「プロパガンダ」の版間の差分

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軍隊は国家が直接行動を命令できるため、プロパガンダに利用されやすい。このため本来軍事行動には必要の無い人員や装備が配備されている。
 
多くの軍隊では国民や諸外国に正当性や精強さをアピールするため、見栄えの良い宣伝用の写真や映像を多数公開しており、それらの撮影のために[[第301映像写真中隊]]([[自衛隊]])のような専門の部隊が編成されている。特にアメリカ軍は兵器が運用される様子から休憩中の兵士にいたるまでほぼ全ての広報写真を[[ウィキメディア・コモンズ]]に投稿し、ウィキペディアなどで自由に使えるようにしているが、公開されるのは軍に都合良い写真だけである。アメリカ軍では[[第二次世界大戦]]時に隊員教育やプロパガンダ用の映画を制作するため[[第1映画部隊 (アメリカ軍)|第1映画部隊]]を編成、映画業界人を徴兵扱いで多数動員していた。
 
第二次世界大戦時のアメリカによる[[日系人の強制収容]]に対し、日本は「白人の横暴の実例」として宣伝し日本の軍事行動は「アジアの白人支配からの解放」であると正当化した。アメリカではこれに対抗するため日系移民の志願者による部隊([[第100歩兵大隊]])を急遽創設した。
 
[[File:Blueangelsformationpd.jpg|right|thumb|150px|ブルーエンジェルス]]
多くの[[空軍]]では実戦部隊以外にも[[曲技飛行]]による広報活動を任務とする[[曲技飛行隊]]を有している。これは国民向けに曲技飛行を披露し軍への関心を高めることに加え、パイロットの技量を外国へ誇示する目的もある。使用する機体は既存機の流用であっても武装の撤去、スモーク発生装置の搭載、派手な塗装を施すなど実戦には不適格な改造を施したり、既に時代遅れとなった[[複葉機]]を曲技専用に配備するなど予算的に優遇されている。またアメリカ軍では[[アメリカ空軍|空軍]]([[サンダーバーズ]])、[[アメリカ海軍|海軍]]([[ブルーエンジェルス]])、[[太平洋空軍 (アメリカ空軍)|太平洋空軍]](PACAF F-16 Demo Team)など複数の部隊が併存している。なおブルーエンジェルスは、第二次大戦終結により[[海軍航空隊]]への国民の関心が低下し、予算の減額や空軍との統合など権限縮小を危惧した[[チェスター・ニミッツ]]提督が「大衆の海軍航空兵力への関心を維持しておく事」を意図して組織され、第1映画部隊は[[アメリカ陸軍航空軍]]司令官だった[[ヘンリー・アーノルド]]将軍が陸軍航空軍の独立性を強調する為にも独自の撮影部隊が必要だと考え、宣伝映画を担当していた陸軍信号隊とは別の組織として映画業界人に依頼して編成されたなど、宣伝部隊でありながら純粋な広報ではなく政治的な意図で創設された例もある。
 
[[File:陸・海・空自衛隊音楽隊合同演奏「ふるさと」 R 自衛隊音楽まつり 151.jpg|[[right|thumb|150px|自衛隊音楽まつり]]で歌唱する[[自衛官]]。中央は2009年に自衛隊が初めて専属歌手として採用した[[三宅由佳莉]]。
[[軍楽隊]]が担ってきた[[栄誉礼]]や軍の式典での音楽演奏は、放送設備が発達した現代では録音した曲を流すことで十分に代用できるが、多くの軍楽隊では式典で[[国歌]]や[[行進曲]]を生演奏させるために、[[音楽大学]]などで専門教育を受けた者を演奏専業の[[軍人]]として雇用している。これは[[警察音楽隊]]や[[消防音楽隊]]の多くが一般職員の有志で編成されているのとは対照的である。軍楽隊は国民向けの広報演奏を行うこともあるが、その際は流行しているポップスなど国民の関心が高い曲を演奏することが多い。自衛隊では毎年大規模な音楽イベント「[[自衛隊音楽まつり]]」を開催しているが、その演奏曲目の中で行進曲や旧[[軍歌]]・自衛[[隊歌]]は一部に過ぎず、大半はポップス、テレビドラマのテーマ音楽、[[アニメソング]]、民謡など自衛隊とは無関係な曲である。
 
