the Buckingham Garden Centre - geograph.org.uk - 1476735.jpg|thumb|right|250px|イギリスのバッキンガム・ガーデン・センターに並べられた植木鉢のかずかず。]]
'''植木鉢'''(うえきばち)とは、[[植物]]を栽培または展示するために用いられる、植物の地下部を保護し安定させるための[[容器]]である。[[園芸]]店や[[ホームセンター]]などで購入できるほかに、条件を満たす容器を転用することで植木鉢として利用することが可能である。なお、日本では植木鉢とプランターを形状的に区別することが多いが、欧米ではあまり区別をしない。「[[盆]]」とも呼び、古来鉢植えを「盆養」と呼んだ。
'''植木鉢'''(うえきばち、{{Lang-en-short|flowerpot}})とは、植物を植えるための[[鉢]]・[[容器]]の[[総称]]である。
[[画像:Flowerpot 1.jpg|thumb|right|250px|植木鉢]]
 
== 概説 ==
植木鉢とは[[植木]]や[[草]]・[[花]]など様々な植物を植えるための容器の総称である。植物は一般的に[[根]]を張り、そこから水分・養分を吸収するための[[土壌]](土)が必要だが、それを保ってくれる容器である。また植物の角度や位置を保ってくれる。<ref group="注">植木鉢無しの状態、つまり植物の根に土がついただけの状態のものを例えばコンクリートやタイル張りの場所に置いても、水をやるたびに土壌が流れていってしまい、やがて根がむき出しになってしまう。また植木鉢無しでは、植物の角度(姿勢)が安定しない。</ref>
 
植物の[[種まき]]、[[発芽]]、[[挿し木]]、[[栽培]]・育成、[[展示]]など様々な目的で用いられている。目的ごとに様々な分類があり、たとえば植物の生育過程別にみると、種まきに用いるものは「播種(はしゅ)鉢」、栽培途中に用いるものは「仕立て鉢(したてばち)」、仕立て上がった後に移し美しく見せるために用いるものを「化粧鉢」などと分類している。また形状による分類法など、様々な分類法がある。→[[#分類]]
 
なお、日本では植木鉢とプランターを形状的に区別することが多いが、欧米ではあまり区別をしない。「[[盆]]」とも呼び、古来鉢植えを「盆養」と呼んだ。
 
植木鉢は基本的に[[園芸店]]や[[ホームセンター]]などで購入できる。また、条件を満たす様々な容器をそのまま転用したり、加工して植木鉢とすることも可能である。
 
==構造と材質==
[[画像:Flowerpot 1.jpg|thumb|right|250px|陶製の植木鉢の一例]]
[[画像:Flowerpot 2.jpg|thumb|right|200px|逆さにした状態。中央に排水孔が開いている]]
[[画像:Blumentopf_Kunststoff.jpg|thumb|right|200px|[[プラスチック]]製の植木鉢と受け皿]]
[[画像:Orchideentopf.jpg|thumb|right|200px|透明の植木鉢]]
[[画像File:Blumentopf_KunststoffVase_gardens_Alcazar_Seville_Spain.jpg|thumb|right|200px|プラ[[チックペイン]]、[[セビリア]]の植木鉢と受け皿]]
;構造
植木鉢は上面部分が開放され、底面には水抜きのための穴が開けられた構造が一般的である。つまり、用土が常に一定の水分を保ちつつ、余分な水分が排出されるようになっている。また、底面が平面ではなく、周囲が盛り上がり、部分的に切り欠きを作るなど、底からの水はけにも配慮されているものが多い。これは、排水が悪いと有害菌の繁殖や老廃物、有害物質などの蓄積が進むこと、また多くの植物は根も[[呼吸]]しているのでそれが阻害されることなどから植物の生育が悪くなるので、それを避けるためのものである。したがって、この構造に合致し、なおかつ有害物質を含有していなければ汎用の容器を転用しても差し支えない。しかし、欧米では孔の開いていない植木鉢も多い。このようなものは鑑賞の時のみに使われ、日本では植木鉢カバーと見なすこともあるが、欧米では一般に区別をしない。また、まったく平らな板に土を盛り上げても植物を栽培することはでき、実際に[[盆栽]]にはこのようなものもあり、これも特殊ながら植木鉢と呼びうるものだが、この場合自然に排水するので排水孔は不要である。水草用の鉢も排水孔がない方が良いことが多い。なお、側面に植え込み口や排水孔を持つ植木鉢も稀にある。なお西欧では、排水孔のある植木鉢は受け皿(鉢受皿)がセットになっているのが普通である。また鑑賞鉢ではスタンド、台がセットになっているものも少なくない。
 
