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{{Otheruses|仏教用語の五位|[[位階]]の正五位|正五位|従五位|従五位}}
{{脚注の不足|date=2017年7月30日 (日) 14:45 (UTC)|title=行数が非常に多いが脚注は数個しかなく、明らかに足りていない。どの参考文献がどこの出典か不明。}}
'''五位'''(ごい)とは、[[仏教]]においてあらゆる事象を5種類の[[範疇]](カテゴリー)に分類して、人間の精神や物質など全ての現象の要素([[, (仏教)|法]]、もしくは ダルマ)をまとめたもの。'''五法'''(ごほう)・'''五品'''(ごほん)などとも。
 
== 概要 ==
五位は、以下の5つをさす。
 
因縁変化を成立させる「[[有為]][[ (仏教)|法]](saṃskṛta, サンスクリタ)内の) - 因縁変化を成立させる法。原因・条件によって生滅する事物{{sfn|中村|2002|p=96}}(4つ))
*「物質的なもの」を意味する「'''[[色 (仏教)|色]]法'''(しき-、{{lang-sa-short|rūpa}}、<small>ルーパ</small>{{sfn|櫻部・上山|2006|p=索引頁「仏教基本語彙(1)~(10)}}) - 物質的なもの{{sfn|中村|2002|p=96}}。
*「心の主体となる識」を意味する「'''[[心 (仏教)|心]]法'''(しん-、{{lang-sa-short|citta}}、<small>チッタ</small>{{sfn|櫻部・上山|2006|p=索引頁「仏教基本語彙(1)~(10)}}) - 心の主体となる識。
*'''[[心所]]法'''(しんじょ-、{{lang-sa-short|caitasika}}<small>チャイタスィカ</small>、もしくは{{lang-sa-short|caitta}}<small>チャイッタ</small>{{sfn|櫻部・上山|2006|p=索引頁「仏教基本語彙(1)~(10)」}}) - 心作用{{sfn|櫻部・上山|2006|p=68}}。心のはたらき{{sfn|中村|2002|p=96}}。心と心所のいくつかとが互いに必ず倶生(ともに生起する{{sfn|櫻部|1981|p=87}})する{{sfn|櫻部|1981|p=84}}。心相応行法({{lang-sa-short|citta-samprayukta-dharma}}、<small>チッタ・サンプラユクタ・ダルマ</small>:心とあい伴う行)に、[[五蘊]]の[[受]]、[[想]]の2つを加えたもの{{sfn|櫻部・上山|2006|p=68}}。心所有法(しんじょうほう)とも{{sfn|中村|2002|p=96}}。
*「心のはたらき」を意味する「'''[[心所]]法'''(しんじょ-、{{lang-sa-short|caitasika}}、<small>チャイタスィカ</small>) 」
*「それ以外」のものを意味する「'''心不相応行法'''(しんふそうおうぎょう-、{{lang-sa-short|citta-viprayukta-saṃskāra}}、<small>チッタ・ヴィプラユクタ・サンスカーラ</small>{{sfn|櫻部・上山|2006|p=索引頁「仏教基本語彙(1)~(10)}}) - 心に伴わないもの{{sfn|中村|2002|p=96}}。
因縁変化を成立させる「[[有為]](saṃskṛta, サンスクリタ)以外の法(1つ))
*「生滅変化なく、因縁によって動かないもの」を意味する「'''[[無為 (仏教)|無為]]法'''(むい-、{{lang-sa-short|asaṃṣkṛta}}、<small>アサンスクリタ</small>{{sfn|櫻部・上山|2006|p=索引頁「仏教基本語彙(1)~(10)」}})」 - 生滅変化を超えた常住絶対なもの{{sfn|中村|2002|p=96}}。
の5つに分類される諸法を総称したものである。
 
各分類の法の数は、説によって異なる。
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== 諸説 ==
=== 説一切有部 ===
[[五蘊]]・[[十二処]]・[[十八界]]という部類分けは、いずれも[[阿含]]以来のものであるが、さらに[[説一切有部]]の「五位」の範疇が加わって、[[法 (仏教)|法]]の体系は一段と整備される。これは蘊・処・界の部類分けの中で、[[行]]蘊や[[法処]]・[[法界]]の部分をいっそうこまかに考察した結果である{{sfn|櫻部・上山|2006|p=67}}。説一切有部の論が記された『[[倶舎論]]』では、色法11・心法1・心所法46・心不相応行法14・無為法3の75種('''[[五位七十五法]]''')と成す。
 
