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'''オプス・デイ''' (ラテン語:Opus Dei) は、[[キリスト教]]の[[カトリック教会|ローマ・カトリック教会]]の組織のひとつ、属人区([[#組織|下記]]を参照)である。本部庁舎は、[[ローマ]]市ブルノ・ブオッツィ通り73番に位置する。世俗社会での自らの職業生活を通して、自己完成と聖性を追求することを目的にしている。創立者は、死後列された[[ホセマリア・エスクリバー]]である。
 
==概要==
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:
;歴史
:オプス・デイは、[[ホセマリア・エスクリバー]]により[[1928年]][[10月2日]]に[[スペイン]]で創設された。1947年に[[ローマ教皇]]の認可を受け、スペイン国外にも広がる。[[1982年]]に'''属人区'''として認められ、今日に至る。創立者のホセマリア・エスクリバーは死後わずか30年での列聖が異例の早さとして話題となった。
 
;創立者
:[[ホセマリア・エスクリバー]](1902年 - 1975年)<ref>[http://www.vatican.va/news_services/liturgy/saints/ns_lit_doc_20021006_escriva_en.html ホセマリア・エスクリバーのプロフィール(バチカンHP、英語):http://www.vatican.va/news_services/liturgy/saints/ns_lit_doc_20021006_escriva_en.html)]</ref>
 
;代表者(属人区長)
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== 精神的特徴 ==
[[File:StjosemariaMagpakabanal sa gawain.jpg|thumb|200px|働く人々に囲まれたホセマリア・エスクリバー]]
 仕事を始めとする日常生活のすべてを聖化し、信仰に100%合致した生き方を送るよう、あらゆる条件、身分の信者を励ますことが目的である。神との親子関係と[[ミサ]]を精神的な基盤とし、社会の中で観想生活を営む。自由を尊重し、愛徳と協調をもって[[イエス・キリスト]]を伝えることなどが挙げられる。また、日常の仕事を神と隣人の為に心を尽くして果たし、仕事を聖化することを務めとしている<ref>[http://www.opusdei.jp/sec.php?s=92 Opus Dei よくある質問]</ref>。
 
 オプス・デイの精神の特徴<ref>http://opusdei.org/ja-jp/article/jing-shen/</ref>:
* '''神との父子関係'''
 :[[洗礼]]によって人は神の子となる。[[キリスト教]]のこの基本的な真理は、オプス・デイの精神の中でも根本的なものである。創立者は、「神との父子関係はオプス・デイの精神の根本です」と教えていた。オプス・デイの提供する形成を受けている信者は、神の子としての身分を生き生きと自覚し、それに従って日々の生活を営む。それは、神の摂理に対する信頼、(複雑でないという意味での)単純な心、人間の尊厳への尊重、兄弟愛、キリスト者として神が望まれるような世界を目指しながら現実に即した本物の愛を持ち、落ち着きと楽観をもって生きることに表れる。
 
* '''日常生活'''
 :「神に仕え、すべての人々に仕えながら、自分自身を聖化すべき場所は、この世のもっとも物質的な事柄においてなのです」。聖ホセマリアはこのように教えてた。家庭、結婚生活、仕事、日々の務めは、愛徳、忍耐、謙遜、勤勉、正義、喜びなどの諸徳を実践することによって、[[イエス・キリスト]]と出会い、キリストに倣う機会となるのである。「皆さん、兄弟である人々のいるところ、希望の実現をめざし、仕事に従事し、愛情を捧げるところ、これこそ皆さんが日々キリストと出会う所です。この世の最も物質的なものの真っ只中こそ、神と人々に仕えつつ自らを聖化すべきところです。」(聖ホセマリア、説教「愛すべき天地」1967年)<ref>{{Cite news|title=愛すべき天地―この世を熱烈に愛する|url=http://opusdei.org/ja-jp/article/aisubekitenchi/|accessdate=2018-04-06|language=ja}}</ref>
 