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さらに、その地の土質や環境では栽培できないものでも鉢の培養土やその置き場所、管理などを調節することで栽培を可能にすると言う面もあり、特殊な条件を求める植物であっても鉢植えならば栽培が可能になる例も少なくない。多くの[[洋ラン]]は[[着生植物]]だが、鉢植えで栽培されている。
 
;材質
栽培用、観賞用など、その目的に応じて材質は多岐にわたるが、特に[[陶磁器]]が非常に多い。中でも[[土器]]、[[陶器]]が多く、その理由としては保水、排水や通気のバランスがよいこと、美観的に植物によくなじむこと、直射日光や水に対して丈夫なこと、比較的安価で大量に供給ができることなどによる。特に[[釉薬]]をかけないものは通気が良く、鉢表面からの水分蒸散により鉢内が蒸れにくく、多くの植物の育成に適している。ただし乾きやすいこと、割れやすいことと美観に劣る欠点がある。育苗のためには、かつては素焼鉢や「駄温鉢」と呼ばれる堅目で桟の部分のみ上薬を塗ったものが主流であったが、現在はビニールポットが圧倒的である。また、[[パルプ]]やピート([[泥炭]])をプレスして作った育苗用鉢もある。これらは時間がたつと次第に腐食して土と同化するので、植え替え時に抜かずにそのまま地植えしたり、更に大きな鉢に移し替えることができ、根を痛めることが少ない。ただしこれらは短期間しか使用できず繰り返して使うこともできない。
栽培用、観賞用など、その目的に応じて材質は多岐にわたるが、特に[[陶磁器]]が非常に多い。中でも[[土器]]、[[陶器]]が多く、その理由としては保水、排水や通気のバランスがよいこと、美観的に植物によくなじむこと、直射日光や水に対して丈夫なこと、比較的安価で大量に供給ができることなどによる。特に[[素焼き]]([[テラコッタ]])のもの(つまり[[釉薬]]をかけないもの)は通気が良く、鉢表面からの水分蒸散により鉢内が蒸れにくく、多くの植物の育成に適している。ただし素焼きのものは乾きやすいこと、割れやすいことと美観に劣る欠点がある。
 
栽培用、観賞用など、その目的に応じて材質は多岐にわたるが、特に[[陶磁器]]が非常に多い。中でも[[土器]]、[[陶器]]が多く、その理由としては保水、排水や通気のバランスがよいこと、美観的に植物によくなじむこと、直射日光や水に対して丈夫なこと、比較的安価で大量に供給ができることなどによる。特に[[釉薬]]をかけないものは通気が良く、鉢表面からの水分蒸散により鉢内が蒸れにくく、多くの植物の育成に適している。ただし乾きやすいこと、割れやすいことと美観に劣る欠点がある。育苗のためには、かつては素焼鉢や「駄温鉢」と呼ばれる堅目で桟の部分のみ上薬を塗ったものが主流であったが、現在は[[ビニールポット]]が圧倒的である。また、[[パルプ]]やピート([[泥炭]])をプレスして作った育苗用鉢もある。これらは時間がたつと次第に腐食して土と同化するので、植え替え時に抜かずにそのまま地植えしたり、更に大きな鉢に移し替えることができ、根を痛めることが少ない。ただしこれらは短期間しか使用できず繰り返して使うこともできない。
 
西欧の観賞用の植木鉢としては、庭園用には石や土器、[[青銅]]や[[鉄]]製のものが多かった。室内用としては[[マヨリカ]]などの陶器のほか[[磁器]]や[[炻器]]も多い。このほか[[七宝]]や、[[真鍮]]、[[銅]]、[[錫]]などの金属製や木製のものも見られる。まれに[[ガラス製]]のものもある。
 
中国では[[景徳鎮]]などの磁器、[[宜興]]などの朱泥、紫泥器が盆栽や[[]]の栽培用に作られている。日本では[[伊万里焼]]などの磁器、[[常滑焼]]の朱泥、[[信楽焼]]などが盆栽に、[[丹波焼]]の焼締、[[楽焼]]や信楽焼などの陶器が[[宿根草]]や[[山野草]]用に作られる。一般草花用の鉢も信楽のものが多い。このほか[[埼玉県]]や[[愛知県]]などの[[瓦]]や[[土管]]のメーカーによって作られている植木鉢もある。また[[軽石]]を整形して作られるものもある。
 
現代では[[合成樹脂]]の発達により、[[プラスチック]]、[[ビニール]]製の植木鉢が増えている。安価で軽いなどの利点があるが、通気性、耐久性や高級感に乏しく、陶磁器製植木鉢を駆逐するまでには至っていない。しかし先述のように生産農家などではビニール製が大部分を占める。また屋外用のものとして[[コンクリート]]製のものもあるが、[[石灰]]分を嫌う植物には適さない。
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==脚注==
;注
<references group="注"/>
 
;出典など
<references />