==== 顕彰 ====
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==== 示威 ====
[[File:Tyuuoukanetusiki2010.JPG|right|thumb|150px|自衛隊[[中央観閲式|観閲式]]]]
[[軍事パレード]]や[[観艦式]]は非実戦的な訓練や兵力の移動が必要なため軍事的には無駄であるが、軍の規律や能力をアピールする目的で定期的に行われている。また式典のための[[制服_(自衛隊)#第1種礼装|礼装]]が規定されている。[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]では車両や航空機の燃料を調達することも難しい状況であるが、大規模な軍事パレードは定期的に行われている<ref name=idJPKBN17J0EV>[http://jp.reuters.com/article/blog-north-korea-parade-idJPKBN17J0EV ブログ:間近で見た北朝鮮の軍事パレード] - [[ロイター]]</ref>。
 
==== 公開 ====
[[File:JGSDF Camp Itazuma OpenHouse2009.jpg|right|thumb|150px|[[板妻駐屯地]]の開設記念行事一般公開]]
軍では退役した車両や航空機を展示する広報施設を整備したり、博物館に寄贈するなどしている。自衛隊では[[陸上自衛隊広報センター]]、[[海上自衛隊佐世保史料館]]、[[浜松広報館|航空自衛隊浜松広報館]]とそれぞれ別の広報施設を有している。
 
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[[戦争映画]]の製作に協力することもあるが、軍が美化されるなどの作品には協力するが都合の悪い作品には協力しないなど、軍側で協力の可否や程度をコントロールしている。1964年の米国映画『[[未知への飛行]]』では、アメリカ軍の核兵器が適切に管理されていないことが前提の作品であるため協力を得られず、航空機の映像は一般公開されていた資料映像に頼っている。1978年の[[角川映画]]『[[野性の証明]]』も自衛隊が悪役であるため協力を得られず、アメリカ[[陸軍州兵]]の演習場などで映像を収録している。
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File:Blueangelsformationpd.jpg|[[アメリカ海軍]]の曲技飛行隊「[[ブルーエンジェルス]]」。飛行機、パイロット、整備員は専従である。
ファイル:US Navy 050508-N-5324D-005 Cinco De Mayo festival participants exit the Navy^rsquo,s premier Blue Angels F-18 flight simulator.jpg|アメリカ海軍が保有する[[F/A-18 (航空機)|F-18]]の飛行を体験できる移動式シアター。訓練に使う[[フライトシミュレータ]]ではなく座って映像を見るだけである。
File:Convair B-58A Hustler crew scramble 061101-F-1234P-023.jpg|「[[スクランブル]]に向かう[[B-58 (航空機)|B-58]]のクルー」とされたアメリカ空軍の広報用写真。B-58はスクランブル任務に就く機体ではなく実戦にも投入されていないが、最新鋭機であったため宣伝に使われた。
[[File:US Navy 091021-N-3283P-201 The Japan Maritime Self-Defense Force helicopter destroyer JS Kurama (DDH 144) leads ships during a rehearsal for the 2009 fleet review. More than 8,000 civilians toured selected ships and viewed the.jpg|多数の護衛艦が並ぶ海上自衛隊の観艦式。このために40隻の艦船と31機の航空機が投入された(2009年)]]
File:8戦-3 74式戦車.jpg|駐屯地の一般公開で行われた[[74式戦車]]の試乗体験。座席を取り付けるため作業が必要となる。
File:京都桂駐屯地納涼夏祭り イベント・行事・広報活動等 70.jpg|[[桂駐屯地]]での納涼夏祭り。
File:陸・海・空自衛隊音楽隊合同演奏「ふるさと」 R 自衛隊音楽まつり 151.jpg|[[自衛隊音楽まつり]]で歌唱する[[自衛官]]。中央は2009年に自衛隊が初めて専属歌手として採用した[[三宅由佳莉]]。
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