 「神に仕え、すべての人々に仕えながら、自分自身を聖化すべき場所は、この世のもっとも物質的な事柄においてなのです」。聖ホセマリアはこのように教えてた。家庭、結婚生活、仕事、日々の務めは、愛徳、忍耐、謙遜、勤勉、正義、喜びなどの諸徳を実践することによって、[[イエス・キリスト]]と出会い、キリストに倣う機会となるのである。「皆さん、兄弟である人々のいるところ、希望の実現をめざし、仕事に従事し、愛情を捧げるところ、これこそ皆さんが日々キリストと出会う所です。この世の最も物質的なものの真っ只中こそ、神と人々に仕えつつ自らを聖化すべきところです。」(聖ホセマリア、説教「愛すべき天地」1967年)<ref>{{Cite news|title=愛すべき天地―この世を熱烈に愛する|url=http://opusdei.org/ja-jp/article/aisubekitenchi/|accessdate=2018-04-06|language=ja}}</ref>
 
* '''仕事の聖化'''
 :仕事において聖性を追求するとは、プロ意識とキリスト者としての自覚をもって、仕事をより良く成し遂げること。つまり、神への愛と人々のへ奉仕として、仕事を果たすことである。このようにして、日常の仕事はキリストと出会う場と変わるのである。
 
* '''祈りと犠牲'''
 :オプス・デイの精神は、日常生活を聖化するための努力を持続することができるよう、祈りと償いに励むよう勧める。そこで、オプス・デイの信者は、念祷や毎日の[[ミサ]]聖祭、[[ゆるしの秘跡]]、[[ロザリオ]]、霊的読書、[[福音書]]の黙想などを生活に組み入れて熱心に実行する。中でも[[マリア崇敬|聖母信心]]を大切にする。イエス・キリストに倣うために犠牲を実行するが、特に義務を果たしやすくする犠牲や人々の生活をもっと快くするための犠牲、さらに小さな満足を放棄することや教会が一般的に薦める断食、献金を大切にしている。
 
* '''生活の一致'''
 :創立者は、社会で働くキリスト者は「一方では、内的生活、神との関係を保つ生活を営み、他方では、それとは関わりがないように過ごす全く別な家庭生活や職業、社会生活を送るというような二重生活をすべきではありません」と語ってた。そして、「あるのはただ一つ、霊と肉からなる生活です。このたった一つの生活が、霊魂と体ともに、聖化され、神に満ちたものとなるべきなのです」と、教えていた。
 
* '''自由を愛する'''
 :オプス・デイの信者は他の市民、自分と同等の人々とまったく同じ権利を享受し、同じ義務を負っている。政治や経済、文化においては自由に、また個人的に責任をもって行動し、自らの決定に関しては教会やオプス・デイを巻き込むことはない。また、それを信仰に合致した唯一の決定と主張することもない。他人の自由と意見を尊重する。
 
* '''愛徳'''
 :キリストを知る人は宝を見つけたのであり、この宝を他の人々と分けち合わずにいられないものである。キリスト信者はイエス・キリストの証し人であって、キリストの希望の教えを、模範とことばを通して、親戚や友人、同僚の間で広めていく。創立者は、「同僚や友人、親戚たちと同じ望みをもって、共に働くとき、私たちは彼らをキリストのもとへと導くことになるのです」と教えていた。キリストを人々に知らせたいという熱意があれば、自然に人々の物質的な必要を満たす努力や周囲の社会問題を解決したいという望みとなって表れる。
 
==組織==
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== 所属 ==
 オプス・デイに所属するには、超自然的召し出し([[召命]])が必要である。全生涯を神への奉仕と、すべての人は仕事と日常生活を通して聖性に至ることができるという教えを広めるために、神に招かれていることが必要なのである。オプス・デイに所属したとしても、普通の市民でありカトリック信者であることに変わりはない。それまでと同じように司教区に属しており、政治的あるいは宗教的、文化的な活動を自由に行う。属人区オプス・デイと交わす約束は契約の性格を持つものであって、[[修道会]]に固有な清貧・貞潔・従順からなる[[誓願]]ではない。
 