*'''[[有為]]法'''(ういほう、saṃskṛta dharma、サンスクリタ・ダルマ)(72)
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***'''味'''(み、{{lang-sa-short|rasa}}、<small>ラサ</small>)
***'''触'''(そく、{{lang-sa-short|sparśa}}、<small>スパルシャ</small>) 以上【[[五境]]】(同上)
***'''無表色'''(むひょうしき、{{lang-sa-short|avijñapti-rūpa}}、<small>アヴィジュニャプティ・ルーパ</small>) - 強力な善あるいは悪の行為が行われるとき(つまり業(身表業・語表業)が造られるとき)に、その業の余勢(表面から窺い知れない)が行為の終了後も行為者自身の上にとどまること([[#{{sfn|櫻部・上山|櫻部・上山]] P122)2006|p=122}}
**'''[[心 (仏教)|心]]法'''(しんほう、citta dharma、チッタ・ダルマ)(1)
***'''心 (識・意)'''(しん、{{lang-sa-short|citta}}、<small>チッタ</small>)
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****'''瞋'''(しん、{{lang-sa-short|pratigha}}、<small>プラティガ</small>) - 憎しみ。心にかなわない対象に対する憎悪。
****'''慢'''(まん、{{lang-sa-short|māna}}、<small>マーナ</small>) - 慢心。おのれは他より優れていると妄想して他人に対して誇りたがる心のおごり。
****'''疑'''(ぎ、{{lang-sa-short|vicikitsā}}、<small>ヴィチキッツァー</small>) - 「[[四諦]]」の真理に対してあれこれと思いまどうこと。([[#{{sfn|櫻部・上山|櫻部・上山]] P111~116)2006|p=111~116}}。
**'''心不相応行法'''(しんふそうおうぎょうほう、citta-viprayukta-saṃskāra dharma、チッタヴィプラユクタ・サンスカーラ・ダルマ)(14)<ref>心不相応行法の各梵名は右の典拠による。([[村上明宏]]『[http://repo.komazawa-u.ac.jp/opac/repository/all/34509/rbb045-20-murakami.pdf 心不相応行法と無為法の関連性]』、駒澤大学仏教学部論集45 、2014年10月、p.388(127) )</ref>
***'''得'''(とく、{{lang-sa-short|prāpti}}、<small>プラープティ</small>) - ある[[有情]](存在)の身・心を構成する諸法や択滅・非択滅<ref group="注釈">本項目の「無為法」を参照。</ref>を、その有情につなぎとめている働き。すべての瞬間には心および心作用のいくつかの[[法 (仏教)|法]]が[[倶生]](くしょう:ともに生起する)すると考えられているが、この「得」は、それら心・心作用が倶生の関係に結びついているところに生起する法と考えられている。
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***'''名身'''(みょうしん、{{lang-sa-short|nāmakāya}}、<small>ナーマカーヤ</small>) - 文すなわち音節、句すなわち文章に対して、名辞を意味する。本項以下の名・句・心の三つによって、言葉のはたらきが、それによって認識が、成立すると考えられている。名身とも呼ぶ。
***'''句身'''(くしん、{{lang-sa-short|padakāya}}、<small>パダカーヤ</small>) - 名すなわち名辞、文すなわち音節に対して、まとまった意味を表しうる文章を意味する。句身とも呼ぶ。
***'''文身'''(もんしん、{{lang-sa-short|vyañjanakāya}}、<small>ヴィヤンジャナカーヤ</small>) - 名すなわち名辞、句すなわち文章に対して、音節を意味する。文身とも呼ぶ[[#{{sfn|櫻部・上山|櫻部・上山]] 2006|p=P310~311、索引頁「仏教基本語彙(1)~(10)、[[#」}}{{sfn|櫻部|櫻部]] P89~94)1981|p=89~94}}。
*'''[[無為 (仏教)|無為]]法'''(むいほう、asaṃskṛta dharma、アサンスクリタ・ダルマ)(3)
**'''虚空'''(こくう、{{lang-sa-short|ākāśa}}、<small>アーカーシャ</small>) - 物の存在する場所としての空間。
**'''択滅'''(ちゃくめつ、{{lang-sa-short|pratisaṃkhyānirodha}}、<small>プラティサンキヤーニローダ</small>) - 正しい知恵による煩悩の止滅。「択」とは[[法 (仏教)|法]]に対して正しい弁別判断をなす洞察力のこと。
**'''非択滅'''(ひちゃくめつ、{{lang-sa-short|apratisaṅkhyānirodha}}、<small>アプラティサンキヤーニローダ</small>) - 正しい知恵によらない[[法 (仏教)|法]]の止滅[[#{{sfn|櫻部・上山|櫻部・上山]] 2006|p=P109、P142、索引頁「仏教基本語彙(1)~(10)」}}。
 
=== 唯識派・法相宗 ===
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===出典===
{{Reflist|2}}
 
== 参考文献 ==
*{{Cite book |和書 |author=[[中村元]]他 |year=1989 |title=岩波仏教辞典 |publisher=岩波書店 |isbn=4-00-080072-8 |ref={{SfnRef|岩波仏教辞典|1989}} }}
*{{Cite book|和書
*{{Cite book |和書 |author=[[櫻部建]] ; [[上山春平]] |year=2006 |title=存在の分析<[[阿毘達磨 |アビダルマ]]>―仏教の思想〈2〉 |publisher=[[角川書店]] |series=[[角川ソフィア文庫]] |isbn=4-04-198502-1 |ref={{SfnRef|櫻部・上山|2006}} }}(初出:『仏教の思想』第2巻 角川書店、1969年)
|author = 櫻部建・上山春平
*{{Cite book |和書 |author=[[櫻部建]] |year=1981 |title=倶舎論 |publisher=大蔵出版 |isbn=4-8043-5441-5 |ref={{SfnRef|櫻部|1981}} }}
|year = 2006
*{{Cite book|和書|author = [[中村元]]|year = 2002|title = 龍樹|publisher = 講談社学術文庫|isbn = 4-06-159548-2|ref = {{SfnRef|中村|2002}} }}
|title = 存在の分析<アビダルマ>
|publisher = 角川書店
|isbn = 4-04-198502-1
|ref = 櫻部・上山
}}
 
*{{Cite book|和書
|author = 櫻部建
|year = 1981
|title = 倶舎論
|publisher = 大蔵出版
|isbn = 978-4-8043-5441-5
|ref = 櫻部
}}
*総合仏教大辞典編集委員会 編『総合佛教大辞典』(法蔵館、2005年) ISBN 978-4-831-87070-4
*浄土宗大辞典刊行会 編『浄土宗大事典』(山喜房仏書林、1980年)ISBN 978-4-7963-0903-5