「古代ギリシア語」の版間の差分

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== 概要 ==
古代ギリシア語は、その後の[[ヨーロッパ]]諸言語に最も影響を与えた言語の一つである。[[ホメーロス]]の[[叙事詩]]、劇作家、[[ペリクレス]]時代の哲学者、『[[新約聖書]]』等がその証左と言えよう。また、「民主主義({{lang|en|democracy}})」のような不可欠な語も含め、英語の語彙に多大な影響を与えてもいる。[[ルネサンス]]から[[20世紀]]初頭にかけては、西洋の教育制度において標準的な科目となっていた。[[学名]]に用いられている[[新ラテン語]](近代[[ラテン語]])には、今日でも古代ギリシア語からの語彙の引用が精力的になされている。
 
ヘレニズム期の古代ギリシア語は[[コイネー]](「共通語」の意)、あるいは聖書ギリシア語として知られ、その後期の形が{{仮リンク|中世ギリシア語|en|Medieval Greek}}に変異していった。初期のコイネーは古典期との共通点も多いが、ギリシア語の歴史の中では独立したものとして扱われる。コイネーより前の、古典期やそれ以前のギリシア語にはいくつかの方言が存在した。[[ミケーネ文明]]期の[[ミケーネ・ギリシャ語|ミケーネ語]]([[紀元前1600年|前1600年]]–[[紀元前1100年|前1100年]])は、古代ギリシア語([[紀元前8世紀|前8世紀]]-[[紀元前4世紀|前4世紀]])に先行する言語である。
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== 古代ギリシアの諸方言 ==
=== 歴史的方言の成立 ===
ギリシア語の起源および初期の歴史は、同時代の史料が欠けており判然としない。そのため、いくつか仮説が存在する。初期のギリシア語的特徴を有する言語が[[インド・ヨーロッパ祖語]]から分岐(遅くとも[[紀元前2000年]]までに)してから紀元前1200年頃まで、どのような古代ギリシアの方言群が存在していたのか。どの仮説も概要は共通しているものの、細部で異なる。上記の時代で存在が証明されている<ref group="注">裏付けは完全とは言えず、またアルファベットではなく音節文字表([[線文字B]])で書かれているため、一部は再建による。</ref>のはミケーネ語だけだが、歴史的方言とその背景に鑑みるに、全ての方言群が当時すでに何らかの形で存在していたとも考えられる。
 
古代ギリシア語の主な方言は、[[紀元前1120年]]([[ドーリア人|ドーリス人]]の侵入の時期)までには発達していたとされる。[[ギリシア文字]]によるはっきりとした記録が確認されるのは紀元前8世紀以降である。古代のギリシア人は、自身にドーリス人・[[アイオリス人]]・[[イオニア人]]という3つの主な区分があると考えており、それぞれ弁別的な方言を有していた。人目につかない山岳地帯の[[アルカディア]]と、学問の中心から離れた[[キプロス島|キュプロス]]を見落としていたという点を斟酌すれば、上記の区分は現代の歴史言語学の調査結果と酷似している。これは、方言の内実と変化を理解する上で非常に重要である。
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日本語では「古典ギリシア語」という名称が広く知られているが、これは「古代ギリシア語」と同一の概念ではない。古典ギリシア語は、古代ギリシアの諸方言の中で最も代表的なものとなった古典期のアッティカ方言を指す呼称である。
 
[[紀元前5世紀]]頃までは散文の中心がイオニア地方であったため、イオニア方言が主に用いられていた([[ヘロドトス|ヘーロドトス]]など)。しかし、前5世紀後半からは[[アテーナイ]]に優れた弁論家・文筆家([[プラトン|プラトーン]]、[[トゥキディデス|トゥーキューディデース]]など)が多く現れ、さらに政治的にもアテーナイがギリシアの中心となったため、前4世紀頃にはアッティカ方言がギリシア世界の標準語となった。この頃<ref group="注">具体的には[[ペリクレス|ペリクレース]]の死(前429年)から[[デモステネス|デーモステネース]]の死(前322年)までの約100年間。</ref>に用いられていたアテナイの言語を指して「古典ギリシア語」と呼ぶ。
 
== 音韻の変化 ==
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;音節畳音
:単子音({{lang|grc|ῥ-}} は除く)か、閉鎖音+共鳴音で始まる動詞には、語頭の子音の後に {{lang|grc|-ε-}} を付したものを語頭に加える。ただし、語頭の子音が帯気音の場合は、無気の形にした上で重複される。''[[グラスマンの法則 (言語学)|グラスマンの法則]]も参照''
;加音
:加音は畳音の代わりになることもあった。上記にない子音群および複子音で始まる動詞と、母音で始まる動詞は加音と同じ方法で重複される。これは直説法だけでなく、完了時制のすべての場合に当てはまる。
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== 脚註 ==
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=== 注釈 ===
{{reflist|group="注"}}
=== 出典 ===
{{reflist}}