 オプス・デイへの所属によってそれまでの仕事や社会生活が変わることもない。世間から離れて生活するのではなく、まさしく世間の真っ只中で生きるのである。オプス・デイの召命は、日々、家庭や街中、職場において神と出会うことにあるからである。こうして、神と共に生きる喜びを人々に伝えていくのである。したがって、オプス・デイが、所属する信者たちに励ますことは、彼ら自身が聖性を追求するとともに、彼らの関わる人々が、仕事や困難、日々の単調な仕事といった小さな事柄において聖性を追求するように助けることなのである。オプス・デイのメンバーは、普通のカトリック信者であり、自分の受けた召命を自然さをもって生きるのである。不必要に召命を見せびらかすこともしなければ、オプス・デイに属していることを隠すこともしないのである。オプス・デイのメンバーたちの仕事振りやキリスト教の信仰を伝える熱意には、彼らが神と交わした約束が反映しているのである。
 
==歴代の代表者・属人区長==
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== メンバーの列聖手続き ==
[[ファイル:MontseGrases.jpg|サムネイル|226x226px|[[モンツェ・グラセス|尊者モンツェ・グラセス]](1941年 - 1959年)]]
 現在、[[列聖]]手続きが既に始まっているオプス・デイの信者が十名を越えている(2017年現在、計16名<ref>http://opusdei.org/en-us/section/canonization-causes/</ref>)。司祭と信徒、男性と女性、エンジニア、医者、主婦、学生、大学教授など様々な職業の人がいる。出身地はスペイン、スイス、アルゼンチン、グアテマラである:
* '''[[アルバロ・デル・ポルティーリョ|福者アルバロ・デル・ポルティーリョ司教]]'''(1914年 - 1994年):聖ホセマリアの忠実な協力者でり、創立者の帰天後、最初の後継者としてオプス・デイを導いた。
 
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== ダ・ヴィンチ・コードによる誤解 ==
 小説『[[ダ・ヴィンチ・コード]]』および[[ダ・ヴィンチ・コード (映画)|同名の映画]]の中で、あたかもオプス・デイが[[カルト]]団体であるかのように扱われていたため、劇中の描写を真に受けてそのように考える誤解が発生した。オプス・デイは「作品中に描かれているものはすべてフィクションである」との声明を出している<ref name=f>[http://www7.ocn.ne.jp/~opusdei/link/dvc.pdf ダ・ヴィンチ・コードに対するオプス・デイの見解]. 2006年6月1日.</ref>。
 
 また、オプス・デイは[[ローマ教皇庁|教皇庁]]から正式に認可を受けている[[カトリック教会]]の一組織であり<ref>Comments by the Popes on Blessed Josemaria and Opus Dei:http://www.vatican.va/latest/documents/escriva_pontefici_en.html</ref>、機関紙「ロマーナ」にはメンバーの移動にいたるまで詳しく公開されている<ref>http://en.romana.org/</ref>。
 
== 参考文献 ==
* 『オプス・デイとの出会い:私の霊的な旅』(スコット・ハーン著、岡島真理子訳。エンデルレ出版、2010年;ISBN 978-4754401436)
* 『オプス・デイ』(ドミニック・ル・トゥルノー著、尾崎正明訳。白水社、1989年;ISBN 978-4-560-05697-4)
* 『聖性への招き:ふつうのおばさん、おじさんも聖人に』(酒井俊弘著。教友社、2012年;ISBN 978-4902211825)
* Allen, John, Jr. (2005), "''Opus Dei: An Objective Look Behind the Myths and Reality of the Most Controversial Force in the Catholic Church''" Doubleday Religion (2005; ISBN 0385514492)
* Berglar, Peter (1994). ''Opus Dei. Life and Work of its Founder''. Scepter.
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== 関連項目 ==
 
* [[カトリック教会]]
* [[ホセマリア・エスクリバー|聖ホセマリア・エスクリバー]]
* [[アルバロ・デル・ポルティーリョ|福者アルバロ・デル・ポルティーリョ司教]]
* [[ハビエル・エチェバリーア・ロドリゲス|ハビエル・エチェバリーア司教]]
* [[UNIV国際大学生会議]]
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==外部リンク==
 
*[http://www.opusdei.jp/ オプス・デイ公式ページ](日本語)
*[http://www.vatican.va/latest/documents/escriva_pontefici_en.html オプス・デイに関する歴代教皇の言葉](英語)